採用単価とは、歯科衛生士や歯科医師などの採用1人あたりにかかる費用のことです。
効率的に採用活動ができているかどうかの指標となるため、求人採用を行う際には、採用単価を把握しておく必要があります。
今回の記事では、歯科医院をはじめとする全業種の求人採用コンサルティングを行う弊社が
について解説します。
採用コストを節約したいと思っている院長は、ぜひ最後までご覧ください!
採用コストと採用単価の違いとは?
採用単価と採用コストって、同じではないのですか?
同じではありません。これからの記事内容の理解度を上げるためにも、両者の違いを確認しておきましょう。
採用コストとは「歯科衛生士の採用にかかった費用の総額」
採用コストとは、求人採用に際してかかる費用の総額のことです。
具体的には、以下のような費用が採用コストとよばれます。
- 求人サイトへの掲載料
- 面接を行うための人件費
- Web面接用ツールの導入、利用料
- 採用イベントへ参加するための費用
- 採用後の研修費用
医院の規模や採用人数に関わらず、採用コストは必ず発生するものと認識しておきましょう。
また採用コストは、
- 外部コスト
- 内部コスト
の2種類に分類できます。
それぞれの内容について、詳しくみてみましょう。
①外部コスト
外部コストとは、採用活動に際して外部に支払った経費のことです。
- 求人サイトへの掲載料
- Web面接用ツールの導入、利用料
- 採用イベントへ参加するための会場費用
- 採用ページの外部委託費
- 人材紹介会社へ支払う成果報酬
具体的には、これらの費用のことを指します。
請求書や領収書が発生する場合が多いため、採用費用として管理しやすいのが特徴です。
②内部コスト
内部コストとは、院内での採用業務に関して発生する費用の合計です。
- 求人を出す際の打ち合わせ費用
- 面接を行うための人件費
- 求職者や採用者と連絡する際の通信費
- リファラル採用時の紹介料
- 採用イベントへ行く際の交通費や宿泊費
これらの費用が内部コストと呼ばれます。
内部コストはスタッフの給料に混合されていることも多いため、外部コストと比べると正確な金額を把握することが難しい特徴があります。
採用単価とは「歯科衛生士1人を採用するまでにかかったコスト」
採用単価とは、歯科衛生士や歯科医師などを1人採用するためにかかった費用のことです。
「1人あたりの採用コスト」といわれる場合もあります。
効率的に採用活動ができているかどうかをみる指標となるため、1人あたりどのくらいの費用をかけて採用しているのか(=採用単価)を把握しておくことは非常に大切です。
採用単価の計算方法
採用単価の計算方法は、以下のとおりです。
採用コスト = 外部コスト + 内部コスト
採用単価 = 採用コスト(外部コスト + 内部コスト)÷ 採用人数
採用コストは、外部コストと内部コストの合計金額で算出できます。
また採用コストの合計を採用人数で割ると、採用単価(=採用1人あたりにかかる費用)がわかります。
具体例で見てみましょう。
昨年度は4人を採用するために、採用コストは合計で200万円かかりました。
この場合、採用単価は「200万円 ÷ 4人 = 50万円」となります。
一方で、今年度は2人を採用するために、採用コストが合計150万円かかりました。
この場合の採用単価は「150万円 ÷ 2人 = 75万円」となります。
一見すると、昨年度のほうが採用コストが高いため「効率が悪かったのかな?」と感じられるかもしれません。
しかし採用単価を計算してみると、今年度のほうが費用がかかっていることがわかります。
求人採用が効率よくできているかどうかは、採用単価を確認することで理解できるのです。
歯科衛生士の採用単価は?
では、歯科衛生士の具体的な採用単価を見てみましょう。
リファラル採用であれば「0円〜」
数ある採用手法の中でも、特にお金がかからないのがリファラル採用。いわゆる縁故採用です。
スタッフの親族・知り合い・友人を紹介してもらい雇用するので、求人媒体や人材紹介会社を通す必要がなく、費用がかかりません。
医院によっては、紹介してくれたスタッフに対してインセンティブを渡しているケースもあります。
ただし、リファラル採用は今働いているスタッフが職場環境に満足しているからこそ、効果を発揮できるやり方。
スタッフが自身の大切な知り合いを「ぜひ紹介したい!」と思えるような医院にするためには、先生の努力と工夫が不可欠となります。
人材紹介会社を通す場合は「25万円〜200万円以上」も
逆に、最もコストがかかるのは人材紹介。
利用申し込みさえ完了してしまえば、人材の確保から条件面のすり合わせ、面接日調整まで代行してもらえるため、医院の時間的負担が少ないやり方です。
しかし、その分紹介料も高額になります。
詳細な金額はサービスによって大きく異なりますが、一番多いパターンは「紹介人材の年収の20〜30%」を支払う形です。
例えば、年収420万円の衛生士を採用した場合、420×25%=105万円もの支払いが発生します。
仮にその衛生士と医院の相性が良く、長期間働いてもらえた場合はお得と言えるかもしれません。しかし「思っていたのと違った」と半年程度で退職されてしまうと、医院にとってはお金も人材も失ってしまう大ダメージです。
歯科衛生士は有効求人倍率の高さに加えて、離職率も高い職種です。
全国の院長先生は人材を集めると同時に、コスト削減の問題にも迫られています。
企業全体の平均採用コストを把握する
では、歯科業界に限らない企業全体の採用コストは、平均でどのくらいの金額がかかっているのでしょうか。
会社の規模や業種によって採用コストは大きく異なるので、規模別・業種別に分けて解説します。
会社規模別
従業員数 | 採用コスト平均 | 0〜49万円 | 50〜99万円 | 100〜199万円 | 200〜499万円 | 500〜999万円 | 1,000万円以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
50名以下 | 151.7万円 | 62.8% | 12.8% | 9.1% | 12.0% | 1.2% | 2.1% |
51〜300名 | 310.7万円 | 33.5% | 16.6% | 17.8% | 18.1% | 6.1% | 7.9% |
301〜1,000名 | 598.3万円 | 23.1% | 14.4% | 12.9% | 22.0% | 11.4% | 16.3% |
1,000名以上 | 1134.0万円 | 18.4% | 9.6% | 12.0% | 17.8% | 12.7% | 29.5% |
会社規模が大きくなるほど、採用コストの平均値が上がっていることがわかります。
また従業員数50名以下の企業では、採用コストの平均が49万円以内と答えている会社の割合が最も多くなっています。
一方で従業員数1,000名以上の大企業になると、採用コストに1,000万円以上かけている会社の割合が最も多いです。
会社の規模が大きくなるほど、必要な採用コストも増えることがわかります。
業種別
業種 | 採用コスト平均 | 0〜49万円 | 50〜99万円 | 100〜199万円 | 200〜499万円 | 500〜999万円 | 1,000万円以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
IT・通信・インターネット | 610.1万円 | 24.4% | 12.5% | 15.5% | 20.2% | 10.7% | 16.7% |
メーカー | 834.4万円 | 25.8% | 13.1% | 14.7% | 17.5% | 9.1% | 19.8% |
商社 | 501.5万円 | 32.0% | 8.0% | 10.0% | 22.0% | 12.0% | 16.0% |
サービス・レジャー | 350.9万円 | 41.8% | 11.8% | 12.4% | 20.9% | 3.3% | 9.8% |
医療・福祉・介護 | 526.3万円 | 42.3% | 13.0% | 11.4% | 13.8% | 8.9% | 10.6% |
流通・小売・フードサービス | 413.7万円 | 38.2% | 21.6% | 11.8% | 12.7% | 2.0% | 13.7% |
マスコミ・広告・デザイン | 268.9万円 | 45.5% | 18.2% | 9.1% | 9.1% | 9.1% | 9.1% |
金融・保険・コンサルティング | 842.2万円 | 23.9% | 13.4% | 7.5% | 22.4% | 11.9% | 20.9% |
不動産・建設・設備・住宅関連 | 436.3万円 | 33.8% | 15.9% | 14.6% | 16.6% | 6.6% | 12.6% |
運輸・交通・物流・倉庫 | 565.6万円 | 36.0% | 8.0% | 13.3% | 20.0% | 13.3% | 9.3% |
環境・エネルギー | 587.1万円 | 37.5% | 18.8% | 12.5% | - | 12.5% | 18.8% |
公的機関 | 166.4万円 | 53.8% | - | 30.8% | 7.7% | - | 7.7% |
最も採用コストが高いのは「金融・保険・コンサルティング」で842.2万円、最も採用コストが低いのは「公的機関」で166.4万円でした。
業種によって採用コストの金額が大きく異なることがわかります。
また医療・福祉・介護分野では、採用コストの平均金額は526.3万円です。
しかし、全体の半数以上が採用コストは99万円以内と回答しました。
従業員数の多い会社が多額の採用コストを支払っているため、平均金額が跳ね上がっていると予測できます。
歯科衛生士採用で「採用コスト」をムダにしないためのポイント5選
歯科衛生士は有効求人倍率が突出して高い職業です。
そのため、採用コストも高くなる傾向にあると考えられます。
ここからは、採用コストをムダにしないためのポイントを紹介していきます。
具体的な内容は、以下の5つ。
1つずつ詳しく見ていきましょう。
求人媒体への掲載内容を見直す
歯科衛生士や歯科医師の求人採用のため、求人サイトへの掲載を行っている院長もいらっしゃると思います。
しかし求人サイトを利用する場合、求人を載せているだけでランニングコストがかかってしまいます。
- そもそも、求める人材はそのサイトを利用しているのか
- いつ掲載した求人が有効だったのか
- 応募者の質はよかったか
これらの内容について丁寧に分析し、1つ1つ改善していくことで、結果的に求人コストの削減につながるでしょう。
求人は「掲載して終わり」ではありません。
ランニングコストがかかっていたとしても、魅力的な求人の文面さえつくることができれば、大きなコストパフォーマンスを生み出すことも可能です。
また「Indeed」や「Googleしごと検索」などであれば、無料で求人情報を掲載できます。
求職者も多くの人が利用していることから、コストをかけずにたくさんの人に求人情報を届けられます。
歯科衛生士の紹介制度を取り入れる(リファラル採用)
少し前でもお伝えしましたが、リファラル採用とは、現在働いているスタッフに友人や知人を紹介してもらう採用方法のこと。
必要なコストは、候補者を紹介してくれたスタッフに対して支払うインセンティブです。
インセンティブの金額は数万円〜数十万円までとさまざまですが、求人サイトに掲載するランニングコストと比べると、費用を抑えられるでしょう。
採用活動の流れは、友人・知人に対して自院を紹介してもらい、興味を持ってもらったら求人採用へと進めます。
リファラル採用のメリットは、
- 求人サイトのように、ランニングコストが発生しない
- 友人・知人が一緒に働いているため安心感があり、定着率の向上が見込める
- 現在働いているスタッフが自院に合いそうな人を紹介するため、ミスマッチが減らせる
などが考えられます。
各種SNSを活用する
- Twitter(X)
- TikTok
- note
これらのSNSを活用した採用活動は、ソーシャルリクルーティングと呼ばれています。
各種SNSは無料で利用できるため、しっかりと使いこなすことができれば、採用コストをグンと減らすことが可能です。
- スタッフ紹介
- 院長の自己紹介
- 院内の雰囲気や休憩中・レクレーションの様子を届ける
このような内容を投稿することで自院の雰囲気が伝わり、自院に合った求職者からの応募が集まりやすくなります。
特に20代〜30代の人たちは、SNSやホームページを見て医院の情報収集を行う人も多いです。
SNSは、求職者との距離を縮めるための有効なツールとなることでしょう。
しかし、SNSの活用は長く継続しないと成果が出にくい点がデメリット。
また現時点で集患のためにSNSを活用している場合には、採用のためのアカウントを増やすことでスタッフの負担が倍になってしまう可能性もあります。
このような場合には、スタッフに任せきりにするのではなく院長自身も参加することで、
- スタッフの負担を減らせる
- 親しみやすさを持ってもらえる
- 安価で自社採用が可能になる
このようなメリットが得られますよ。
スタッフや院長自身が発信活動をすることによって「リアル感」や「手作り感」が出るため、信頼につながりやすくなります!
歯科衛生士の早期退職が起こらないようミスマッチを防ぐ
無事に歯科衛生士や歯科医師を採用できても、早期退職をされてしまうと、それまでの採用コストが全て無駄になってしまいます。
早期退職の大きな理由として挙げられるのは、採用前と採用後のギャップ。
- 働き方が合わない
- 院長やスタッフとの馬が合わない
- 採用前に聞いていた仕事内容と違った
これらのミスマッチを減らすことで、早期退職は防げます。
ミスマッチを減らすための方法としては、以下のようなことが挙げられます。
- 求人採用前にスタッフとの座談会を行う
- 自院のホームページを用意する
- 自院の採用サイトを制作する
医院のホームページがなければ、求職者はどんな医院なのかを調べることができません。
自分に合った医院かどうかも分からずに採用試験を受けるため、残念ながら採用前後でのミスマッチの確率は上がってしまいます。
医院の治療方針や考え方などをホームページや採用サイトに掲載することで、自院の価値観に共感した求職者からの応募が集まりやすくなるでしょう。
価値観が似ている人を採用できることで、ミスマッチ・早期退職は減らせます!
自院の採用サイトを制作する
総務省の調査によると、2010年の新入社員のうち89.6%の人が、就職活動の際に「インターネットの企業ホームページ」を利用していたと答えています。
この調査から、求人採用を行うためには「自院のホームページ」や「採用ページ」を作ることが必要不可欠であるといえるでしょう。
採用ページには、求職者が採用後の姿をイメージできるよう、以下のような内容を記載します。
- スタッフの1日の過ごし方
- 自院で働くことで身につく能力
- 治療に対する考え方や価値観
- 自院の社風
- 労働条件、福利厚生 など
できるだけ詳しく記載することで、自院の価値観や雰囲気に合った求職者からの応募が集まり、採用後の早期退職やミスマッチを減らすことにも繋がります。
採用サイトの維持費は求人サイトよりも圧倒的に安く、採用時の手数料などもかからないため、採用コストを大幅に削減できますよ!
まとめ:自院のサイトやSNSを活用し、歯科衛生士の採用コストを削減しよう
今回の記事では、採用単価や採用コストについて解説してきました。
- 採用コスト:採用活動全体でかかった費用の総額
- 採用単価:1人を採用するのにかかった費用
採用活動が効率的に行えているかどうかは、採用単価を計算することで把握できます。
また採用コストを削減するためには、自院のホームページや採用サイトを制作することが有効です。
自院のサイトには
- 医院の社風
- 院長の考え方や価値観
- 採用後の1日の流れ
- 自院で働くことで身につくスキル
- 労働条件や福利厚生
など、自院に関する情報をできるだけ詳しく掲載し、求職者との間にミスマッチが起こらないようにすることが大切です。
なるほど!デンタル人事編集部では、約3年にわたり求人採用セミナーを毎月開催しています。
求人採用セミナーでは、これまでにお伝えしてきた内容はもちろん、求人採用のための独自理論やテクニックをお伝えしています。
また、セミナー内容の大切な部分をギュッと凝縮してまとめた「歯科衛生士 求人採用パーフェクトマニュアル 実戦版」を作成しました。
このマニュアルを読めば、
- スタッフ全員で求人採用に取り組める
- 採用活動を何から行えばいいのかが明確になる
- 無駄な求人広告や成果の出ない求人広告の費用を大幅に削減できる
このような未来がまっています。
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貴院の求人採用を成功させるために、ぜひご活用ください!