「採用証明書」の記載や手続きについてわかりやすく紹介!

内定

新しいスタッフの採用が無事に決まったら、健康保険や雇用保険を含めた様々な手続きをしなければなりません。「やっといい人が来てくれた!」「これで一安心」と思うのも束の間です。特に勤務開始日まで日数がない場合には、早急に手続きを進める必要があります。

今回は、少しでもスムーズに採用決定後に生じる手続きが進められるように「採用証明書」の記載や手続きの流れについてご紹介していきます。歯科医院側が行うことや手続きの流れについて、ざっと押さえておきましょう。

ハローワークに提出する採用証明書とは?

採用証明書とは、再就職先が決まった際に失業手当受給者がハローワークへ提出する書類のことです。採用者からの依頼により作成する書類で、所定の欄を記入することで自院のスタッフとして採用したことを証明するものになります。

書類への記入は受給者と歯科医院側の双方が行いますが、ほとんどは歯科医院側が対応する項目です。そのため、採用証明書のフォーマットの入手方法や書き方、注意点などをあらかじめ押さえておく必要があります。

採用証明書の発行を依頼されるのはこんな時!

スタッフを採用したら必ずしも採用証明書を発行するわけではなく、採用者が失業手当を受給している場合にのみ必要になります。

採用証明書が必要となるのは、次のような2つのケースです。

①失業手当の受給停止のため

失業手当は、失業手当の受給資格を満たしている人が失業中に支払われるものです。
手当てにより再就職するまでの間の生活費を補填し、再就職活動を促進するための制度になります。

そのため再就職先が決まったら、失業手当の支給を止めるためにハローワークに採用証明書を提出しなければなりません。もし提出をせずに手当を継続して受給することがあれば、不正受給とみなされる可能性があります。

もし不正受給した場合は、受給した金額に加え、最大で不正受給額の2倍の金額の支払いを命じられるなどといった厳しい処分が定められていますので注意しましょう。

失業手当は採用証明書を提出した時点で止まるのではなく、雇用契約が開始する前日分までは支給されますので、 医院側としても早めに提出できるように配慮しておきたいところですね。

②再就職手当の受給申請のため

再就職手当は、失業手当受給者が早期に再就職した場合に支給される手当のことです。
長期間失業手当を受けることを防止し、早期に再就職するように促すために定められています。

再就職が決まると失業手当は停止されますが、そのかわりに再就職手当が受け取れるという制度のため「早く再就職すればするほど手当は多くなる」ということになります。

ただし、再就職手当をもらうためには定められた条件を満たしていなければなりません。
具体的には以下のような条件があります。

  • 給付日数の3分の1以上が残っている
  • 再就職先が、失業保険を受給される前に辞めた会社や関連会社ではない
  • 再就職先で1年以上働く予定がある
  • 過去3年間に再就職手当をもらったことがない

再就職手当の申請期間は「再就職日から1ヶ月以内」で、期間を過ぎると申請することはできません。また採用証明書の他に「再就職手当支給申請書」や「雇用保険受給資格者証」の提出も求められます。

採用証明書はどこで入手する?

基本的に採用証明書は、ハローワークで配布される「受給資格者のしおり」に同封されています。様式は自治体ごとに異なる場合があるので注意しましょう。

もし紛失してしまった場合には、採用者が登録している管轄のハローワークや厚生労働省のホームページからダウンロードすることができますので、調べておくと良いでしょう。

いつまでに提出?採用証明書の提出期限

採用証明書は、新しく雇用するスタッフがハローワークに提出します。提出期限は「採用が決まってから入局する日の前日まで」です。採用決定後、入局するまでの日にちがあまりない場合は特に早急に対応しなければなりません。

歯科医院で行う手続き内容と流れ

新しいスタッフから採用証明書の依頼をされた時には、どのように対応をしたら良いのでしょうか。ここでは大まかな流れをご説明していきます。

①採用証明書を準備する

ハローワークから配布されている採用証明書を、採用するスタッフから受け取ります。もしない場合には、上記でご説明した方法で歯科医院側が用意しましょう。

②事業所記入欄に必要事項を記入する

ほとんどの項目は医院側が記入するものです。記入する内容は、雇用契約書と相違のないように注意してください。

③新しいスタッフに採用証明書を渡し、ハローワークに提出してもらう

採用証明書の提出は、採用者本人が行います。提出期限に間に合うように渡せるように準備してください。

④採用証明書を提出後に「再就職手当支給申請書」への記入依頼があれば対応する

再就職手当を受給する際には「再就職手当支給申請書」の提出も必要です。後日スタッフから依頼された場合には、こちらの種類にも記入しましょう。

採用証明書の書き方のポイント

採用証明書は「本人記入欄」と「事業所記入欄・証明欄」の2つに分けられます。

ここで採用証明書の書き方について記入例をあげて説明していきますので、スムーズに手続きをするための参考になさってください。

【記入例】
採用証明書ー厚生労働省ホームページより

https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-hellowork/content/contents/saiyo_syomei.pdf

採用者本人が記入する項目

①支給番号・氏名・生年月日・住所・電話番号

採用者本人が記入する欄です。
支給番号は、失業手当を受給する時に必要な「雇用保険受給資格者証」に記載されています。雇用保険受給資格者証は歯科医院に提出するものではないため、本人しか確認できません。

※以降は歯科医院側が記入する欄になります。

歯科医院側が記入する項目

①雇入年月日

雇用期間の初日を記載します。雇入日が休日の場合や試用期間がある場合などは書き方に注意が必要です。以下に迷いやすい例をいくつかあげていきますので、参考にしてください。

  • 雇入日が休日や祝日の場合
    1月1日付けで雇入れるが、出勤は仕事初めの4日から → 雇入日は「1月1日」
  • 出勤初日に欠勤した場合
    雇入日の2月15日に欠勤して翌日16日から出勤 → 雇入日は「2月15日」
  • 試用期間やアルバイトの期間がある場合
    3月1日~31日まで試用期間、4月1日付で正社員になる場合 → 雇入日は「4月1日」

②雇用内定日

雇用が内定した日を書きます。

③雇入年月日前の貴社における就労の有無

該当する項目に○をつけます。

・雇入日以前にアルバイトなどで働いていた時期があった場合・・・「ア・有
・雇入日以前に働いたことがない場合・・・・・・・・・・・・・・「イ・無」

もし働いていた時期がある場合には、その期間も記入します。以前働いていたことがあっても不利になることはないので安心してください。

④職種

雇用するスタッフの職種を記入します。

⑤採用経路

該当する項目を○で囲みましょう。

・ハローワークからの紹介・・・・・・・・・・・・・「ア」
・転職エージェント、人材紹介会社など・・・・・・・「イ」
・求人広告・SNS・求人サイト・自社ホームページ​​・・「ウ」

「イ」をチェックした場合は、紹介された会社の名前や所在地、電話番号・担当者名も記入してください。

⑥事業主証明欄

所在地・名称・代表者名・電話番号・雇用保険適用事業所番号を記載します。所在地や名称は、手書きではなく社判でも可能ですが「事業所印」と「代表者印」を忘れずに押しましょう。

令和2年12月25日から、企業が雇用保険関係の書類を作成した場合の押印は原則不要になりましたが、採用証明書の押印は必要です。印鑑は、雇用保険適用事業所の登録印としてハローワークに届け出たものを使ってください。

雇用保険適用事業所番号とは
ハローワークで交付される「雇用保険適用事業所設置届 事業主控」「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」に記載されています。忘れてしまった際には、これらの書類で確認することができます。

⑦今後の採用予定

今後の採用予定があれば記入します。

上記の他にも、様式によっては「従業員数や雇用形態・雇用期間の定めの有無」などの記載を求められることもあります。

ちなみに従業員数は正社員だけではなく、 パートやアルバイトの人も含んだ人数です。雇用契約を結んでいる人全てが従業員となるため間違えないようにしましょう。また法人化している医院の場合は、スタッフの入る医院だけではなく法人全体の従業員数を記入する必要があります。

採用証明書を作成する際の注意点

採用証明書を作成する際には、次のような点に注意しましょう。

  • 採用者に書類の返却希望日を確認しておく

日々の診療に追われている中で、ゆっくり書類を書く時間はなかなか取れないかもしれません。採用証明書をスタッフが決められた期限に間に合うように提出できるように、いつまでに記入して渡したら良いのかあらかじめ確認しておくと安心です。

  • 記入ミスや漏れ、押印漏れがないか念入りに確認する

社判を使用した場合など、押印をうっかり忘れてしまうこともあります。作成後は、間違いや漏れがないか十分に確認するようにしましょう。

採用証明書に関するよくある質問

ここでは採用証明書についてよくある質問をご紹介します。ぜひチェックしてみてください。

  • Q.提出期限に間に合わない場合はどうする?

「出勤後に発行する決まりがある」など歯科医院側のルールがあって期限までに提出ができない場合には、採用者からその旨をハローワークに伝えてもらいましょう。提出を待ってくれるケースもあるようです。

歯科医院の都合で遅れる場合は採用者本人が記入する欄は先に書いておいてもらい、その他の欄の記入ができ次第、歯科医院側で郵送するようにするとスムーズに手続きが行えます。

ただし「失業認定申告書」は再就職の前日までに提出しておかなければなりません。

また再就職手当の申請もする場合は、雇入日から1カ月を過ぎてしまうと「再就職手当」の手続きが遅れる可能性があるので注意してください。

  • Q.採用証明書の作成は必須?

採用証明書は、依頼があった時のみ作成します。内定が決まった時に「採用証明書の記入が必要な場合、◯月◯日までに書類を提出してください」と一言伝えてあげると親切です。スタッフからの信頼度も高まるでしょう。

  • Q.採用証明書は郵送でも提出できる?

ほとんどのケースでは郵送での提出も可能だと言われていますが、念のため提出先のハローワークに確認してください。

もし「診療が忙しくなかなか時間が取れない」などの理由で直接提出に行けないようであれば、わかった時点で管轄のハローワークに相談してみましょう。

再就職手当支給申請書とは
採用の決まったスタッフが「再就職手当」をもらうために提出する書類です。
再就職手当支給の要件を満たしており、ハローワークの審査で認められれば支給されます。

再就職手当支給申請書の提出期限は「雇入日の翌日から1カ月以内」と決められているのでうっかり過ぎてしまわないようにしましょう。期限を過ぎてからの申請はできません。

こちらも採用証明書と同様で、採用者から依頼がある時のみ作成すればOKです。

採用後の手続きもポイントを押さえてスムーズに進めよう

今回は、採用証明書についてご説明しました。

採用証明書は必ずしも作成が必要なわけではありませんが、採用の決まったスタッフから依頼されることもあります。 突然の依頼にあたふたすることがないよう、日頃から準備をして備えておきましょう。

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