採用媒体のジョブメドレーや人材紹介会社を通して採用しても、「人材がなかなか定着せずにすぐに辞めてしまう…」と課題を抱えている人事担当者の方も多いのではないでしょうか?
ジョブメドレーや人材紹介会社などの成果報酬型サービスを利用し、費用をかけて採用した人材は早期退職しやすいのではと思っている方もいるかもしれません。
早期退職は、採用コストはもちろん、育成コストまで多くの投資が無駄になってしまうため、なるべく避けたいですよね。
この記事では、人材が早期退職してしまう理由や原因、また早期退職を防ぐために今からできる解決策をご紹介します。
以下のようなお悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
- 成果報酬型サービスを利用して採用した人材がなかなか定着しない
- 採用した人材がすぐに辞めてしまう理由が分からない、知りたい
- 良い人材を採用できたと思っていたが、入社後に期待する活躍をしていただけなかった
- 採用コストや育成コストを無駄にしたくない
- 早期退職を未然に防ぎたい
ジョブメドレーや人材紹介経由の人材が辞めてしまうのはなぜ?
人材がすぐに辞めてしまった時、「採用した媒体や人材紹介会社に問題があるのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、早期退職は、採用ルートが原因で起こるわけではありません。
採用媒体や人材紹介会社は、人材を紹介・マッチングさせることが目的のサービスのためです。
早期退職は、「医院と採用者間に生じる認識のズレ」が原因となり発生するケースがほとんどです。
紹介(マッチング)された人材を採用するかの最終判断は医院側が決めることなので、人材がマッチしない、あるいは長期定着しないであろう人材を採用しないという見極めが選考時点で行うことができれば、早期退職を防ぐことができます。
採用媒体や人材紹介会社を変えればよいということではなく、人材が早期退職してしまう理由や原因を追求し、上手く採用媒体や人材紹介会社を活用することが大切です。
医療業界の離職率について

早期退職は医院側の努力で防ぐことができるとお伝えしましたが、実は、医療業界は他の業界と比べて離職率が高い傾向にあると言われています。
厚生労働省が公表している「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」によると、「医療、福祉」業界は離職率の高い上位5産業に入っており、高卒就職者の離職率は45.2%(医療、福祉業界)、大卒就職者の離職率は38.6%(医療、福祉業界)に上ります。
※離職率:就職後3年以内の離職した人の割合
高校 | (離職率) | 大学 | (離職率) |
---|---|---|---|
宿泊業・飲食サービス業 | 60.6% | 宿泊業・飲食サービス業 | 49.7% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 57.2% | 生活関連サービス業・娯楽業 | 47.4% |
教育・学習支援業 | 53.5% | 教育・学習支援業 | 45.5% |
小売業 | 47.6% | 医療、福祉 | 38.6% |
医療、福祉 | 45.2% | 不動産業、物品賃貸業 | 36.1% |
業界全体として離職率が高いため、他の業界に比べて離職率を下げるのは簡単なことではないことも事実ですが、早期離職の原因として自院に当てはまることをひとつずつ解決していきましょう。
早期退職の原因は?
早期離職には、人それぞれ様々な理由がありますが、よくある理由として、以下の4つが挙げられます。
ひとつずつ詳しく説明します。
原因(1)職場の雰囲気が合わなかった、人間関係がうまくいかなかった
上司や同僚・後輩との人間関係がうまくいかなかったり、医院全体の雰囲気や方針が合わなかったことが原因で、退職につながるケースです。
とくに、大手企業と比べて規模が小さい医院の場合、人間関係の仕事への影響は大きくなります。
また、仕事を進めていく上で、人間関係を重視する人は多くいますが、人間関係や雰囲気は入社前の選考の段階では分かりにくく、代表的な早期退職の原因となっています。
原因(2)想像していた仕事内容と異なった
求人票や選考の中で聞いていた(想像していた)仕事内容と異なった、という不満から退職につながるケースです。
希望していた業務ができなかったり、仕事があまり回ってこない職場でスキルアップができない、などモチベーションが低下すると退職を検討する要因となります。
逆に想像していた以上の業務レベルを求められて辛い、社内のサポート体制が整っておらず、サポートが疎かにされたことなどが不満となり、早期退職の原因になることもあります。
原因(3)給与や待遇・労働条件に関して認識の相違があった、満足いかなかった
労働条件が、求人内容と異なっていた、給与などに不満が出てきたことにより退職につながるケースです。
基本的に、労働時間や残業の有無などは入社前に開示されますが、医院側の説明不足などから、認識のズレが発生することも多くあります。
具体的には、以下のような理由がよくある事例です。
- 残業が少ないと思っていた(聞いていた)のに、実際には多かった
- 残業しても残業代が出なかった
- 規定の勤務時間よりも早く出勤しなければいけなかった
- 休日出勤が発生することは聞いていなかった
- 有給休暇がとりにくかった
また、入社時の給与ではなく、賞与支給や昇給など将来的な給与の上がり幅に関する不満が原因になることもあります。
原因(4)採用者自身の環境の変化によるもの
医院側と採用者側の認識のズレの他、採用者自身の環境の変化が理由で早期退職となってしまうケースもあります。
具体的には以下のような事例があります。
- パートナーの転勤や都合によるもの
- 家族の介護
- ご自身の体調の変化
- ご自身もしくはパートナーの妊娠
上記のような家庭の事情に関しては、事前に防ぐことが難しいケースがほとんどです。
早期退職を防ぐ7つのポイント
ここまで早期離職の原因について説明してきましたが、事前に防ぐことができるものも多くあります。
ここからは、早期離職を防ぐポイントを7つ紹介します。
ポイント(1)求人票には正確・最新の情報を記載する

人材を募集する際に、求人票の業務内容や労働条件などはなるべく詳細に記載しましょう。
労働条件などは、曖昧な情報ではなく、分かりやすく伝えることが重要です。
また、業務内容や労働条件などが変更になった場合は、必ず最新の情報へ更新することを忘れないようにしましょう。
※過去の求人票を流用する際や、様々な媒体・人材紹介サービスを活用する場合は、古い誤った情報がないかなど、注意が必要です!
求人票を正しく詳細に記載することは、入社後のミスマッチを防ぐ対策になります。
【ポイント💡】
求人票だけでなく、内定後の「労働条件通知書」「雇用契約書」にて事前にきちんと正確な条件をお伝えし、双方の合意の上で締結すると安心です。口頭の場合は言った言わないのトラブルの元にもなるため、書面に残しておくと◎
▼記載すべき事項
・労働契約の期間
・給与(報酬の仕組み、具体的な金額、締め日や支払日、支払い方法など)
・就業場所
・就業時間(始業・就業時刻)、休憩時間、所定労働時間を超す勤務の有無
・業務内容
・休日、休暇(週休日数や曜日、有給休暇日数、夏季休暇や年末年始休暇)
・昇給、賞与
・退職(定年制の有無や内容、任意退職に関する扱いなど)
ポイント(2)たくさんの情報を求職者に提供する
選考や面談の際に求職者が知りたい情報や正しい情報を過不足なく十分にお伝えできていれば、自院側と求職者側の認識のズレは発生しにくいです。なるべく、入社前にお伝えできる情報は開示するようにしましょう。
とくに自院のネガティブな情報は隠してしまいがちですが、自院の現在の課題としてネガティブな情報も採用前に開示することで、入社後のミスマッチを防ぐことができます。
ネガティブな面を開示することは決して悪いことではありません。悪い面も含めてすべて開示することで、求職者に自院の誠実さを伝えることもできます。
💡ネガティブな情報を開示する際は、伝え方がポイントです!
必ず自院のポジティブな部分をお伝えした上で、ネガティブな部分を織り交ぜる形でお伝えするようにしましょう。
また、ネガティブな部分は”現在の課題”としてお伝えし、解決に向けて取り組んでいる姿勢をお伝えすることも重要です。
【伝え方の例(1)】教育体制が整っておらず、細かく業務を教えることができない
→「現在、ルールや業務の仕組みづくりを行っている段階です。ご自身で考えながら業務を行っていただくことも多いかもしれませんが、ひとりひとりの裁量も大きい職場です」
【伝え方の例(2)】残業が多い
→「●●の期間はどうしても残業が●時間ほど発生することがあります。現在、労働負担を減らすべく、解決に向けて○○○○○○○に取り組んでいます」
ポイント(3)面接時にしっかり見極める

選考では、書類で分かる学歴や資格、第一印象など表面的な情報で判断せずに、「自院の求めるスキルを持っているか」、「自院のカルチャーにマッチするか」など、深掘りして見極めることが大切です。
また、過去の転職回数が多い求職者の場合は、自院で採用した場合も早期離職となってしまう可能性も高いため、これまでの退職理由をしっかりと面接時に確認することが重要です。これまでの退職理由が、自院でも当てはまらないか、自院で同様のことが起きた時にはどう解決するのかなどを深掘りして確認し、早期退職のリスクを防ぐようにしましょう。
採用面接時の見極めのポイントは、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
ポイント(4)採用フローの見直し
採用フローの中で入社後のミスマッチを防ぐための取り組みを行うこともできます。
例えば、採用フローに以下のような取り組みを追加をすることもおすすめです!
- インターンシップ
- 体験入社
- 既存社員との面談
既存社員との情報交換の場を設けるなどの取り組みは、実際の仕事内容や残業などの実態・医院の雰囲気なども直接確認することができます。入社後の働くイメージもつくることができるので非常におすすめです。
また、「適性検査」などを実施することで、面接では判断できない部分の見極めの参考にする方法もあります。
求職者が参加しやすい「1dayインターンシップ」の設計方法などは、以下の記事でご紹介しています!
ポイント(5)内定・採用後のフォロー
選考の中だけでなく、採用が決まった後のフォローも大切です。
採用後、入社までに期間があいてしまう場合は、その期間放置してしまうと医院側と求職者側で温度差が出てしまうケースがあります。入社前であっても定期的にコミュニケーションをとる機会を設けるようにしましょう。
ポイント(6)入社後のサポート
入社後、職場内で孤立したり不安を感じさせないように、しっかりとフォローできる体制をつくりましょう。
業務を進める中で、同僚・後輩や上司とコミュニケーションがとりやすいか?などがポイントになるため、風通しのよい職場の環境づくりが重要です。
また、即戦力の経験者であっても、入社直後は新しい職場の環境に慣れるまで研修期間や慣らし期間を設けることをおすすめします。
ポイント(7)退職理由のヒアリング
離職率低下の対策のために、退職を希望する社員へのヒアリングを行い、自院の課題や問題を把握することも重要です。
本音の退職理由を引き出すために、退職手続きの完了後にヒアリングを実施しましょう。退職手続き前に行うと、引き止めに合うと思われて、本音での会話ができない可能性が高いです。退職理由のヒアリングができたら、今後の自院の組織改善のヒントにしましょう。
あくまで任意でヒアリングを行い、退職者が了承しない場合は無理に実施しないようにしましょう。
まとめ
この記事では、早期離職の原因や解決策を紹介してきました。
採用コストや教育コストの損失となってしまう他、新たに人材を確保しなければならなかったり、残った社員の負担も大きくなるなど、多くのリスクがあります。
そのため、早期退職を防ぐ対策は、自院の採用活動において大切な取り組みです。
良い人材の採用・長期定着を目指していく際に、ご紹介したポイントをぜひ参考にしてください。
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