現在、多くの歯科医院が採用難の時代を迎えています。
その背景には、少子高齢化や歯科衛生士の女性比率の高さにより、採用市場に出てくる人材が少ないことがあります。
こうした状況の中、注目されているのが、
✅ 採用代行(RPO)
✅ 人材紹介
という2つの外部採用支援サービスです。
「どちらも似たようなものでは?」と思われるかもしれませんが、この2つは支援範囲・費用・効果の出方などが大きく異なります。
今回は、それぞれの違いやメリット・デメリット、選び方のポイントを歯科医院の院長先生向けにわかりやすくまとめました。
採用が難しくなっている理由
歯科医院における採用、特に歯科衛生士の採用が困難になっている背景には、複数の要因が絡み合っています。この問題を理解することが、適切な採用戦略を立てる第一歩となります。
歯科衛生士の有効求人倍率は全国平均で23倍以上。
求職者1人に対して、23件以上の求人がある状況です。
その一方で、求職者側は「人間関係」「休みやすさ」「教育制度」などを重視するようになっており、医院の魅力がうまく伝わらなければ応募すら来ない…ということも珍しくありません。
そんな厳しい状況のなか、院長先生がご自身で求人原稿を書き、応募者対応をして、面接をして…という、求人採用活動が負担に感じていらっしゃる先生も少なくないかと思います。
採用代行(RPO)とは?
採用代行 / RPO(Recruitment Process Outsourcing)は、採用活動の一部またはすべてを外部のプロに代行してもらうサービスです。
求人票の作成、スカウト、応募者対応、面接調整、さらには内定後のフォローアップなど、採用にまつわる多くの業務を医院に代わって行います。

採用代行のサービス内容
採用代行サービスでは、採用戦略の立案から実際の採用活動まで、幅広いプロセスをカバーします。具体的には以下のようなサービスが含まれています。
- 採用戦略の立案(競合分析・ペルソナ設定)
- 求人媒体の選定と出稿管理
- 求人原稿の作成・改善提写真やバナー制作(求人の魅力訴求)
- スカウト文面の作成・送信
- 応募者への連絡・面接調整
- 内定後のフォロー(辞退防止)
- 採用数や改善点のレポート報告 など
医院の状況に合わせて、「どの部分を外注し、どこを医院内で対応するか」柔軟に設計できます。
採用代行のメリット
✅ 医院に合った採用戦略を立ててもらえる
→ 競合が多いエリアでも、選ばれる求人の作り方を提案してもらえる。
✅ 応募が来る仕組みが整う
→ 原稿・写真・スカウトなど、入口の工夫で「見てもらえる・選ばれる」求人に。
✅ 業務の負担を大幅に減らせる
→ 応募者対応やスカウト送信、面接調整など時間がかかる作業をすべて外注可能。
✅ 内製化(自走化)を目指せる
→ 採用ノウハウが医院にたまり、紹介に頼らず採れる状態を目指せる。
採用代行のデメリット
☑️ 即効性はやや低い
→ 1〜2週間で採用が決まる…というよりも、3ヶ月〜半年の中長期視点で取り組む必要あり。
☑️ 伴走型のため、医院との連携が必要
→ 面接や職場体験の受け入れなど、一部医院側のご協力も不可欠。
採用代行の費用相場
採用代行サービスの費用体系は、一般的に月額固定制または成功報酬型の2種類があります。
どちらが適しているかは、採用計画や予算によって異なります。
💡費用体系 | 💰金額 |
月額制 | 10〜25万円程度/契約期間:3ヶ月〜 |
成果報酬型プラン | 採用1人あたり5〜10万円 |
人材紹介と比べて1人あたりの単価は低く、医院側の費用負担も軽く済みます。
採用代行(RPO)が向いている医院・向いていない医院
以下のような医院は、採用代行の導入によって成果が出やすくなります。
採用代行が向いている医院
✅ 自院に合う人材をじっくり採用したい
✅ 応募が来ない状況を根本から改善したい
✅ 採用を院内で仕組み化したい
✅ 紹介料の負担を減らしたい
採用代行が向いていない医院
☑️ 急ぎで人を採用したい(欠員補充など)
☑️ 採用業務に一切手をかけたくない
☑️ 応募が来なくても、とにかく早く採用したい
人材紹介とは?
人材紹介は、専門の人材紹介会社が求職者と求人企業のマッチングを行うサービスです。
歯科業界では、歯科専門の人材紹介会社も多く存在し、歯科医師や歯科衛生士など、専門職の採用に強みを持っています。

人材紹介サービスの内容
人材紹介サービスは、あらかじめ転職希望者として登録している求職者の中から、医院に合いそうな人材をエージェントが選定・紹介してくれる仕組みです。
求人を出す必要はなく、紹介を受けた人材と直接面接し、医院が採用を決めたタイミングで成功報酬が発生します。
人材紹介サービスの流れ
1. 医院の希望条件をヒアリング(勤務地・給与・勤務時間など)
2. 登録求職者の中から条件に合う人材を紹介
3. 医院と求職者で面接・見学
4. 双方の合意があれば採用決定
5. 入職後、成功報酬が発生(保証期間あり)
人材紹介サービスの費用相場
💡費用体系 | 💰費用 |
成功報酬型 | 採用者の年収の20〜30%程度 例)年収350万円の歯科衛生士を採用 → 紹介料70〜100万円 |
人材紹介サービスのメリット
✅ すぐに紹介・面接できるため即戦力採用が可能
✅ 応募対応や求人原稿の手間が不要
→ 採用にかかるスタッフの業務負担を軽減し、本業に集中できる
人材紹介サービスのデメリット
☑️ 採用単価が高くなりがち
→ 1人あたりの紹介料が年収の20〜30%と高額になるケースも
☑️ 地方や条件が厳しいと紹介が来ないこともある
→ 紹介会社の登録者が少ないエリアでは、そもそも人材がいないことも
☑️ ミスマッチが起きやすく、定着しないケースも
→ 紹介時点での情報が浅く、医院との相性や価値観のズレが生じやすい
人材紹介サービスの費用相場
人材紹介サービスの費用は、一般的に成功報酬型となっています。採用が成立した場合にのみ費用が発生し、その金額は採用された人材の年収をベースに計算されます。
💡費用体系 | 💰費用 |
成功報酬型 | 採用者の年収の20〜30%程度 例)年収350万円の歯科衛生士を採用 → 紹介料70〜100万円 |
この費用には、求職者の選定、紹介、面接調整、条件交渉のサポート、入職後のフォローアップなどのサービスが含まれています。
紹介料の支払い方法は、一括払いが一般的ですが、分割払いに対応している会社もあります。
また、多くの人材紹介会社では、入職後一定期間(通常3ヶ月〜6ヶ月)以内に退職した場合、紹介料の一部または全額が返金される「返金保証制度」を設けています。
採用代行と人材紹介の比較
採用代行と人材紹介は、どちらも歯科衛生士採用の有効な手段ですが、サービス内容やコスト、適した状況は大きく異なります。
比較項目 | 採用代行(RPO) | 人材紹介 |
---|---|---|
💡サービス内容 | 採用戦略設計・求人作成・スカウト送信・応募対応・面接調整・レポート提出など全面支援 | 登録者紹介・面接調整など最小限の採用支援 |
👤 採用ターゲット | 潜在層(転職を検討しはじめた人・今はまだ応募していない人) | 顕在層(すでに転職を決めている登録者) |
🗒️ 支援範囲 | 求人作成から内定フォローまで一括代行 | 紹介と面接調整のみ |
💰 費用 | 月額10〜25万円 または 成果報酬(5〜10万円/人) | 成功報酬(採用者の年収の20〜30%) |
📅 採用までの期間 | 中長期的(3〜6ヶ月を見込む) | 短期(すぐに面接・採用可能な場合も) |
✏️ ノウハウ蓄積 | 採用ノウハウが院内に蓄積されやすい | ノウハウが外部に依存しやすい |
🏥 向いている医院 | 採用を継続したい/自院の魅力で集めたい/採用を仕組み化したい医院 | 欠員補充を急いでいる/1人だけ確実に採用したい医院 |
DH採用に最適なサービスの選び方
DH採用において、採用代行と人材紹介のどちらが適しているかは、医院の状況やどんな人材を求めているかによって異なります。ここでは、最適なサービスを選ぶためのポイントについて解説します。
採用ニーズに合ったサービスを選ぶ
サービスを選ぶうえで最も大切なのは、「自院の採用ニーズを明確にし、それに合ったサービスを選ぶこと」です。
- ・採用の緊急性が高い場合→ 登録者から即戦力を紹介してもらえる「人材紹介」が効果的
- ・中長期的・計画的な採用を進めたい場合→ 継続的な支援が受けられる「RPO(採用代行)」が適している
他にも、複数人を採用したい場合は、月額固定で複数名の採用ができる採用代行の方がコスト効率が高く、1名だけの採用であれば人材紹介の方が費用対効果を見込めます。
採用代行(RPO)と人材紹介、どちらを選ぶべき?
お悩み | おすすめサービス |
---|---|
すぐに採用したい | 👤人材紹介 |
応募が来ない/改善したい | 📝採用代行 |
採用活動の手間を減らしたい | 📝採用代行 |
1人だけ採用できればいい | 👤人材紹介 |
紹介料の負担を減らしたい | 📝採用代行 |
採用を内製化したい | 📝採用代行 |
即戦力やスキル重視 | 👤人材紹介 |
サービス提供会社の信頼性を確認する
採用代行サービスや人材紹介サービスを導入する際は、サービス提供会社の信頼性や実績をしっかり確認することが重要です。信頼できるパートナーを選ぶことで、採用成功の確率を大きく高めることができます。
歯科業界に特化した採用支援を行っている企業や、豊富な実績を持つ会社を選ぶことで、よりスムーズで効果的な採用活動が実現しやすくなります。
採用したDHに長く定着してもらうには
特に人材紹介サービスを使うと「採用=ゴール」だと考えてしまいがちですが、定着こそが本当の成果です。
人材に長くしてもらうためにも、採用活動時には以下ができているかをチェックしましょう。
□ 1. 紹介会社に「求める人物像」をしっかり共有していますか?
スキルや経験だけでなく、医院の雰囲気や価値観も伝えられていますか?
「どんなタイプの人が合うか・合わないか」を事前にすり合わせておくことで、紹介される人材の質が大きく変わります。
□ 2. 面接では“医院のリアル”をきちんと伝えていますか?
面接での印象アップばかりに注力していませんか?
忙しさ、院長の方針、院内の雰囲気などを正直に伝えることで、入職後のギャップを減らし、早期退職を防ぐことができます。
□ 3. 試用期間中のフォロー体制を事前に決めていますか?
「誰が」「どうサポートするか」が決まっていないと、せっかく入った人も不安になります。
指導担当のスタッフや、1日の振り返りなどの仕組みを事前に整えておきましょう。
□ 4. 既存スタッフとの相性チェックを行っていますか?
面接だけでは見えない“人間関係の相性”が、定着には大きく影響します。
見学時にスタッフと会話する時間をつくったり、ランチに同席してもらうなど、自然な接点を設けるのがおすすめです。
終わりに
採用を成功させるための第一歩として、"求人採用の正解"を学んでみませんか?
「求人媒体で募集をかけても、DHから反応がない」と、お悩みの先生は、必ずこちらをご覧ください。