自院で働く歯科衛生士のモチベーションを高め、気持ちよく長く定着して働いてもらうためには、職場環境の整備や歯科衛生士のスキルアップを支援する体制が重要です。
とくに、認定歯科衛生士などの資格取得を目指す歯科衛生士も少なくないため、資格取得を目指す歯科衛生士のサポートは、歯科衛生士のモチベーションを高められる他にも、「認定歯科衛生士が在籍する医院」として医院をアピールできるなど、自院へのメリットも大きいです。
この記事では、認定歯科衛生士の資格取得支援に加えて、その他にも歯科衛生士のスキルアップをサポートする取り組みをご紹介します。
こんな方におすすめの記事です!
- 自院で働く歯科衛生士のモチベーションが下がっている
- 自院で働く歯科衛生士の育成制度を検討している
- 歯科衛生士を採用しても、なかなか定着せずに辞めてしまう
- 自院で働く歯科衛生士のスキルが不足していることが現在の課題になっている
認定歯科衛生士とは?
「認定歯科衛生士」とは、その分野において技術や知識を十分に持っていることを証明できる資格です。
歯科衛生士が、歯科医師と共同して歯周病の予防・治療を行うことができるように設けられた資格になります。
認定歯科衛生士といっても、分野や学会によって認定資格は多数あります。
有名な資格のひとつは、日本歯周病学会が平成17年に発足した「日本歯周病学会認定歯科衛生士」などです。
認定資格によって、難易度や基準は異なりますが、認定歯科衛生士になるには、基本的には多くの要件を満たし、その上で、試験を受験、合格する必要があります。
【📝主な認定資格】
- 日本歯科衛生学会 認定歯科衛生士
- 日本小児歯科学会 認定歯科衛生士
- 日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士
- 日本歯科審美学会 認定歯科衛生士
- 日本成人矯正歯科学会 認定矯正歯科衛生士
- 日本ヘルスケア歯科学会 認定歯科衛生士
- 日本口腔衛生学会 認定歯科衛生士
- 日本歯周病学会 認定歯科衛生士
- 日本顎咬合学会 認定歯科衛生士
- 日本顎顔面補綴学会 認定歯科衛生士
◆歯科衛生士から見る3つのメリット
歯科衛生士視点でのメリットを3つご紹介します。
(1)歯科衛生士として自信になる、仕事の幅が広がる
資格を取得していることは、高い専門性の知識や実績があることの証明です。他の歯科衛生士や歯科医師からも頼りにされることもあるでしょう。また、認定歯科衛生士と名乗ることができるので、信頼にもつながります。
(2)就職の際に、給料面や待遇面で優遇されることがある
医院によっては認定歯科衛生士になることで、手当などがつく場合もあります。
認定歯科衛生士を取得している歯科衛生士に関しては給与を高く設定しているという医院もあります。
(3)転職活動の際に、アピールできる
資格取得は、知識や実績はもちろん、努力の結果でもあるので、転職活動の際の自己PRとして活用できます。
高く評価する医院も少なくありません。
◆歯科衛生士から見る2つのデメリット
続いて、デメリットとなる点を2つご紹介します。
(1)資格取得までに時間がかかる場合がある
認定資格は様々あり、難易度は分野や学会によって異なります。
資格によって、取得に数ヶ月〜数年とかかるものもある点はデメリットとなるかもしれません。
また、難易度が高い認定資格の場合は、もちろんそれに見合った努力も必要になります。
(2)資格取得に費用がかかる場合がある
資格によっては、取得の際に費用がかかる場合があります。
認定歯科衛生士が在籍する医院の3つのメリットとは?
歯科衛生士の資格取得などスキルアップに取り組むメリットを、3つご紹介します。
(1)医院の信頼度や治療の質、患者さまの満足度が高まる
スキルアップに取り組んだ結果、自院の歯科衛生士が認定歯科衛生士を取得した場合、自院のHPなどで「認定歯科衛生士が在籍する医院である」ことをアピールできます。
患者さまからの信頼度につながる他、歯科衛生士のスキルレベルの向上により、治療の質や患者さまの満足度も高まるため、自院にとってもメリットとなります。
(2)歯科衛生士のモチベーションが高まり、働きやすい環境がつくれる
資格取得などを医院側が積極的にサポートすることで、歯科衛生士は、より仕事にやりがいを感じることができ、意識も変わります。歯科衛生士のモチベーションは、仕事のパフォーマンスにも影響し、最終的に医院全体としても働きやすい環境づくりに直結します。
(3)人材採用の際の自院のアピールになる
歯科衛生士のスキルアップを支援することは、人材を採用する際のアピールポイントになります。
仕事にやりがいやキャリアアップを求める人材の場合、「スキルアップの支援や教育制度が整っている医院で働きたい」という気持ちの歯科衛生士も少なくありません。
求人に、スキルアップの支援や教育制度が充実していることを記載することで、応募数の増加が見込めます。
認定歯科衛生士の資格取得支援のすすめ
ここからは、具体的に資格取得のサポートにおすすめの認定歯科衛生士の資格を10種類ご紹介します。
(1)日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士
URL | https://www.jdha.or.jp/ |
資格名 | 日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士 |
主催 | 公益社団法人 日本歯科衛生士会 |
必要な経験 | ・認定分野A →歯科衛生士業務経験3年以上(うち、各認定分野の実務経験1年以上) ・認定分野B →歯科衛生士業務経験3年以上(うち、各認定分野の実務経験1年以上) |
(2)日本小児歯科学会 認定歯科衛生士
URL | https://www.jspd.or.jp/index.html |
資格名 | 日本小児歯科学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 公益社団法人 日本小児歯科学会 |
必要な経験 | 5年以上の小児歯科学に関する研修と臨床経験、もしくは同等以上の経験 |
(3)日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士
URL | https://www.jacp.net/ |
資格名 | 日本臨床歯周病学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会 |
必要な経験 | ・通算3年以上歯周治療に携わった経験、およびこれと同等以上の経験 ・申請時に継続して2年以上の学会会員歴を有する ・年次大会もしくは支部教育研修会への参加が3年間で2回以上ある ・認定歯科衛生士申請時に教育研修単位を30単位以上取得している |
(4)日本歯科審美学会 認定歯科衛生士
URL | https://www.jdshinbi.net/ |
資格名 | 日本歯科審美学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 一般社団法人 日本歯科審美学会 |
必要な経験 | 認定士申請時に3年以上の会員歴がある |
(5)日本成人矯正歯科学会 認定矯正歯科衛生士
URL | https://www.jaao.jp/index.html |
資格名 | 認定矯正歯科衛生士 |
主催 | 特定非営利活動法人日本成人矯正歯科学会 |
必要な経験 | ・2級 →常勤3年以上矯正歯科臨床 ・1級 →認定矯正歯科衛生士2級を取得している |
(6)日本ヘルスケア歯科学会 認定歯科衛生士
URL | https://healthcare.gr.jp/ |
資格名 | 日本ヘルスケア歯科学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 一般社団法人 日本ヘルスケア歯科学会 |
必要な経験 | 日本ヘルスケア歯科学会会員であること |
(7)日本口腔衛生学会 認定歯科衛生士
URL | https://www.kokuhoken.or.jp/jsdh/ |
資格名 | 日本口腔衛生学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 一般社団法人 日本口腔衛生学会 |
必要な経験 | ・3年以上の日本口腔衛生学会会員歴があること ・地域歯科保健、口腔保健管理に関する保健活動や臨床経験、研修・学会参加など定める単位数以上を有する |
(8)日本歯周病学会 認定歯科衛生士
URL | https://www.perio.jp/member/ |
資格名 | 日本歯周病学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 |
必要な経験 | 5年以上の歯周学研修もしくは同等の臨床経験 |
(9)日本顎咬合学会 認定歯科衛生士
URL | https://ago.ac/ |
資格名 | 日本顎咬合学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 特定非営利活動法人 日本顎咬合学会 |
必要な経験 | ・日本顎咬合学会に継続して2年以上の会員歴と臨床経験 ・学術大会への参加経験 |
(10)日本顎顔面補綴学会 認定歯科衛生士
URL | https://jamfp.sakura.ne.jp/ |
資格名 | 日本顎顔面補綴学会 認定歯科衛生士 |
主催 | 一般社団法人 日本顎顔面補綴学会 |
必要な経験 | ・認定歯科衛生士申請時において、3年以上連続した学会の会員歴を有する ・学会会員であり、会費完納である ・学会学術大会に申請前年から3年間で2回以上出席 ・学会での発表を1回以上、または学会誌での論文発表を1編以上行うこと(共同可) |
その他、歯科衛生士のスキルアップに関する3つの取り組み
ここまで、認定歯科衛生士の資格取得支援に関してご紹介してきましたが、認定歯科衛生士の資格取得以外にも、歯科衛生士のスキルアップにつながる取り組みは多数あります。ここでは3つの取り組みをご紹介します。
(1)教育制度を充実させる
自院に入社した歯科衛生士に技術の基礎を身に付けて、活躍していただくためには、教育制度を充実させることが重要です。新人の歯科衛生士はもちろん、既存歯科衛生士の技術力アップにもつながります。
教育制度の例
- 入社後のOJTや研修制度、指導マニュアルを設けて、先輩歯科衛生士や歯科医師の協力のもと技術スキルの向上を目指す
- 定期的な院内勉強会を開催する
- 院長などが学会で得た情報や知識を積極的に共有する
(2)外部セミナーを活用する
学会やコンサルティング会社、関連メーカーなどが開催する歯科衛生士向けのセミナーの活用もおすすめです。
セミナーは、参加費がかかることも多く個人での負担は大きいため、医院側が負担することで積極的に歯科衛生士の参加をサポートしましょう。院内勉強会と合わせて活用すると◎です。
(3)認定歯科衛生士以外の資格取得の支援をする
歯科衛生士向けの資格は、認定歯科衛生士だけではありません。認定歯科衛生士以外の資格についても3種類ご紹介します。
① ホワイトニングコーディネーター
ホワイトニングに関する専門性を高められる資格です。
Web配信による講習会を受講すれば、試験を受験できるので、挑戦しやすい資格です。
URL | https://www.jdshinbi.net/academic/whitening/ |
資格名 | ホワイトニングコーディネーター |
主催 | 一般社団法人 日本歯科審美学会 |
必要な経験 | ・一般社団法人日本歯科審美学会の会員である ・ホワイトニングコーディネーター認定講習会の受験 |
② トリートメントコーディネーター
歯科医院にとって必要不可欠な「患者コミュニケーション」「最新治療、最新予防」「医院経営」についての資格です。
URL | http://www.tcj.or.jp/shikaku.html |
資格名 | トリートメントコーディネーター |
主催 | 一般社団法人 日本歯科TC協会 |
必要な経験 | ・Activity Leader →歯科医院に勤務していること又は歯科医療関連業務に従事している ・Basic Instructor →Activity Leader資格認定者 ・Advanced Instructor →Basic Instructor資格認定者 ・Master →Advanced Instructor資格認定者 |
③ 嚥下トレーナー
訪問診療で必要不可欠な摂食嚥下の知識を習得できる資格です。
URL | http://npo-dhp.org/deglutition/ |
資格名 | 日本歯科衛生士会 認定歯科衛生士 |
主催 | 特定非営利活動法人 摂食介護支援プロジェクト |
必要な経験 | 間接訓練・直接訓練・嚥下観察・食事介助の4つ全てのテーマを受講の上、修了する |
まとめ
自院で働く歯科衛生士のスキルアップのサポートに関して、ご紹介してきました。
教育コストはなるべく削減したい、と考える方もいるかもしれませんが、歯科衛生士のスキルアップは歯科衛生士 個人のスキルアップにつながるだけでなく、医院全体に影響があります。
まずは取り組めることから実践してみてください。
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