求人を出しても応募が来ない。地方だから仕方がないのか....。
こうした悩みを抱えている地方の歯科医院の院長先生は、決して少なくありません。
人材不足が続くなか、多くの医院が「給与を上げるべきか」「休日を増やすべきか」と、条件面での改善を考えがちです。
もちろん条件は大切です。ただ、限られた予算の中で条件競争を続けることには、どうしても限界があります。
では、地方の歯科医院はどうすれば「選ばれる」存在になれるのか。
その答えは、条件ではなく“価値の伝え方"にあります。
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なぜ地方の歯科医院は採用が難しいのか?人材不足の現状
地方で採用が難しくなっている背景は、感覚の話ではありません。公的データから見ても、都市部と地方では、歯科衛生士の「母数」そのものに大きな差があることが分かります。
厚生労働省が公表している「衛生行政報告例」は、全国で実際に就業している歯科衛生士の人数を、都道府県別に集計した公式統計です。このデータを見ると、都市部と地方の差は明確です。
たとえば、東京都では 16,701人、大阪府では 9,903人 の歯科衛生士が就業しています。
一方で、地方に目を向けると、鳥取県:837人、島根県:913人と、そもそも転職市場に出てくる人材が非常に限られています。
これは単に「人口が少ないから」という話ではありません。
働いている歯科衛生士の“絶対数”が少ないため、そもそも採用市場に出てくる人材が限られているのです。
さらに若い世代ほど、キャリアの選択肢や生活の利便性を求めて都市部に流れる傾向があります。
結果として地方では、
- ☑️ 求人を出しても応募が集まりにくい
- ☑️ 医院同士で限られた人材を取り合う
- ☑️ 一人辞めると、次の採用まで長期化する
という構造的な採用難が起きてしまうのです。
※参考:政府統計 e-Stat
衛生行政報告例「就業歯科衛生士数,就業場所・都道府県別」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%AD%AF%E7%A7%91%E8%A1%9B%E7%94%9F%E5%A3%AB&layout=dataset&toukei=00450027&tstat=000001031469&stat_infid=000040298292&data=1
※関連記事:なぜDHから応募がないのか?求人を始める間に必ず知っておくべき2つのポイント
「条件で勝負」という発想が、うまくいかない理由
人材不足が深刻になるほど、つい「条件面でどう勝つか」を考えてしまいがちです。
給与をもう少し上げた方がいいのか
休日を増やすべきか
他院より条件が弱いのではないか
ですが、ここで一度立ち止まって考えてみてください。
本当に求職者は、条件だけで職場を選んでいるのでしょうか?
弊社が20〜30代を中心とした歯科医院勤務スタッフを対象に行った調査では、転職先選びで重視されていたのは次のポイントでした。
- 🥇1位:家庭・育児との両立
- 🥈2位:スキルアップできる環境
- 🥉3位:人間関係
この結果が示しているのは、「給与」や「休日数」そのものが、決め手になっていないという事実です。
もちろん条件面は大切な判断基準の一つです。
ただし、最終的に「ここで働きたい」と判断されるかどうかは、
- 無理なく生活と両立できそうか
- 成長できる環境がありそうか
- 長く安心して働けそうか
- 人間関係で消耗しなさそうか
といった、働く日常のイメージに移っています。
にもかかわらず、多くの求人票では給与・休日・勤務時間といった条件ばかりが前面に出ており、求職者が本当に知りたい情報を伝えられていないのです。
採用難を抜け出すために、見直したい「採用の考え方」
ここまで見てきたように、地方の歯科医院では 人材の母数が少ないという構造的な採用難 を抱えています。
この状況で、がむしゃらに求人媒体にコストをかけたり、条件だけを変え続ける採用をしても、応募がこない状態は、なかなか変わりません。
だからこそ必要なのは、条件をいじる前に、採用の考え方そのものを見直すこと です。
見直し①「どんな人に来てほしいのか」を明確にする
採用できない状況が続くと、「誰でもいいから来てほしい」という気持ちになりがちです。
しかし、この「誰でもいいから」の考え方こそが応募が来ない一番の要因。
「誰でも良いから」で求人を出しても『当たり障りのない、結果として誰の記憶にも残らない求人』しか出来ないのです。
だからこそ必要なのは『本当に欲しい相手へ向けて、その人だけに響く医院の魅力を伝えること』です。
そのためにも、まずは求める人物像を具体的に言語化する必要があります。
たとえば、次のような視点で整理してみてください。
- 経験値:新卒から育てたいのか、すぐ現場に入れる人が必要なのか
- 重視する要素:チームワークを大切にする人か、技術志向の人か
- 条件整理:必須条件(資格・勤務時間)と、あれば嬉しい条件を分ける
イメージが湧かない場合は、今いるスタッフの中で、「この人がももう一人いたらいいな」と感じるスタッフを思い浮かべてみてください。
その方が評価されている理由は何でしょうか?どんなスキルを持っているから・どんな性格だから「良いな」と思ったのでしょうか?
その人の得意なこと、自然とできている行動を洗い出すことで、本当に必要な条件と、実は不要だった条件が見えてきます。
結果として、「ここだけは譲れない」「ここは柔軟に考えていい」という採用基準がはっきりします。
※関連記事:明るい人ってどんな人?○○構文を活用してターゲット像を明確にしましょう
見直し② 求職者の「こう働きたい」に応える募集要項にする
人物像や医院の考え方を整理したら、それを踏まえて募集要項を見直します。ここでのポイントは、「ターゲットとなる求職者の「欲求」を満たす内容になっているか」です。
転職理由の多くは、
- 成長できる環境で働きたい
- 子育てや私生活と両立したい
- 安心できる人間関係の中で働きたい
といった、自分の理想の暮らし・働き方など何かしらの希望が叶わなかったことにあります。
だからこそ、募集要項にはその医院で満たせる欲求を具体的に書くことが重要です。
たとえば、
- ✏️スキルアップ志向の人が欲しい場合 「外部セミナー費用の補助」「定期的な院内勉強会」
- 👦子育て世代を募集したい場合 「学校行事に配慮したシフト」「同世代スタッフが複数在籍」
- 🤝協調性を重視する場合 「感謝を伝え合う仕組み」「相談しやすいチーム体制」
こういった具体的な取り組みベースで記載することで、「この医院なら自分の希望を叶えられそうだ」と感じてもらう決め手になります。
既存スタッフを基準にターゲットを設定した場合は、「転職時に何を重視していたか」「入職の決め手は何だったか」を聞いてみてください。
それが、そのまま求職者に伝えるべきメッセージになります。
求人票で“伝わる”表現にするためのコツ
伝わる書き方のポイントは、数字や具体例を使ってイメージできる形にすること。
✏️例(子育て世代向け)
当院のスタッフは6名在籍しており、そのうち4名が30〜40代の子育て世代です。
急なお休みが必要な場合も「お互い様」の考えでフォローし合っています。
院長・チーフ衛生士ともに子育て経験があり、シフト調整にも理解のある環境です。
ここまで具体的に書くことで、求職者は「自分が働く姿」をイメージしやすくなります。
見直し③ 医院の考え方や文化を“伝わる形”にする
いくらスキルが高い人材でも、医院の方針や考え方に共感できなければ、長く働くのは難しいものです。
一方で、「この医院の考え方が好きだからここで働きたい」と感じて入職した人は、多少の条件差があっても定着しやすい傾向があります。
医院の理念や文化は、スタッフをつなぎとめる“軸”のような存在です。
求人票や採用サイトでは、次のような内容をできるだけ具体的に伝えましょう。
- 診療方針 例:予防歯科を重視し、担当衛生士制で長期的な口腔管理を行っている
- 院長の考え方 例:スタッフが安心して働ける環境が、結果的に良い医療につながると考えている
- 大切にしている価値観 例:ミスを責めるのではなく、チームで改善策を考える文化がある
「アットホーム」「仲が良い」といった言葉だけで終わらせず、なぜそう言えるのか、どんな場面でそれが表れているのかまで具体的に伝えることで、求職者は自分に合う職場かどうかを判断しやすくなります。
見直し④ 情報不足によるミスマッチを防ぐ
せっかく採用ができても、マッチしない人材を採用して早期離職だと意味がありません。
早期離職の理由として、実はとても多いのが「思っていた職場と違った」 というケースです。
求人票や採用サイトが、給与・休日・勤務時間といった条件面の情報だけに偏っていると、求職者はどうしても自分に都合の良いイメージだけを膨らませてしまいます。
そして入職後、「こんな忙しさだとは思わなかった」「想像していた雰囲気と違う」と感じた瞬間、早期離職につながってしまうのです。
だからこそ、採用段階で大切なのは条件以上の“現場のリアル”をきちんと伝えること です。
たとえば——
- 実際の出退勤時間や1日の流れ
- 平均的な残業時間、有給の取りやすさ
- 教育体制やキャリアのステップ
- 院内の雰囲気や、スタッフ同士の関係性
こうした情報があることで、求職者は「その医院で働く自分」を具体的にイメージできるようになります。
例えば勤務時間についても、「勤務開始 9:00〜18:00」だけしか記載しないのは不親切です。
「実際には何時ごろに出勤しているスタッフが多いのか」まで細かく記載することで、『保育園の送迎後でも問題なさそう!』と、自分の生活と重ね合わせて働き方を具体的にイメージしてもらえます。
地方でも採用がうまくいく医院には共通点がある
地方の歯科医院は、そもそも人材の母数が少ないという前提があります。この環境で、都市部と同じように条件で勝負し続けるのは、現実的ではありません。
実際に歯科医院のクライアント様を見ていく中で、採用がうまくいっている医院は、条件を上げた医院ではなく、
✅ 誰に来てほしいのかを明確にし
✅ その人が知りたい情報を正直に伝え
✅ 入職後のギャップを減らしている医院
です。
ただ、「自院の場合、何をどう伝えればいいのか」「どこまで正直に書いていいのか」ここで悩む先生がほとんどです。
そこで、この記事でお伝えした考え方をベースに、実際に地方の歯科医院でも募集開始から1週間で4人のDHを獲得した求人の作り方を具体的に解説しているのが、こちらのセミナーです。
衛生士採用に困らなくなるためのヒントを必ず持ち帰っていただけるはずです。

