歯科医院での陰湿な嫌がらせ!対処法をご紹介

スタッフ教育

歯科医院は、様々な人たちが集まって成り立つ場所です。そのため、人間関係の問題はどうしても避けられません。「人間関係」は、歯科衛生士の離職の原因としても上位にあがっており、スタッフの定着率を高めるためにもその重要性は明らかです。

今回は、歯科医院内での陰湿な嫌がらせがある場合にどう対処したら良いか、という点について解説していきます。

故意にだけではなく、気が付かないうちに嫌がらせになってしまっているというパターンもありますので、ぜひみなさんにご覧いただきたいと思います。

それ「歯科医院いじめ」かも!こんなことに心当たりはありませんか?

まず最初に覚えておいていただきたいのは「歯科医院いじめ」はスタッフ同士だけではなく、院長とスタッフ間でも生じているということです。決してそのようなつもりはなくても、客観的に見た時にそうなってしまっているケースも少なくはありません。

ここではどのようなことがそれに相当するのか、いくつか例をあげていきます。ぜひ、現在の医院の状態を思い起こしてみてください。

  1. 無視をされているスタッフがいる
  2. 嫌みや陰口が頻繁に聞こえてくる
  3. 仕事上必要な時でも協力しない
  4. 仕事のミスを他の人のせいにするスタッフがいる
  5. 他のスタッフの手柄を自分がしたように話す人がいる
  6. 怒鳴ったり、患者様の前で過度に叱ることがある
  7. 仕事の指示をしなかったり、仕事を与えないことがある
  8. こなせないような量やレベルの仕事をふったことがある
  9. 正当な評価を行わない、個人的な感情で減給したりボーナスを支払わないことがあった
  10. プライベートに干渉し過ぎてしまったことがある

思い当たることはありませんでしたか?

もしあったとしたら、次はぜひその改善策を考えてみてください。これは「より良い医院作りのためのヒント」だと、ぜひ前向きに捉えていただけたらと思います。

院長からの嫌がらせやいじめは「ハラスメント」

上記であげた例の①〜⑤は主にスタッフ間で、⑥〜⑩は院長との間で生じることが多い問題です。スタッフ間で起きたことは「嫌がらせ・いじめ」ですが、それが院長からのものである場合、それは「ハラスメント」になるため注意しなければなりません。

ハラスメントには「パワハラ・マタハラ・セクハラ」など、色々な種類があります。
歯科医院は小規模なところが多いですが、企業と同じように「ハラスメントを防止する義務」があることは変わりません。ご自身がハラスメントをしていなければ心配ない、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、スタッフ間で生じているものも放置すると法的責任を問われることもあります。

院内でハラスメントが起きないように配慮することはもちろん、もし院内でハラスメントが認められる場合には早急な対応が必要です。

どんなタイプの人が嫌がらせやいじめをしやすい?

人が集まると、人間関係の問題はどうしても生じます。人間である以上、致し方ないことかもしれません。しかし先ほどもお伝えした通り、経営者として「ハラスメントを防ぐ義務」を果たさなければなりません。

嫌がらせやいじめをしやすい人には似たような傾向があります。ここでは、良く見られる特徴やその心理をご紹介いたしますので、一つの例として参考になさってください。

嫌がらせをしやすい人=陰湿な人

相手からの印象でそう感じることはもちろんですが、一見良い人に見えて、話も上手なタイプの人が当てはまることもあります。経営者としてその点もしっかり見極めなければなりません。
特徴としては「人によって態度が変わる・裏表がある・陰で悪口を言う・文句ばかり言う」などが多く見られる傾向があります。

陰湿な人の心理とそうなってしまう原因

自分に自信があり現状に満足している場合、陰湿なことを行う人は恐らくいないのではないでしょうか。陰湿になってしまう人には、何らかの原因があるものです。

心理的または状況的な理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 嫉妬しやすい
  • 自分が優位でいたい気持ちが強い
  • ストレスが溜まっている
  • 自分に自信がない
  • 仕事ができる、またはできない
  • 自己主張が強すぎる

嫌がらせをするスタッフがいたら、こう対処しよう!

できれば陰湿なスタッフがいないことが理想だと思いますが、世の中には様々なタイプの人がいます。また多様な人材がいることで、患者様に対応できる幅が広がるのも事実です。

今回お伝えしたいのは、あくまでも陰湿な人を否定することではありません。

院長とスタッフ間やスタッフ同士のいざこざを防いだり解消したりすることは、医院にとって非常に有益なことです。そのために、嫌がらせをしてしまいやすいタイプの人について理解しておくこと、またそのような状況に出くわした時に上手に対処できるようになることが重要だと考えます。

ここからは、具体的な対処法についてご紹介していきます。

嫌がらせをしている人への対応

嫌がらせをしている本人への対応方法としては、以下のようなものがあります。

①陰口や悪口に同調しない

持ちかけられた陰口や悪口に同調してしまうと、自分も同じだと思われてしまいます。話を聞いているとうっかり同調してしまいたくなることもあるかもしれませんが、もし陰口や悪口を持ちかけられたとしても、上手にスルーしておきましょう。

②当たり障りない対応をしておく

スタッフの対応に対して、不満や問題を感じていたとしても、そこできつく叱ったりすることは逆効果です。このタイプの人は、自分が否定されたと感じやすく、さらに状況が悪化してしまうこともあるので気を付けましょう。

③褒められるところは褒める

嫌がらせをしがちなスタッフは、自分に自信がなかったり、優位に立ちたい気持ちが強いことも多くあります。

その場合は、もし褒められるところがあれば褒めたり、評価したりしてみてください。それによりスタッフの態度が変わることもあるかもしれません。

様子を良く観察しながら、上手く立ち回れる方法を見つけたいものです。

④然るべき処置をとる

時には院長として、然るべき処置をとることが必要な場合もあります。

嫌がらせをそのままにしておくことで、エスカレートしてしまうこともあるからです。できれば避けたいことかもしれませんが、やむを得ず必要とする場面では、毅然とした態度で対応しましょう。

嫌がらせをされている人への対応

一方、嫌がらせをされているスタッフへはどう対応したら良いのでしょうか。嫌がらせを受けていたり負担を感じていることをわかっていながら、対応方法がわからずそのままにしてしまうこともあるかもしれません。

とはいえ、それでは最終的にスタッフの退職に繋がってしまう可能性もあり、医院にとっても何もいいことはありません。

この項では5つの対応方法をあげていきますので、参考にしてください。

①目上の人へ相談するよう促す

嫌がらせをしてくる人は、自分が優位に立ちたい傾向のあることが多いため、目上の人から注意されることを嫌います。

そのため嫌がらせなどに困っているスタッフがいる場合には、院長やチーフなどに気軽に相談できるような体制を整えておくのも良いでしょう。とはいえ、中にはチーフが嫌がらせをしているケースもありますし、院長に直接言うことはなかなか難しいものでもあります。

院内で対応せず、外部の人に相談できる方法をとるのも良いかもしれません。

②嫌がらせの内容や証拠を残しておくよう伝える

ただ「嫌がらせをされている」というだけでは、どのような嫌がらせをされているのか客観的に判断することが難しくなります。いつ、どのような嫌がらせを受けたのか、できるだけ記録として残すことも大切です。

嫌がらせを受けている本人は、そこまで考える余裕がない可能性も大いにあるでしょう。経営者としての立場から、記録をしておくようアドバイスをしてあげるのも良いかもしれません。

③なるべく距離をとれるように配慮する

歯科医院の規模によっては、なかなか距離をとることが難しいかもしれません。

しかし、少し距離をとることで嫌がらせをする機会をなくしたり、少なくしたりすることはできるのではないでしょうか。仕事だから、といってしまえばそうかもしれませんが、可能な範囲で配慮することでスタッフの退職を避けられるかもしれません。

また嫌がらせによりスタッフが本来の力を発揮できなくなってしまうことも、医院にとって不利益です。働きやすい環境を作れるように配慮しましょう。

④自分を磨くことに集中できるようフォローする

嫌がらせなどにより精神的に負担や苦痛を感じている場合、一般的に人は萎縮してしまうものです。しかしそのことから気をそらせられると、少し楽になることもあるのではないでしょうか。

既に講習会への参加や資格取得のフォローなど、学べる環境を用意されている医院も少なくないと思います。その制度を活用して、自分の知識や技術を磨くことに集中できるよう促してあげることも得策です。

当の本人は消極的になってしまっている可能性もあるため、具体的な講習内容や資格などを提案するのも良いかもしれません。

⑤良い点は積極的に伝え、評価する

精神的なダメージから「私が悪いのかな。できていないのかな。」などと自信をなくしてしまうことは珍しくありません。嫌がらせを受けているスタッフに対しても、良い点を積極的に伝えてフォローしましょう。

ここであげた5つの方法は、あくまでも一例です。対応するスタッフの性格などによっても、向き不向きがあると思います。

もし可能であれば、より個々に適した対応ができるように、仲の良いスタッフやチーフなどの意見も聞いてみてください。

もしかしてハラスメントだったかも?と思ったら

今回のブログの始めに「歯科医院いじめ」の例を複数あげましたが、実際に歯科医院で直面したことのあるハラスメントについて、現役の歯科衛生士に聞いてみました。

《実例:歯科医院でのハラスメント》
・院長が患者様や他のスタッフの前で怒鳴る、大声で叱りつける
・院長が遠回しに嫌みを言う
・仕事の指示を仰いでも無視する、必要な指示を出さない
・退職が決まった途端に無視したり、素っ気ない態度になったりする
・プライベートについて必要以上に根掘り葉掘り聞いてくる
・妊娠したら態度が冷たくなった

これらにもし心当たりがあると思ったら、すぐに何かしらの対応をすることをおすすめします。

診療をしながら経営的なことや、スタッフのことまで考えなければならない院長という立場は、想像していたよりもずっと大変かもしれません。お給料を払っている上、思い通りにならなかったり、仕事がなかなかできるようにならないスタッフがいたりするとイライラする気持ちもわかります。

しかし、だからといって横柄な態度をとって良いわけではありません。

もし「あれは良くなかったな」と思うようなことがあれば、一言謝罪の言葉を伝えるのも大切です。謝ることで、院長や経営者として低く見られるようなことは意外と少ないものだからです。反対に、謝るべき時に謝れるということは、スタッフにとって人としての好感を与えます。

その上で改善できる点を改善したり、体制を変えたりしていきましょう。

良好な人間関係の構築は成功の大きな鍵

今回は、歯科医院で起こる嫌がらせやいじめへの対処法についてお話しました。
歯科医院は比較的小規模なため、できるだけ心地良い人間関係を築いていきたいとお考えの先生は少なくないと思います。

その中で嫌がらせなどの問題が生じた場合、面倒に感じてしまうこともあるかもしれません。問題が起きた時にその人を否定することは簡単ですが、退職という結果になれば新規採用のための時間も費用も新たにかかることになります。上手く立ち回り、スタッフが長く定着するような職場を作っていきましょう。

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特に今回のような問題が院内にある場合、どう対応すべきか難しく感じていらっしゃる先生もいらっしゃるでしょう。

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