「求人を出しても応募がない」
「紹介会社に頼んでも長続きしない」
多くの歯科医院様で、そんな声を耳にします。
今や、歯科衛生士の有効求人倍率は23倍以上。つまり、1人の歯科衛生士を23以上の医院が取り合っている状態です。
♦︎関連記事:【2025年版】歯科衛生士が人手不足な原因とは?今すぐ見直すべき採用のポイントを徹底解説
このような背景のなかで注目されているのが、「歯科衛生士採用支援サービス」。
“採用を外部にサポートしてもらう”という新しい考え方です。
ただし、ここで注意が必要です。
採用支援サービスを導入すれば自動的に応募が集まる——そんな“魔法の杖”ではありません。
成果を出す医院には、共通する準備と考え方があるのです。
この記事では、まず採用支援サービスの正しい理解を深めたうえで、「支援だけに頼らず、自院の採用力を高めるための5つの実践アプローチ」を解説します。
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採用支援サービスとは?
採用支援といっても、その内容や目的はさまざまです。
ここでは、歯科医院でよく利用される代表的な6つのタイプと、実際のサービス例をご紹介します。
① 採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)
採用に関わる実務を、外部の専門スタッフが代わりに行うサービスです。求人票の作成、応募者とのやり取り、面接日程の調整など、日常的な採用業務を一括で任せることができます。
採用担当者の業務負担を軽減し、応募対応のスピードを高められる点が特徴です。「応募が来ても対応しきれない」「面接日程の調整に時間がかかる」といった医院に向いています。
【支援内容一例】
- 求人原稿の作成・修正
- 媒体への掲載・応募管理
- 応募者対応・面接調整
- 採用進捗レポートの作成

② 採用コンサルティング
医院の採用戦略を根本から見直し、長期的に機能する仕組みを構築するサービスです。
「どんな人材を採るべきか」「どんな導線で応募を増やすか」など、設計段階から支援します。
即効性よりも「採用の仕組み化」に重きを置き、再現性のある採用体制をつくることを目的としています。
【支援内容一例】
- 採用戦略・ペルソナ設計
- 求人導線・媒体選定の見直し
- 面接設計・評価基準策定
- 採用チームの体制づくり支援
③ 採用広告運用・SNS広告運用
Indeedや求人ボックスなどの求人媒体、またはInstagram・LINEなどSNS広告を活用し、医院の商圏内で効果的に認知と応募を拡大するためのサービスです。短期間で応募数を増やしたい場合に有効。
また、今すぐ転職を考えていない潜在層への“認知拡大”にも役立ちます。
♦︎SNS広告とは?:SNS求人広告について解説!どんなメリット・デメリットがある?
【支援内容一例】
- 求人媒体運用(Indeed、Googleしごと検索など)
- SNS広告(Instagram、LINE、Meta広告など)
- バナー・動画制作
- 効果分析・ターゲティング設定
④ 成果報酬型エージェント(人材紹介)
採用が成立した時点で紹介料を支払う仕組みのサービスです。歯科衛生士・歯科助手などの経験者を、専門コンサルタントが紹介します。
初期費用が不要なため、即戦力を短期間で採用したい医院に向いています。ただし、採用成立後の紹介料(年収の20〜30%前後)が発生します。
♦︎人材紹介とは?:人材紹介の手数料の相場は?料金と仕組みを解説!
【支援内容一例】
- 求職者の紹介・スクリーニング
- 面談設定・条件調整
- 内定・入職フォロー
⑤ ハイブリッド型支援(戦略+運用+制作)
採用の戦略づくりから、求人原稿・採用サイトの制作、広告運用、応募対応まで、すべてを一貫してサポートする“総合的な採用支援サービス”です。
単に求人を出すだけでなく、「戦略設計 → 実行 → 改善」までをワンストップで任せられるのが大きな特徴。
医院の採用活動全体を最適化し、短期的な応募増と中長期的な採用の仕組みの強化を図ることができます。
【支援内容一例】
- 採用戦略設計・求人原稿作成
- 採用サイト・動画制作
- 広告運用・応募対応
- 面接設計・採用体制
“支援を使いこなせる医院”になるために
採用支援を導入しても結果が出ない医院には、共通する理由があります。
それは、“支援に渡す素材(=医院の魅力)”が整理されていないということです。
たとえば——
- 院長先生の想い・理念が言語化されていない
- スタッフがどんな雰囲気で働いているか、発信されていない
- 新人教育の流れやフォロー体制が明確でない
これらが不明確なままでは、どんな支援者でも求人の軸を作ることができません。
逆に言えば、医院としての“採用の土台”を整えることで、支援サービスは何倍にも活きるのです。
「成功する採用」には、「自院がどんな医院なのかを適切に言語化し、それを伝える力を持つこと。」が重要です。
この軸が整えば、支援も、求人サイトも、SNS発信もすべて効果を発揮します。
採用支援サービスだけじゃない!歯科衛生士を確保する7つの多角的アプローチ
採用支援サービスは、あくまで医院の採用をサポートする「手段のひとつ」です。
成果を最大化するためには、サービス任せにせず、医院自身が採用の主導権を持ち、多角的な取り組みを組み合わせることが重要です。ここでは、歯科衛生士採用を成功に導く7つの実践アプローチをご紹介します。
アプローチ1:求人サイト・転職エージェントを戦略的に利用する
求人媒体は「どこに出すか」ではなく、「誰に届けたいか」で選ぶことがポイントです。
- 歯科衛生士専門サイト(ファーストナビ歯科衛生士、デンタルワーカーなど)
→ 転職意欲の高い経験者層に効果的。 - 総合求人サイト(Indeed、求人ボックスなど)
→ 潜在層への認知拡大むけ。 - 転職エージェント
→ 即戦力人材を短期間で採用したい場合に有効。
エージェントを利用する場合は、自院の理念や求める人物像をしっかり伝えることで、「医院の想いに共感できる人材」を紹介してもらいやすくなります。
アプローチ2:スカウトメールを活用し、“攻めの採用”を行う
近年、歯科衛生士の採用は「求人を出して待つ」だけでは難しくなっています。応募数が思うように伸びない…そんな医院ほど、“自院から動く採用”が必要です。
そこでおすすめなのが、スカウトメールを活用した“攻めの採用”です。
これは、求人サイトに登録している歯科衛生士に医院側から直接メッセージを送る方法です。
求人倍率23倍以上ともいわれる歯科衛生士採用の現場では、求人を出しても他院の募集に埋もれてしまうケースがほとんどです。
しかし、スカウトメールに一工夫を加え「自分だけに届いた特別なメッセージ」として、感じてもらうことで、求職者の目にしっかり届きます。
実際、衛生士学生の約8割が「スカウトメールを受け取りたい」と回答しており、“自分に合う職場を選びたい”という若い世代にとって、スカウトは前向きなアプローチとして受け入れられています。
ただし、テンプレート通りに送っても求職者には響きません。ポイントを抑え、効果のあるスカウトメールをおくっていきましょう。
♦︎✉️効果の上がるスカウトメールの書き方:
【コピペOK/例文あり】歯科衛生士に響くスカウトメールの書き方【特典付き】
アプローチ3:スタッフ紹介(リファラル)制度で“信頼採用”を進める
歯科衛生士の世界は狭く、学生時代の同級生や実習先でのつながりが今も続いていることが多いです。
そのため、既存スタッフや内定者の紹介は「医院の雰囲気を理解した上でのおすすめ」として信頼されやすく、ミスマッチの少ない採用につながります。
また、紹介する側も「自分が働いている(または入社予定の)医院を勧める」という意識が生まれるため、自然と医院への愛着や責任感が高まるという副次的な効果もあります。
名刺を活用した“リファラルの仕掛け”づくり
特に新卒採用においては、内定を出した学生に名刺を渡すという一工夫が効果的です。
名刺を受け取った学生は、学校の同級生や先生に自然と医院を紹介してくれます。
この“名刺リファラル”によって、学生のネットワークを通じて学校全体に医院の存在を広めることが可能です。
名刺デザインは、衛生士さんが「かわいい」「友達に渡したい」と思えるようなデザイン性の高いものがベストです。受け取った学生が友人に渡したくなるようなデザインを意識しましょう。
アプローチ4:アナログ手法で患者さんからの紹介を狙う
実は、患者様やそのご家族・知人からの紹介も、意外と見落とされがちな有効な採用ルートです。
普段から医院に通ってくださる患者様は、医院の雰囲気やスタッフの対応をよく知っているため、「この医院なら合うだろうな」と思える方を紹介してもらえる可能性があります。
そのためには、まず「歯科衛生士を募集していることを知ってもらうこと」が大切です。
院内の目に入りやすい場所に「歯科衛生士募集中」のポスターを掲示したり、受付や待合室に求人カードを置いたりして、気軽に手に取ってもらえる仕掛けをつくりましょう。
ただし、ポスターやカードのデザインは、印象を左右する重要な要素。自作するよりも、プロのデザイナーに依頼して仕上げるのがおすすめです。
1万円前後の費用で、患者様の目を引くデザインを作成してもらえるケースもあるので、ココナラやクラウドワークスで依頼するのも一つの手です。
患者様との信頼関係を土台にした院内紹介は、単なる“数を集める採用”ではなく、医院の価値観に共感してくれる質の高い人材と出会える方法です。
「紹介から始まる採用」という観点で、ぜひ取り入れてみてください。
アプローチ5:SNSで興味を集め、適切に誘導する
求職者が医院を選ぶ基準は、給与や条件だけではなくなってきています。
「どんな人が働いているのか」「雰囲気は自分に合いそうか」
──そんな“リアルな空気感”こそが、応募を決める最後の一押しになります。そこで気軽に発信しやすいのがSNSです。
ただし、「投稿すること」自体が目的化してしまうと、本来の採用効果を得にくくなります。
「SNSや動画が採用に良いらしい」と聞いて、とりあえず始めている医院さんも多いですが、実はSNSや動画はゴールではなく“採用情報のための導線ツール”です。
SNSの目的は、医院の良さを知ってもらい、最終的に採用サイトへと誘導すること。
SNSだけで完結させようとすると、“楽しそう”という印象だけが先行し、入職後に「思っていた職場と違う」とミスマッチが起きるリスクもあるんです。
SNSでは、医院の日常・雰囲気・取り組みをライトに発信し、
採用サイトで「どんな理念で働いているか」「この医院で何を得られるか」をしっかり伝える。
この2ステップを意識しましょう。

自院に最適なアプローチを見つけるためのポイント
これまでご紹介してきた5つのアプローチは、どれも採用に繋がる可能性を持っていますが、医院によって最適解は異なります。
採用は“ツール選び”ではなく、医院の目的・状況・想いに沿った戦略設計が重要です。
つまり「どのアプローチを選ぶか」よりも、「なぜそれを選ぶのか」「どう組み合わせるのか」を明確にすることが成功の分かれ道です。
採用にかけられるリソース(時間・コスト)で考える
採用活動は「どれだけ時間と費用を使えるか」で選択肢が変わります。
自院の状況に合わせて、無理のない方法を選ぶことが成功の近道です。
⏳ 時間はあるが予算が限られている場合
SNS発信や紹介採用、アナログ手法などローコストから始められる手法から始めましょう。無料で使えるハローワークも、求人票の書き方一つで反応が変わることも。
♦︎関連記事:歯科衛生士に響く求人票の書き方とは?面接・採用につながりやすい方法を解説
また、数百円からスタートできるSNS広告もおすすめ。エリアを絞って効率的にPRすることができます。
時間はかかりますが、一つ一つできることを着実に積み上げていきましょう。
💰 予算はあるが時間がない場合
応募対応や求人管理に時間を割けない場合は、採用代行や人材紹介会社にお願いするのも一つの手でしょう。外部の専門家に任せることで、スピーディーに母集団を形成できます。
ただし、注意点があります。
紹介会社を利用する場合、登録者の多くは条件(給与・休日など)だけを重視している傾向があります。
そのため、「医院の理念」や「求める人物像」をしっかり共有しておかないと、入職後のミスマッチにつながりやすいのです。
「人材紹介で採用した歯科衛生士がすぐ辞めてしまった…」
そんな声の多くは、“医院の自己紹介が足りていなかったこと”が原因です。
外部に任せる場合こそ、“誰を採りたいのか”を明確にすることが大切だニャ
求める人物像(新卒・経験者・専門スキル)で考える
採用の精度を高めるためには、「どんな人と一緒に働きたいのか」を明確にすることが欠かせません。ここが曖昧なままでは、媒体や手法を選んでも成果が安定しません。
🎓 新卒を採用したい場合
歯科衛生士学校との連携や、新卒向けプラットフォーム(例:歯科衛生士Fresh)を活用し、早い段階から関係性を築くことが大切です。
👩⚕️ 経験者を採用したい場合
エージェントや専門求人サイトも活用し、即戦力人材にピンポイントでアプローチするのが効果的です。
🦷 専門スキルを求める場合
矯正・インプラント・訪問など専門分野に特化した人材を探す場合は、学会・セミナー・専門SNSコミュニティを通じたリクルーティングが有効です。
また、採用サイトで「医院の専門性」「技術のこだわり」「教育方針」を明確に打ち出すことで、同じ志を持つ人材からの共感を得やすくなります。
医院に合った戦略的な採用で、“理想の衛生士”との出会いを
本記事では、歯科衛生士の採用難に対応するためのアプローチをご紹介しました。
有効求人倍率が23倍を超える今、従来の「待つ採用」だけでは人材確保は難しくなっています。
採用支援サービスや求人媒体の活用に加え、スカウトメール・リファラル制度・SNS発信・労働環境の見直しなど、複数の手法を組み合わせて戦略的に動くことが鍵です。
自院の想いに共感し、長く活躍してくれる衛生士と出会いたい先生は、まずはこちらのセミナーをご覧ください。明日から使える歯科衛生士採用のヒントを2時間に凝縮してお伝えします。
