歯科衛生士の給料は安い?条件別の平均給料と求人採用のために院長ができることを解説

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歯科衛生士の求人採用を成功させるためには、自院をかまえる地域の平均給料を知り、くわえて自院ならではのアピールポイントをもつことが大切です。

実際に、歯科衛生士の求人採用に力を入れている院長ほど「ライバルよりも好条件にしたい」と考えています。

この記事では、2023年7月現在、歯科業界をはじめとする全業種において累計応募数2,492名の実績をもつ弊社が、

  • ・歯科衛生士の平均給料
  • ・院長が求人採用のためにできること

を解説します。

  • 自分の年収が適切かどうか分からない歯科衛生士
  • 歯科衛生士の求人採用で悩んでいる院長

このような方は、ぜひ最後までご覧ください!

【条件別】歯科衛生士の平均給料と平均年収

まずは、条件別に歯科衛生士の平均給料と平均年収について解説します。

なお「きまって支給する現金給与額」は手取り額ではありません

基本給・職務手当・精皆勤手当・通勤手当・家族手当などが含まれており、所得税や社会保険料を控除する前の金額です。

データについては、短時間労働者(パートやアルバイト)ではない一般労働者の平均給与額であり、平均年収は以下の計算式で算出しています。

平均年収 = きまって支給する現金給与額 × 12 + 年間賞与その他特別給与額

これらの点を踏まえたうえで、それぞれの内容について1つずつみていきましょう。

会社規模別

会社規模別の、歯科衛生士の平均給料と平均年収は以下のとおりです。

会社規模(従業員数)きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
企業規模計28万円43万円379万円
10〜99人28万円36万円372万円
100〜999人27万円77万円401万円
1,000人以上30万円90万円450万円
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

従業員数が多く、会社の規模が大きくなるほど、平均給料・年収も高くなっていることがわかります。

従業員数が100人以上いる会社とは、歯科以外の診療科目にも対応した総合病院などの大きな病院が該当します。

男女別

続いて、男女別の歯科衛生士の平均給料と平均年収をみていきます。

◾️男性の場合

会社規模(従業員数)きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
企業規模計27万円49万円373万円
10〜99人25万円9万円309万円
100〜999人
1,000人以上29万円93万円441万円
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

◾️女性の場合

会社規模(従業員数)きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
企業規模計28万円43万円379万円
10〜99人28万円36万円372万円
100〜999人27万円77万円401万円
1,000人以上30万円90万円450万円
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

従業員数100〜999人の男性歯科衛生士のデータがありませんでしたが、性別によって平均給料に大きな差はみられませんでした。

ただし調査を受けた人数は、男性が9名、女性が3,754名と圧倒的に差があります。

その理由は、男性の歯科衛生士が少ないことが考えられます。

また従業員数10〜99人の医院に勤める男性歯科衛生士の人数は、この調査では5名でした。

そのため、5名が勤める医院の給料・賞与額がダイレクトに反映されていると考えられます。

男性歯科衛生士の平均給料・年収については、参考程度と捉えておくのがよいでしょう。

年齢別

次に、年齢別に歯科衛生士の平均給料と平均年収を解説します。

会社規模別に分けてみていきます。

◾️従業員10〜99人の場合

年齢きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
〜19歳
20〜24歳25万円14万円314万円
25〜29歳27万円48万円372万円
30〜34歳27万円26万円350万円
35〜39歳30万円38万円398万円
40〜44歳29万円39万円387万円
45〜49歳31万円36万円408万円
50〜54歳31万円51万円423万円
55〜59歳29万円62万円410万円
60〜64歳33万円30万円426万円
65〜69歳28万円80万円416万円
70歳〜
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

◾️従業員100〜999人の場合

年齢きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
〜19歳
20〜24歳22万円34万円298万円
25〜29歳25万円132万円432万円
30〜34歳23万円58万円334万円
35〜39歳35万円136万円556万円
40〜44歳29万円107万円455万円
45〜49歳31万円99万円471万円
50〜54歳31万円83万円455万円
55〜59歳26万円68万円380万円
60〜64歳41万円207万円699万円
65〜69歳
70歳〜
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

◾️従業員1,000人以上の場合

年齢きまって支給する
現金給与額
年間賞与
その他特別給与額
平均年収
〜19歳
20〜24歳20万円43万円283万円
25〜29歳23万円55万円331万円
30〜34歳30万円42万円402万円
35〜39歳23万円63万円339万円
40〜44歳37万円146万円590万円
45〜49歳26万円41万円353万円
50〜54歳41万円209万円701万円
55〜59歳33万円102万円498万円
60〜64歳33万円148万円544万円
65〜69歳
70歳〜
引用元:令和4年賃金構造基本統計調査

会社規模に関わらず、平均給料はどの年齢でも25万円〜35万円程度であることがわかります。

30代〜40代のあたりで給料が下がる傾向にあるのは、出産・育児に伴って時短勤務などが発生するからだと考えられます。

女性の歯科衛生士が圧倒的に多いので、このような結果になっているのでしょう。

データを見て、大きな違いがみられるのは「年間賞与その他特別給与額」です。

従業員数99人未満の医院では80万円が最大ですが、従業員数100人以上の会社では100万円以上の賞与を受け取れる年代が存在しています。

また年齢が上がるほど、賞与の額も多くなる傾向にあります。

しかし、給料や賞与には経験年数や資格の有無なども反映されるため、年齢は給料を決める基準の1つに過ぎないといえるでしょう。

都道府県別

最後に、都道府県別に歯科衛生士の平均給料と平均年収をみていきます。

自院のある都道府県の平均年収と、自院にて設定している報酬額を比較してみてください。

都道府県名平均年収
北海道395万円
青森県273万円
岩手県359万円
宮城県476万円
秋田県332万円
山形県345万円
福島県323万円
茨城県385万円
栃木県251万円
群馬県304万円
埼玉県398万円
千葉県344万円
東京都468万円
神奈川県475万円
新潟県422万円
富山県369万円
石川県277万円
福井県394万円
山梨県387万円
長野県364万円
岐阜県327万円
静岡県380万円
愛知県408万円
三重県366万円
滋賀県328万円
京都府390万円
大阪府349万円
兵庫県415万円
奈良県366万円
和歌山県345万円
鳥取県282万円
島根県401万円
岡山県347万円
広島県379万円
山口県410万円
徳島県347万円
香川県406万円
愛媛県362万円
高知県404万円
福岡県453万円
佐賀県321万円
長崎県454万円
熊本県335万円
大分県249万円
宮崎県263万円
鹿児島県263万円
沖縄県362万円
都道府県名平均年収
引用元:厚生労働省 職業情報提供サイト

最も平均年収が高いのは宮城県の476万円、最も平均年収が低いのは大分県の249万円です。

その差はなんと227万円

このように、地域によって平均年収は大きく異なります。

自院での求人採用を行う際には、地域の相場に合った報酬額を設定することが大切です。

歯科衛生士の年収アップ方法3選

ここからは、歯科衛生士が年収アップするための方法について解説していきます。

歯科衛生士が年収を上げるためにできることは、以下の3つです。

それぞれの内容について、1つずつみていきましょう。

歯科衛生士業務以外の仕事を巻きとる

歯科衛生士業務以外の仕事を巻きとることで、年収アップを狙えます。

たとえば

  • ・受付
  • ・後輩の教育
  • ・事務作業 など

さまざまな業務に挑戦し、医院にとって重要な人材になれるよう努力することが大切です。

また、できる範囲で院長の仕事をかわりに行うことで、院長にとっても貴重な存在として認められるでしょう。

その結果として、給料・年収アップにつながると考えられます。

認定歯科衛生士資格を取得する

さらなる知識・技術力アップを目指し、認定歯科衛生士資格を取得することも年収アップのためには有効だと考えられます。

なぜなら資格を所有することで、

  • ・向上心があること
  • ・深い知識や技術を所有していること

の証明になるからです。

具体的には

などがあげられます。

関心のある分野の認定歯科衛生士資格を取得すれば、自身のスキルアップにも繋がることでしょう。

豊富な知識・技術を所有する貴重な人材となることで、年収アップが狙えます。

もし今の勤務先で、取得した資格を活かせそうにない場合は、その分野を専門とする歯科医院に転職することも1つの方法です。

転職する

歯科衛生士が年収を上げるためには、勤務先を変えることも検討してみましょう。

歯科衛生士の給料は、

  • ・勤務先
  • ・地域
  • ・会社規模

などによって、大きく異なります。

  • 今の勤務先の給料に納得がいかない
  • 今の勤務先では年収アップは難しそう

このように感じているのであれば、転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。

令和3年度の歯科衛生士の有効求人倍率は22.6倍といわれています。(全国歯科衛生士教育協議会「歯科衛生士教育に関する現状調査の結果報告」図4

これは歯科衛生士1人に対して、22〜23の医院が「自院にきてほしい」と思っている状況。

歯科衛生士の求人はたくさんあるため、年収アップを狙いたい場合に転職を考えるのは、有効な手段といえます。

歯科衛生士の求人採用のために院長ができること

自院に合った歯科衛生士を採用するために、院長ができることがあります。

1つずつ詳しく解説していきます。

相場に合った給料を支給する

歯科衛生士を採用するにあたり、まず初めにすることは自院がある地域の給料相場を知ることです。

給料の相場は

などで調べられます。

弊社がコンサルティングを行っている歯科医院はもちろん、全国的にみても、求人採用に力を入れている院長の多くが、近隣の給料相場をチェックしたうえで給料を設定しています。

さらに「ライバルよりも好条件で採用したい」と考え、あえて相場よりも高い給与を設定している院長も多いです。

ただし、給料を相場に合わせたからといって「これで大丈夫だ!」というわけではありません。

あくまでも、給料を相場に合わせることは「スタート地点」です。

相場に合った給料を設定したうえで、自院ならではのアピールポイントをもち、近隣の歯科医院と差別化を図っていくことが求められます。

周辺相場から給料を決める際の注意点を本記事内にまとめました。
こちらもご覧ください。

Tips: 歯科衛生士の給料は「高ければ高いほど良い」はNG?

院長の思いを発信する

自院に合った歯科衛生士を採用するためには、

  • 院長が大切にしている思い
  • 医院としての理念

を求職者に伝える必要があります。

なぜなら、院長の考え方や価値観、医院としての理念を伝えることで、その思いに共感した人からの応募が集まりやすくなるからです。

価値観が似ている歯科衛生士を採用できるので、自社にマッチした人材である可能性が高く、定着率アップも狙えるでしょう。

求職者に対して想いを伝えるためには、価値観や理念を言語化することが大切です。

自分自身と向き合うなかで、

  • ・どんな人材を求めているのか
  • ・何を大切にして日々治療を行っているのか
  • ・従業員に対する思い

などの価値観を明確にしておきましょう。

自院の情報を開示する

歯科衛生士を獲得するためには、自院の情報をできるだけ開示することも有効です。

なぜなら求職者は、勤務先の情報が開示されていることで、採用されたあとに職場で働く様子をイメージできるからです。

具体的には、以下のような内容を求人票に記載するとよいでしょう。

  • 給料や手当(明確に記す)
  • 福利厚生(できる限り詳しく丁寧に)
  • 1日の流れ
  • 医院の設備(休憩室の電子レンジやWi-Fiの有無など)
  • どんな人が働いているのか(男女比や年齢層)

休憩室の電子レンジやWi-Fiの有無などは、一見すると勤務には関係ないように思えます。

しかし、院長が「当たり前」と思っていることでも、記載しないと求職者には伝わりません

ほとんどのライバル医院がこのような情報を開示していないからこそ、自院の情報開示を行うことで差別化につながり、応募が集まるようになります。

Tips: 歯科衛生士の給料は「高ければ高いほど良い」はNG?

近隣歯科医院の給料相場を調べて、それよりも自院の給料を高く設定する。
すると、それを受けて競合の歯科医院も給料額を上げる、という流れになる可能性は十分考えられます。
採用への意識が高い医院は、貴院と同じように周りの動向をチェックしていることが多いものです。

それなら、周りが真似できないくらい、給料を大幅アップすればいいのでは?と言われる先生もいますが、それは少し危険です。

なぜなら、一般的な感性の持ち主であれば、高すぎる給料を警戒するのが普通だからです。

「ここの職場は人がどんどん辞めるひどい職場なんじゃないか?だから給料を大きく上げないと人が来ないのでは?」

もし、これをご覧の先生が給料で近隣医院と戦おうとしているのであれば、なぜこの額にしているのか、の説明をプラスすることをおすすめします。

メリットとあわせて具体性を提示すると読み手に響きやすい、という採用マーケティングの考え方があります。

信頼を得るためには、納得できる説明が必要です。
説明といっても根拠やデータは必要なく、「この給料額に決めた理由」や院長の気持ちなどで十分。

例えば…

  • ライフステージの変化で一時的に働けなくなる人が多いから、できるだけ還元してあげたい
  • 他の医院よりも高い技術レベルを求めているため
  • この周辺の平均年収がこのくらいだから、それを越えたい!という思いがある

また、これは給与に限った話ではなく、求人作成全体にも言えます。

どんな項目においても、良い条件をアピールするだけで終わらせず、「なぜこのような条件になっているのか」を説明できると⭕️です。
求職者からは院長の「軸」が見えるため、「この人は自分を騙そうとしているのではない」という安心=職場そのものに対する安心を感じられます。

表面上で良いことを書くのは誰にでもできてしまいます。
だからこそ、もう一歩踏み込んだ「なぜ」の説明ができると、他の求人と差をつけることが可能です。

「良い条件だけ」では人が集まりにくい環境に変わってきています。
求人票の時点で求職者から信頼してもらえる書き方を心がけ、働き手に寄り添う「新しい求人活動」に取り組んでいきましょう!

まとめ:歯科衛生士の給料相場を知ることから始めよう

今回は、歯科衛生士の平均給料と年収について解説してきました。

  • 歯科衛生士の人は、自分の給料が相場から逸脱していないか
  • 院長は、地域や職種に合った報酬額を提示できているか

これらを確認することが大切です。

そのうえで、歯科衛生士が給料アップを狙うには

  • ・歯科衛生士業務以外の仕事を巻きとる
  • ・認定歯科衛生士資格を取得する
  • ・転職する

これらを試してみるとよいでしょう。

また、院長が自院に合った歯科衛生士を採用するためには

  • ・相場に合った給料を支給する
  • ・院長の価値観や理念を伝える
  • ・自院の情報をできるだけ開示する

これらのことが求められます。

中でも大切なのは、自院の価値観や理念を明確にし、言語化して伝えること。

そうは言っても、どうやって言語化すればいいのかわかりません…。

価値観を発信するには、どうすればいいのでしょうか?

このように感じる院長もいるのではないでしょうか。

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