「なるほど!デンタル人事」メディアをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
メディアの責任者をしております飯田憲幸と申します。
当メディアは日本全国で歯科衛生士の求人採用コンサルティングを行っている株式会社ナインデザインが運営しています。
現在、日本全国で歯科衛生士の採用が大変厳しい状況が続いています。
「この人を採用してよかった」「ここに入職してよかった」と、歯科医院・歯科衛生士双方が思えるよう、ミスマッチの起きない採用活動の一助となるよう当メディアを立ち上げました。
歯科衛生士の採用・定着にお困りの先生は、当メディアを活用いただく前にまずは当記事で歯科医院が置かれている現状を把握ください。
そもそも歯科医院の採用はなぜ難しいのか?
歯科業界に限らず日本の労働者人口は激減の一途を辿っています。
まず、15歳から64歳までの労働者人口推移を見ていきましょう。
出展:令和4年版 生産年齢人口の減少(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd121110.html
図にある通りですが、2021年に7,450万人いる労働者人口が、2030年には6,850万人と、わずか9年で600万人も減少。さらに2040年には5,978万人と、1,472万人も減少することが予測されています。
これは九州全県の人口と変わらない数字です。
ここで大切なのは、労働者人口が減っていくと現段階で既に分かっているということ。
だからこそ、如何にして今のうちから自院のスタッフを確保する手段を事前に対応しておくかが重要になります。
先生は、あと何年経営される予定でしょうか?その時にスタッフの確保はさらに困難になることは間違いないはずです。
歯科衛生士の採用が難しい理由
さて労働者人口が激減していく未来がわかったところで、歯科衛生士についても具体的に調べてみましょう。
そもそもなぜ歯科医院の求人採用が難しいかというと、下記の4点が挙げられます。
- 歯科診療所の増加に対し歯科衛生士数が足りていない
- 歯科衛生士の転職率の高さが際立っている
- ライフステージの変化による退職
- 歯科衛生士を養成する学校の定員割れ
それではこの4点を具体的に深掘りしてみましょう。
1. 歯科診療所の増加に対し歯科衛生士数が足りていない
歯科診療所は、年々右肩上がりに増加している一方で、そこで従事する歯科衛生士の数が足りていません。
歯科衛生士の国家資格を有する登録者数は2019年2月の時点で28万3,032人です。
しかし、2020年の厚生労働省の衛生行政報告例によりますと実際に就業している歯科衛生士の数は14万2,760人です。
つまり、単純に資格を有しているにも関わらず就業していない歯科衛生士が半数を占めていると分かります。
さらに2021年1月末の厚生労働省調べによりますと、全国の歯科診療所は68,024件です。
就業している歯科衛生士数で平均値を出してみますと、1医院あたり歯科衛生士の就業平均数は2.09名となります。仮に国家資格を有する全ての歯科衛生士が業界で働いてくれるのであれば、1医院あたり4名ほどになりますので就業していない歯科衛生士の掘り起こしも課題と言えるでしょう。
2. 歯科衛生士の転職率の高さが際立っている
二つ目に挙げられるのは転職率の高さが際立っているということです。
卒後歯科診療所に就職した衛生士がその後一度でも転職した、職場を変えた経験がある人は75%程度と言われています。歯科衛生士の有効求人倍率は日本でもトップクラスの倍率がゆえに、売り手市場であるといえます。
今就業している医院において、院長やスタッフとの人間関係、処遇待遇、職場環境などに不満を持った際に、それが改善されないようであれば、自ら他の良い歯科医院を求めて転職する人が多いのも売り手市場だからこそおこる転職率の高さと言えるでしょう。
3. ライフステージの変化による退職
歯科衛生士の99%が女性です。結婚、出産、育児というライフステージの変化を理由に離職せざるを得ないケースが多いのも理由として挙げられます。
もちろん出産や育児を経て復職する歯科衛生士もいらっしゃいますが、子どもを預けることができない、核家族がゆえに身近に面倒を見てくれる親族がいない、などの理由から戻りたくても復帰できないというケースもあります。
だからこそ院長は、スタッフのライフステージが変わっても安心して働ける仕組みづくりにも注力しなければなりません。
産休・育休の実績や、復職した際にパートでもいいのか、短時間正社員でもいいのかなどの働き方が多数選択できるようにしておくべきです。
4. 歯科衛生士を養成する学校の定員割れ
出生率の低下に伴い、歯科衛生士を養成する学校への入学者も同様に低下の一途を辿っています。2013年は全国の定員数に対し充足率が97.5%であったのに対し、2020年には86.1%と約10ポイント低下しています。
直近では、2022年の入学定員数が9,609名に対し、実際の入学者は8,547名。充足率は88.9%。
定員割れを起こしている養成校は全体の54.3%にも及んでいることから、この現象は今後も続くのではと予測されています。
求人採用はマーケティングである
歯科衛生士の業務はDX(デジタルトランスフォーメーション)化が難しいために、どうしても人の力が必要となる職種でもあります。
だからこそ、歯科医院が生き残るためには1に採用、2に集患と人を集めることに重きを置かなければなりません。つまりはマーケティングです。
ではマーケティングにおいて重要なことは何かといえば、「相手(歯科衛生士)は何を求めているのか、何を欲しているのか」のニーズを知ることです。
そしてそのニーズに対してのライバルの医院がやっていない具体的な対策が必要となります。
しかし残念なことに、多くの歯科医院が出している募集要項は「雇用条件」のみであり、歯科衛生士が本当に求めている「情報」についてはほぼ掲載されていません。
仮に掲載されていたとしても「アットホームな職場」や「スタッフの仲がいいです」程度のものが散見されます。
では実際にどのような情報が必要なのかというと「抽象度の高い表現をしない」に尽きます。抽象度の高い表現は、受け取る側によって大きく解釈が異なるためです。
解釈が異なるから「私はこう思っていました」などのミスマッチの原因となってしまうのです。
ミスマッチこそ離職、業界離れの大きな理由
例えば例をあげてみましょう。
【歯科衛生士A子さん 主婦30歳 3歳の娘を育てている】
妊娠出産を機に退職したが、そろそろ復帰したいと思っている。前職の医院には戻るつもりはないので新たに働ける就職先を探している。
● A子さんのニーズ
- 子育ての環境を理解してくれる院長や同僚がいて欲しい
- 子供の病気などで急な休みを取ることがあるかもしれない
- 夕方は子供のお迎えが必要なので15時までには上がりたい
さて、どうでしょうか?
皆さんがパートを求めている歯科医院だとしたらどんな情報を掲載されますか?
しかし多くの歯科医院のパート募集要項を見ても
- 時給1,500円〜
- アットホームな職場です
- 希望の時間で働けますので相談ください
程度しか乗っていない求人が散見されます。
ここで大切にしていただきたいのはA子さんのニーズなのです
なので、
- 院長には子供はいるのか(子育ての大変さを知っている)
- 職場のスタッフ構成を数字で表す(例:30代のDHが3名在籍しており、全員が子育てしている)
- 急な休みでも有給消化で対応できる
などの情報がプラスで必要です。
必要なのは、ただ歯科衛生士を募集しているではなく、ターゲット(どんな人に入職して欲しいか)を明確にした上でその人のニーズを想定し情報として掲載していくことで求職者とのミスマッチを防ぐことができます。
これが新卒の例だとどのようになるのかもみてみましょう
【衛生士学校の学生B子さん 22歳 今年卒業予定】
卒業を控え、国家資格の勉強に励んでいるB子さん。
B子さんにはどんなニーズがあるでしょうか。
● B子さんのニーズ
- 初めての就職先はもちろん不安なので、自分の年齢に近い先輩がいて色々と教えてくれると嬉しい。
- 自分と年の差が離れているスタッフだけだと話が合うか不安
- 歯科衛生士の資格取得に頑張っているのでスキルを伸ばせる環境がいい
- わかりやすい教育カリキュラムがあるといい
さて先生ならどんな情報でB子さんのニーズに応える情報を提供できますか。
ここではあえて回答しませんが、ぜひこの「なるほどデンタル人事」サイトや、弊社主催の求人採用セミナーで答えを見つけていただきたいと思っています。
このメディアでお伝えしている情報
当メディアでは、歯科医院に必要な「求人」「採用」から「定着」まで幅広い情報提供をしています。
学術的なこと、臨床に関すること、マネジメントに関すること、経営に関することなど多くの情報に先生が触れる機会は多いと思います。
ですが、私どものセミナーで先生に「求人採用の情報に触れる機会はありますか」とご質問をすると、ほとんどの方が「ない」とお答えになられます。
確かに求人に関することを教わる機会はそう多くはないと私たちも感じます。
しかし、前述に記載している通り歯科医院の経営において最も大切なことは「求人採用」と「集患」です。
だからこそ、求人採用における情報収集のお役に立てるように私たちでは求人採用から定着に至るまで、そしてよりよい安定した歯科医院経営を先生におこなっていただきたいと考えております。
ぜひこの「なるほどデンタル人事」サイトで、先生の安定経営のための土台づくりとして活用いただければ幸いです。
また、より具体的な情報をオンラインセミナーでもご提供しております。
ぜひセミナー情報もチェックいただき先生の安定経営の一助にしていただけますと幸いです。