採用面接は、必要なスキルを持っているかや、考え方・人柄が自院に合うかなどを見極めるために実施します。
履歴書や職務経歴書などの書類上では分からないことを直接確認し、優秀な人材と出会う大切な機会です。
しかし、面接官の質問内容によっては上手く人材を見極められなかったり、最悪の場合、自院の印象を悪くしてしまうという可能性もあります。
この記事では、実際の採用面接ですぐに活用できる一般的な質問から歯科衛生士の採用にフォーカスした質問まで具体的な質問例をご紹介します。
優秀な人材を見極めるポイントや、面接の際に意識すべき点に関しても解説します。
以下のようなお悩みのある方は、ぜひ参考にしてください。
- 歯科衛生士の採用活動を始めたばかりで、採用に詳しくない
- 面接官として、初めて面接を担当する
- 面接でどんな質問をすればよいのか分からない、効果的な質問が知りたい
- 多くの応募者と会ってきたが、なかなか求める人材と出会えない
- 面接をしていて、しっかり見極められているのか不安を感じている
- 面接時の質問の引き出しを増やしたい
面接質問集12選<基本>
まずは、歯科衛生士の経験がない方も含む、すべての方を対象とした基本的な質問例です。
その質問の回答で分かることと合わせてご紹介します。
(1)1分程度で自己紹介をお願いします
【📝質問から分かること】
✅ 簡潔に分かりやすく伝える力
✅ 人柄
✅ コミュニケーションスキル
💡自己紹介では、表情や雰囲気など応募者の人柄を確認することができます。
また、自分を的確に表現することができるか、聞かれたことに対して適切に答えられているかなどのコミュニケーションスキルの判断材料にもなります。
(2)長所・短所について教えてください
【📝質問から分かること】
✅ どんな性格か
✅ 客観的に自分のことを見れているか
✅ 自院と適性があるか
✅ 短所が自院に影響を及ぼさないか
✅ 短所を直す努力をしているか
✅ 誠実さ
💡短所については、短所をそのままにせず改善のアクションを行えているかまで深掘りして確認しましょう。
(3)周囲からどのような人だと言われますか
【📝質問から分かること】
✅ コミュニケーションスキル
(4)チームワークの際に心がけていることはありますか
【📝質問から分かること】
✅ 協調性があるか
✅ 自院のメンバーとの相性
(5)歯科衛生士になろうと思ったきっかけを教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 歯科衛生士業務の理解度
✅ 憧れや興味だけで志望していないか
✅ 楽な仕事だと思っていないか
(6)当院への志望動機を教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 入社に意欲的かどうか
✅ 仕事への熱意
✅ 職場に対する興味関心の度合い
✅ 採用ミスマッチを防ぐ
(7)どんな歯科衛生士になりたいですか
【📝質問から分かること】
✅ 自院の理念や風土にマッチしているか
✅ どんなキャリアプランを描いているか
💡専門職の歯科衛生士は、仕事に誇りややりがいを持っていて、明確な希望を持っている応募者も多いです。本人の希望や考え方が自院に合っているか、本人の希望を自院で叶えることができるのかなど、よく確認しましょう。
(8)トラブルにあった時、どのように対処しますか
【📝質問から分かること】
✅ ストレス耐性
✅ 問題解決力
(9)業務環境で重視するものはありますか、その理由を教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 自院との相性
(10)何か質問はありますか(逆質問)
【📝質問から分かること】
✅ 入社意欲の高さ
✅ 積極性
✅ コミュニケーションスキル
✅ 認識のズレによるトラブル防止
(11)他の歯科医院の選考も受けていますか?
【📝質問から分かること】
✅ 自院への志望度の高さ
✅ 転職の軸が明確か
(12)あなたの強みを教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 他の応募者との比較
面接質問集4選<経験者向け>
続いて、歯科衛生士の経験者向けの専門的な質問例です。
即戦力としての採用を行う場合は、とくに専門的な領域の質問が見極めの際に重要です。
(1)前職の歯科医院では何を担当してきましたか、経験された業務を教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 即戦力として活躍いただけるか
✅ 求めていることができるか
✅ 経験値や実力レベル、新しい仕事への適正があるか
💡医院により、業務内容や任される範囲が異なるため、なるべく詳細に質問をしましょう。仕事をする上で工夫した点や意識した点など踏み込んで確認すると◎です。
(2)非協力的な気難しい患者様にはどう対応しますか
【📝質問から分かること】
✅ 人間性
✅ 適応能力
✅ 問題解決力
✅ 普段から業務に対して真摯に向き合っているか
(3)これまで歯科保健指導をどのような手順で行ってきたか教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 歯科衛生士としての経験値や知識
✅ デンタルケア全体についての考え方
✅ 患者様への接し方
💡歯科保健指導は、歯科衛生士としての経験や知識の差が出やすい領域です。
これまでの具体的な経験を確認し、患者様に合わせた指導や対応ができるか、手順を正確に説明できるか確認しましょう。
(4)口腔内検査やレントゲンに関する経験を教えてください
【📝質問から分かること】
✅ 検査機器の使用経験
✅ 安全に検査を行うための知識や技術力
💡医院によって歯科衛生士の業務内容や領域は異なるため、入社後お任せする領域に関しての経験や知識があるかどうかは、確認するようにしましょう。
人材を見極める4つのチェックポイント
優秀な応募者を見極めるためのチェックポイントを4つ紹介します。
(1)履歴書・職務経歴書
面接での質問はもちろん重要ですが、事前準備として、履歴書や職務経歴書をしっかり読み込んでおくことも大切です。質問をするための資料にもなります。
履歴書・職務経歴書の中で、とくによく確認しておきたいポイントは以下の項目です。
● 転職回数や在籍年数
年齢にもより異なりますが、年齢のわりにあまりにも転職回数が多い場合や、長く在籍していた医院がないというような場合は、採用後に短期間で離職してしまうリスクも考えられるため、注意が必要です。
※”転職回数が多いから採用はしない”と判断するのではなく、背景などをよく確認して判断しましょう。面接で深掘りしたい項目のひとつです。
● 職歴にブランクがないか
職歴にブランク期間がある場合も注意が必要です。
空白期間の理由や状況によっては、今後の業務に影響する可能性もあります。
体調不良や家庭の事情、資格取得など、様々な理由が考えられますが、その期間何をしていたのか、どう考えているのか等、面接時にしっかり確認しましょう。
● 書類の誤字脱字などが多くないか
応募書類の誤字脱字が多い場合、仕事においても細かい作業が苦手、もしくは簡易的なミスを起こしやすい可能性があります。
正確性を重要視する場合は、チェックしておきたいポイントです。
(2)身だしなみや言葉遣い
面接時の身だしなみや服装、態度、言葉遣いなどの印象を観察しましょう。
とくによく確認しておきたいポイントは以下の通りです。
チェックポイント
✅ スーツやシャツにシワがないか
✅ 髪型はセットされていて清潔感があるか
✅ 爪が伸びていないか
✅ 化粧が派手になっていないか
✅ 面接の開始時間を守っているか
✅ 待機している時の表情や態度
✅ 入室の仕方、歩き方、座り方などの姿勢
✅ 会話する際に、こちらの目を見ているか
✅ 声のトーンに安心感、親近感があるか
✅ 動作のスピードや、質問に対する回答のテンポ・リズム
✅ 状況に応じた感情表現ができているか
その他、面接に至るまでの行動、面接後の行動も重要です。
例えば、面接日程の調整におけるメールの返信、または電話での対応などからも、人間性やビジネススキルが分かります。
(3)コミュニケーションスキル
歯科衛生士は、患者様と接する機会があります。
また医院でのチームワークも大切になるため、コミュニケーションスキルは非常に重要な能力です。
コミュニケーションスキルは話し方が上手いだけでは判断できないため、対話における聞く能力を持っているかを面接の中で確認し、見極めましょう。
(4)転職(退職)理由
履歴書・職務経歴書のチェックポイントとしても挙げましたが、転職理由に関する深掘りは、自院で長く活躍いただけるかの見極めに重要なポイントです。
転職理由には、人によって様々な事情があると思いますが、本人がどのように捉えているか、どう考えているかが大切です。
【📝転職(退職)理由の深掘りにおすすめの問いかけ例】
・退職理由のきっかけとなった問題が、前の職場で解消することはできなかったのか
・当院で働くことで、その問題が本当に解消できるのか
・同じことが起きた時の対策は考えられているか
面接時に意識する3つのポイント
面接官には、自院に合う応募者であるかを見極めることと同時に、応募者の入社意向を高めるための面接を実施するという役割があります。
その点を踏まえて、面接官が面接時に忘れてはいけないポイントを3つご紹介します。
(1)話を深く掘り下げて応募者の本音を引き出す場にする
質問は、一問一答形式ではなく、回答を深掘りする形での会話を行うようにしましょう。
深掘りすることで、応募者の考え方や本音が引き出せるためです。
本音を引き出せないと、応募者の上辺の声しか聞くことができずに、採用ミスマッチに繋がってしまいます。
【📝応募者を深く理解するための問いかけ例】
・なぜそのように考えたのですか
・具体的なエピソードはありますか
・なぜその経験をしようと思ったのですか
・その経験から何を学びましたか
・学んだことをどのように仕事に活かしましたか
・どのように問題点を発見したのですか
・どのように対処しましたか
・どのように改善しましたか
ひとつの質問に対して、上記のような形で、さらに問いかけることをおすすめします。
また面接が威圧的な雰囲気では、応募者の本音を引き出しにくいため、緊張を和らげる雰囲気づくりをして面接に臨みましょう。
(2)応募者と自院、お互いを理解する場にする
面接官が一方的に質問をして見極めるだけでなく、応募者が気になる点や知りたいことを聞き出すように質疑応答を行いましょう。
応募者が気になっていそうなこと、応募者が働く医院を選ぶ上で必要となる情報は積極的に提供できるとよいですね。
面接は、自院が採用する応募者を選ぶ場だけではありません。応募者が働く医院を選ぶ場でもあります。お互いにマッチするかの理解を深めるために実施しているということを忘れないようにしましょう。
(3)自院の魅力を伝える場にする
面接の役割は、人材を見極める場としてだけでなく、自院の魅力を応募者にアピールする場としても有効です。
応募者は、面接での医院の印象なども含めて、入社するかどうかの判断をします。
いくら求人票とマッチしていても、面接でネガティブな印象を持たれてしまった場合、優秀な人材を逃してしまうこともあります。
医院の印象=面接官の印象となることを忘れず、「この医院で働きたい」と思ってもらえる面接にできるよう、意識しましょう。
【📝アピールしたい自院の魅力】
・職場の雰囲気
・条件や給与などの待遇面
・休日や残業
・研修制度
・資格取得の制度
具体的なエピソードを交えながら、アピールできると◎です!
面接では、ネガティブな印象を与えるような発言はしないように気をつけましょう。
💡面接の質疑応答の中で、応募者のニーズに応じた情報提供を行うには、以下のようなイメージで実施するとスムーズです!
【質問例1】仕事をする上で、大切にしたいことを教えてください
⇒(応募者の回答)「●●●を重視して仕事をしたいです」
⇒(面接官の受け答え)「そうですね。弊社も、●●●●を重視する風土を大切にしています」
【質問例2】入社後どうなりたいか、挑戦したいことを教えてください
⇒(応募者の回答)「●●●に挑戦したいです」
⇒(面接官の受け答え)ロールモデルとなる社員の活躍を紹介する
まとめ
この記事では、歯科衛生士の採用面接で活用できる具体的な質問例の紹介や面接時のポイントなどをご紹介しました。
ぜひご紹介したポイントを参考に、採用活動に活かしていただけると幸いです!
効果的な質問で採用ミスマッチを防ぎ、優秀な人材を見極めて、採用成功につながることを祈っております。
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