「採用してもすぐ辞めてしまう」
「また一から採用活動をやり直し…」
歯科業界は離職率が高く、有効求人倍率も20倍を超える“超売り手市場”。
採用しても定着せず、人が入れ替わるたびに診療品質の低下やスタッフの疲弊、採用・教育コストの増加といった負担が積み重なります。
こうした人材流出の悪循環を断ち切る鍵は、
「働き続けたくなる環境づくり」と「長く働けるスタッフを採用する仕組み」 の両方を整えること。
本記事では、
・なぜ離職が起きるのか
・明日から実践できる“人が辞めない歯科医院”をつくる7つの戦略
・人材流出を防ぐための採用戦略
を分かりやすくご紹介します。
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なぜ歯科医院の人材流出は止まらないのか?業界の現状と課題
歯科医院を経営されている院長の皆様にとって、スタッフの定着は常に頭を悩ませる課題ではないでしょうか。
せっかく採用したスタッフがすぐに辞めてしまい、また新しい人材を探すというサイクルに疲弊しているというお声もよく聞かれます。しかし、この人材流出の問題は、決して特定の医院だけで起きているわけではありません。
高い離職率と採用難の実態。歯科業界の厳しい現実
歯科業界における人材の確保は、年々深刻さを増しています。
歯科衛生士の有効求人倍率については23倍を超えるとも言われ、これは求職者1人に対して23件以上の求人があるという、極めて売り手市場の状況を意味します。
つまり、歯科衛生士は転職先に困ることがほとんどなく、より良い条件や職場環境を求めて容易に転職できる状況にあるのです。
この高い流動性が、多くの歯科医院で慢性的な人手不足を引き起こし、採用活動の長期化とコスト増大につながっています。
さらに、歯科衛生士の約76%が一度は転職を経験しており、その半数以上が複数回の転職を経験しているというデータもあります。
これは、多くの歯科衛生士が「この職場で長く働きたい」と思える環境になかなか出会えていない現実を示唆しています。
資格を必要としない歯科助手も同様に、従事者数は減少傾向にあり、採用の難しさは歯科医院経営における大きな課題となっています。
職種別に見る離職の主な理由【歯科衛生士・歯科助手】
歯科医院のスタッフが離職する理由は多岐にわたりますが、職種によってその傾向は異なります。
歯科衛生士の場合
まず、国家資格を持つ歯科衛生士の場合、離職理由として「給与や待遇への不満」が挙げられることは少なくありません。そのほかにも以下のような理由が挙げられます。
- 専門性の高い業務内容に見合った評価が得られない
- 昇給が望めない環境に将来への不安を感じる
- 人間関係のストレス
- スキルアップやキャリアパスへの不安
人間関係のストレスについては、閉鎖的な空間での業務が多いため、院長や同僚との関係性が悪化すると、精神的な負担が大きくなりやすい傾向にあります。
また、専門性を高めたい、より高度な医療に携わりたいといった意欲があるにもかかわらず、その機会が得られないと感じると、成長機会を求めて転職を検討するようになります。
関連記事:放置すると離職のリスクに!歯科衛生士が抱える悩みとは?
歯科助手の場合
- 明確な業務分担がないことで、業務負担が特定のスタッフに偏ったり、雑務ばかりが増える
- 「これができたら評価される」といった明確な評価制度がない
- 自分の仕事が正当に評価されていないと感じる
また、長時間の立ち仕事や患者対応、時には複雑な人間関係から起こるストレスなど、見えにくい負担が積み重なることで離職に至るケースも多く見られます。

採用コストだけじゃない!人材流出がもたらす3つの経営リスク
歯科医院でスタッフが辞めることは、「1人欠ける」だけの問題ではありません。
多くの院長先生は採用費用に目が向きがちですが、実際には経営全体に影響する見えにくいリスクが発生しています。
リスクその1)診療クオリティの低下と患者満足度の悪化
長く勤務していたスタッフが退職すると、細かな気配りや判断をはじめ患者さんとの信頼関係が一気に失われます。もし新人が入った場合でも、即戦力になるまでには一定の教育期間が必要です。
その間は、
- ❌ 診療のスピードが落ちる
- ❌ スタッフに余裕がなくなり、対応にばらつきが出る
- ❌ 昔から来ている患者さんが「前と違う」と感じクレームの原因に
などいった変化が起こりやすくなります。
特に歯科医院は、同じスタッフに継続して診てもらう安心感が重視されるため、馴染みのスタッフがいなくなることは、リコール率低下や転院につながるリスクがあります。
医療サービスでは「スタッフ対応の印象」が満足度に大きく影響すると言われています。
リスクその2)残されたスタッフの疲弊とさらなる離職の負のスパイラル
1人退職すると、その分の業務は残されたスタッフに集中します。
採用がすぐに決まらない場合、残されたスタッフ一人当たりの業務量が増えたり、有給休暇も取りづらかったりと、これまでに無いトラブルが増えていきます。
こうした状態が続くと、職場の雰囲気やチームワークも崩れ、さらに離職が起こる負のスパイラルに陥ります。
これは人手不足というより、「組織が疲弊している状態」です。
リスクその3)採用・教育コストの増大が医院経営を圧迫
スタッフが辞めるたびに、求人広告費や人材紹介手数料といったコスト面だけでなく、求ービスでは「スタッフ対応の印象」人媒体の更新や面接対応の時間など、時間的コストも発生します。
さらに見落とされがちなのが、教育にかかるコストです。
新人教育に使う院長・先輩スタッフの時間は、本来診療や医院運営に使えるはずだった時間を損失していることでもあります。
一般的に、1名採用するまでに数十万〜100万円以上のコストがかかるケースもあると言われています。
関連記事:歯科衛生士の「採用単価」はいくら?採用コストと費用を解説
人が辞めない歯科医院へ!明日からできる人材定着戦略7選
戦略1:院長のビジョンを共有し、心理的安全性の高い職場を作る
スタッフが主体的に働くためには、「この医院は何を目指しているのか」を理解していることが前提になります。
どんな診療を大切にし、地域でどんな役割を担いたいのか。院長のビジョンや理念を具体的に伝えることで、スタッフは単なる作業者ではなく「医院の一員」としての意識を持てるようになります。
あわせて重要なのが、意見を安心して言える心理的安全性です。朝礼やミーティングで意見交換の機会をつくる、感謝を言葉にする、定期的な1on1で悩みや将来の希望を聞く。
こうした積み重ねが信頼関係を生み、提案や挑戦が生まれる職場につながります。

戦略2:成長を実感できる公平な評価制度とキャリアパスを整備する
評価基準が曖昧だと、スタッフは「何を頑張ればいいのか」が分からず、不満が溜まりやすくなります
スキルや行動目標を明確にし、「どこを評価するのか」を可視化することで、納得感のある評価が可能になります。
また、歯科衛生士・歯科助手であっても、
・チーフ
・教育担当
・専門分野の担当
など、将来像を描ける役割を用意することが重要です。
「ここで働き続けると、こう成長できる」と見えることが、定着につながります。
戦略3:スキルアップを支援する教育・研修制度を充実させる
歯科医療は変化が早く、学びたいという意欲を持つスタッフは多く存在します。
院内勉強会や症例共有の場を設けることで、日常業務の中で学べる環境をつくりましょう。
さらに、
- 外部セミナー参加費の補助
- 資格取得支援
- 専門書購入補助
などの制度は、成長意欲の高い人材にとって強い魅力になります。教育への投資は、診療の質と医院の競争力を高める未来への投資です。
戦略4:ワークライフバランスを尊重した柔軟な働き方を導入する
結婚・出産・育児・介護など、スタッフのライフステージはさまざまです。制度があるだけでなく、「使いやすい雰囲気」をつくることが重要です。
制度はあるけど実際に使っている人は少ない...使ったら陰口を言われる...などは、女性が多い職場ではよく聞かれる声ですよね...。
伝える際には「実際にどのくらい使われているのか?実績は?」「制度を使っても問題なくまわる体制はあるのか」などもあわせて伝える必要がありますね。
関連記事:働き方改革!衛生士の新しい働き方で人手不足を解消!
戦略5:ITツール活用で業務を効率化し、スタッフの負担を軽減する
業務に追われ続ける職場では、定着は望めません。
Web予約や問診システム、電子カルテ、業務マニュアルのクラウド化などを進めることで、無駄な作業を減らせます。

生まれた時間を、患者対応やスタッフ教育、残業削減のための仕組み整備などに使うことで、スタッフの満足度と働きやすさにつながります。
戦略6:社会保険や退職金制度など、安心して働ける福利厚生を見直す
社会保険の内容、退職金制度の有無、家賃補助や健康支援などは、長く働く上で重要な判断材料です。
すべてを一度に整える必要はありませんが、「この医院なら長く続けられそう」と感じてもらえる基盤づくりが大切です。
戦略7:採用段階でのミスマッチを防ぎ、医院の価値観に合う人材を見極める
定着は採用時点から始まっています。
スキルだけでなく、「どんな価値観を大切にしているか」を丁寧に確認することが重要です
面接では、「前院ではどんな時にやりがいを感じたか」「当院に何を求めているか」といった質問で考え方を引き出しましょう。良い面だけでなく、課題も正直に伝えることで、入職後のギャップを防げます。
関連記事:【人事担当・面接官必見】歯科衛生士の採用面接・質問集!見極めのポイント
人材流出を生まないための採用戦略
人が辞める理由をどれだけ改善しても、そもそも価値観の合わない人を採用してしまうと、必ず離職につながります。
つまり、定着を生み出すためには「辞めさせない工夫」だけでなく、
“辞めない人を採用する仕組み” を同時に整えることが欠かせません。
ここからは、定着につながる採用の考え方についてお伝えします。
給与だけじゃない!スタッフが本当に求めている職場環境とは?
採用で失敗しないために欠かせない視点が、「スタッフが何に価値を感じて働いているのか」 を理解することです。
多くの院長先生が “給与・待遇の改善” に意識を向けがちですが、
実際にスタッフが長く働き続ける理由の多くは、目に見えにくい 非金銭的報酬 にあります。
長く働けるスタッフを採用するための”非金銭的報酬”とは何か?
例えば以下のようなこと。
- 人間関係:相談しやすい雰囲気、嫌な上下関係がない
- 働きやすさ:忙しさの波が読みやすい、無理な予約を無理に入れない
- 成長環境:院内勉強会、外部セミナー補助、できることが増える喜び
- 安心感:評価が不透明でない、頑張りが見てもらえる
- 働き方:シフトの融通、希望休が取りやすい、家庭との両立
院長先生にとっては当たり前のことかもしれませんが、実はスタッフにとってこれらは「働き続けたい」と思う理由になり、スタッフの採用・定着に強い影響を与えているんです。
ほとんどの医院が、非金銭的報酬を魅力として伝えきれていない
これほどまでに重要な非金銭的報酬ですが、この価値を適切に伝えられている医院はほとんど無いということ。
つまり、適切な伝え方をすることで、他院とは一線を画す求人となるのです。

多くの医院は、本当は魅力的な取り組みをしていても、自院の魅力を書き出すと以下のように書いてしまっています。
- 「アットホームな職場です」
- 「やりがいのある働きやすい環境です」
これを見て、全く知らない医院のことが想像できますか?できませんよね。
これではどの医院も同じに見え、求職者からスルーされて終わりです。
ではどうしたら伝わるのか?その文章を見て頭の中で想像できるくらい、具体的に言語化すること です。
具体的に伝えると、価値は一気に伝わる
【例①:人間関係の良さを伝えたい場合】
❌Before(抽象的)
「アットホームな雰囲気です」
✅After(非金銭的報酬として伝わる)
「新しく入ったスタッフには全員が声をかける文化があり、困ったことはすぐ相談しあえる距離感。昼休みも笑い声が絶えません」
たったこれだけで、求職者は「どんな毎日を過ごすのか」を具体的に想像できます。
【例②:学べる環境を伝えたい場合】
❌Before
「スキルアップができます」
✅After
「月1回の院内勉強会で、症例共有や技術練習を行っています。外部セミナーは医院が受講費を全額補助します。」
【例③:働きやすさを伝えたい場合】
❌Before
「働きやすい職場です」
✅After
「予約は45分単位で無理のないスケジュールを組んでおり、診療の波で極端に忙しくならない工夫をしています。」
人材流出を起こさないための「良い人材を集める求人票の作り方」とは
あなたの医院が当たり前に行っている取り組みを、ぜひ一度“言語化”してみてください。
そのひと手間で、求人の反応率も、入職後の定着率も、大きく変わります。
とはいえ、
- どう言語化すれば求職者に響くのか
- どこまで書けばミスマッチが防げるのか
- 同業と差別化できる求人票はどう作るのか
ここは多くの院長先生がつまずくポイントです。
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