歯科医院を開業する際に直面する大きな問題の一つが、歯科衛生士の採用です。
歯科衛生士は求人倍率が高く採用が難しい状況ですが、開院までに十分な人数を確保するためには、他の医院と差をつけることが重要です。
ここでは、歯科衛生士の採用を成功させるための大切なポイント、選ばれる求人のコツ、おすすめの求人媒体などを詳しくご紹介します。
新規開業時の重要なタイミングでの歯科衛生士採用に、ぜひご活用ください。
歯科衛生士の採用を成功させるポイント
歯科衛生士の採用にあたって重要なことは、十分な準備をした上で採用をスタートさせることです。
特に新規開業時は、器具・設備の準備や広告宣伝、各種手続きなど、歯科衛生士の採用以外にもやらなければいけないことがたくさんあります。
採用活動に向けて必要な準備をし、焦らず効率的に採用を行うためのポイントを確認しましょう。
①余裕を持った採用スケジュール
開業日から逆算して、いつから求人を出して選考をスタートするか、いつまでに人材を充足させて研修を始めるかなど、余裕を持った採用計画を立てましょう。
一般的にスタッフの採用は4か月程度、開業前の研修は2〜3週間程度かかると想定して計画を立てておけばスムーズに準備できます。
②採用する人材の明確化
求める人材を明確化することは、採用活動の軸になります。
自院にマッチするのはどんな人材か、理想の医院を作っていくためにどんな役割を任せたいかなどを明確にして、求める人材を集めるための情報を適切に開示しましょう。
医院が持つビジョンや、スタッフに求める具体的なスキル、心構えなどをわかってもらった上で採用活動を行えば、条件にマッチする人材が確保できる可能性が高くなります。
また、新規開業の際は最低限の人数で医院を回し始めることが多いため、新人のスタッフと経験値のあるスタッフとのバランスを考慮することも重要です。
③適切な採用媒体の選定
活用できる媒体は色々ありますが、地域性や予算、採用効率などを考慮して適切な採用媒体を選ぶ必要があります。特に歯科衛生士の場合は、医療系の業界に特化した求人媒体などもあり、求職者に出会う手段はさまざまあります。
最も重要なポイントは、自院が求める人材に出会うことができ、効果的にアプローチできる媒体を活用することです。
後ほど紹介する求人媒体の特徴なども踏まえて検討してみてください。
④採用プロセスと評価基準の設定
どのようなプロセスで採用活動を行い、どんな基準を満たせば採用するのかも明確にしておきましょう。
例えば、採用までのステップの例として
- 医院見学
- 書類選考
- 適性検査
- 面接
などがあげられます。
それぞれのメリットや必要性を考えて、プロセスを組み立てましょう。
・医院見学
医院の雰囲気がわかり、働くイメージもしやすくなります。
応募を迷っている方に対しても、まず気軽に医院に触れてもらうことで意欲が増す可能性もあります。
新規開業の際はタイミングによって難しいかもしれませんが、その場合は新しく綺麗な雰囲気がわかる写真を見せたりなどの工夫も良いでしょう。
・書類選考
これまでの経歴や応募の理由などがわかるため、実施する場合が多いと思います。
ただし、信頼できる人からの紹介などで、他院で十分な経験があることがわかっている場合は、書類選考を飛ばし、他のステップに進めて効率化することも良いでしょう。
・適性検査
企業の採用活動では、書類選考や面接の内容の中でSPIなど適性検査を行う場合も多いです。
歯科衛生士の採用の場合も一般常識や基礎学力、性格や考え方などを見られる外部サービスを利用すれば、採用時の判断や採用後のキャリア形成に参考にすることができます。
実際に利用して
筆記試験や面接ではわからないその人の性格、特性、強み・弱みがわかり参考になった
分析結果が日頃感じていた社員への印象と完全に一致しており、驚くとともに社員への対応に迷いが減った
などといったメリットを感じている声もあります。
確信を持って採用したつもりだったのに想像と違った…というようなギャップを生まないためにも、有効な手段となるでしょう。
・面接
求職者と直接顔を合わせて面接することで、改めて応募の意気込みを聞けるとともに、表情や空気感から人柄を感じることもできます。
採用を成功させるポイントとして、求職者と自院が本当にマッチするか、お互いが気持ちよく働き続けられるかどうか、細かな条件なども確認しながら一人ひとりと真摯に向き合うことが大切です。
必要に応じて順番を変えたり、不要なものは省いたりしながらステップを構築しましょう。
また、求職者の希望と医院が求める条件が完全にマッチしないこともあると思います。
そのような場合に、完全に譲れない条件は何か、ある程度柔軟に対応できる条件は何かなど明確にし、評価の基準を定めておくと、採用活動に一貫性が生まれ迷いがなくなり、採用活動の成功につながります。
⑤採用後の教育体制の充実
採用活動は人材を確保したら終わりではありません。
開業までの間にどんな教育や研修が必要か考えて、しっかりと準備をしておく必要があります。
書類や設備の扱い方に関しては全員で共通認識を持つようにしたり、経験値によって担当する業務が異なる場合は、誰がどの業務を行うのかも確認しましょう。
また、開業前にスタッフ同士でコミュニケーションを取れる期間になるため、院長を含めたスタッフ全員で良好な人間関係を作り、チームワークを良くして開業を迎える準備をしてください。
歯科衛生士に選ばれる求人とは？
どれだけ準備を完璧にしても、肝心の応募が集まらなければ採用活動は始まりません。
では、高い求人倍率の中でも応募が集まる求人は、どんなことを意識したら良いのでしょうか？
歯科衛生士が求める条件をしっかり把握して求人を作りましょう。
①快適な職場環境
職場環境の快適さは、働くスタッフの満足度や仕事のしやすさに直結します。
例えば、
- 器具や設備が十分にあるか
- 院内は清潔で衛生環境が保たれているか
- スタッフの休憩室が完備されているか
などが大切な項目になります。
スタッフが満足感を得ながら長く働ける環境づくりを心がけましょう。
②良好な人間関係
小規模な歯科医院の場合、働くスタッフの人数が少ない分、人間関係が密接になりやすいです。
そのため、一人ひとりがお互いを思いやりながら、良いチームワークで医院を作り上げる必要があります。
新規開業にあたり人間関係ができていない場合は、医院としてどんな雰囲気を目指したいか書いておくと良いでしょう。
例えば、
明るくスタッフも患者さんも心地よいあたたかくアットホームな医院を目指しています
スタッフ全員でサポートし合うチームワークを大切にします
など、院長が作りたい医院のイメージを書いておくと、それに共感した求職者が集まりやすいでしょう。
③働き方の柔軟さ
ライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を求める歯科衛生士は非常に多いです。
例えば、
- 小さい子どもがいるから時短で働きたい
- 家族に合わせて土日休みにしたい
- 有給休暇が取りやすい職場がいい
- 扶養控除内で働きたい
などといった希望が考えられるでしょう。
できるだけ歯科衛生士の希望に合わせた働き方ができることをアピールできるとベストです。
しかし、新規開業の場合は最低限の人数でスタートすることが多く、全員の希望を叶えようとすると医院が回らないといった状況になりかねません。
一人ひとりの状況を見つつ、うまく医院を回していける状態を整えられるように注意しましょう。
④わかりやすい給与体系
給与体系が明確であることも重要なポイントです。
どのくらいの経験があればどのくらいもらえるのか、残業代や手当てなどはあるか、といった内容も求人に明記しておくと良いでしょう。
また、昇給の要件や資格を取った際の補助、報奨金なども記載しておくと、モチベーションの高い求職者に響く可能性が高くなります。
⑤他院と差別化されたポイント
多くの求人の中から自院を選んでもらうためには、他院との差別化ポイントをアピールすることが重要です。
例えば、
- 新規開業のため医院が綺麗で最新の設備がある
- 託児所やキッズスペースがある
- 管理職手当が厚い
など、自院の特徴をアピールできる内容は積極的に求人に載せましょう。
他院にないメリットがあることは、働くスタッフにとって魅力的であり、満足感を得られるポイントになります。
歯科衛生士の採用を成功させる求人媒体は？
魅力的な求人も準備できたら、適切な求人媒体を使って募集を始めましょう。
ここでは、さまざまな媒体や求人方法のメリット、注意点などを解説します。
自院の採用の目的やゴールイメージを改めて見据えて選択しましょう。
・現職の職場からの引き抜きは要注意
現在の職場で一緒に働いている優秀なスタッフがいると、開業後も一緒に働きたいと思うこともあるでしょう。
新しい環境で医院を回していくにあたって、気心が知れていて仕事もできるスタッフがいれば心強いのは間違いありません。
しかし、安易にスタッフを引き抜いてしまうと、職場に迷惑をかけて大きなトラブルを引き起こしてしまうおそれがあります。
また、引き抜いたスタッフに対しても、経営者としての責任を全うする必要があります。
自分が助かるからといった軽々しい理由だけで引き抜くことは絶対にやめましょう。
もし引き抜きをする場合は、職場やスタッフ本人の理解を得たうえで、トラブルが起こらないよう配慮することが必須です。
・ハローワーク
ハローワークは無料で求人を出すことができ、地域を問わず全国の求職者に情報が届けられるメリットがあります。
しかし、医療業界や歯科業界に特化しているわけではないため、効率の良い採用ができるとは限りません。
そのため、採用効率を確認しながら、他の媒体と併用してみることがおすすめです。
・求人サイト
求人サイトは、求職者が求人を自由に検索し、応募できる媒体であり、医院がある地域外の人材にも情報を広げられる手段です。
特に、歯科衛生士の採用では、医療業界や歯科業界専用の求人サイトの利用がおすすめです。
ただし、業界に特化した求人サイトは、他にも似たような条件の求人がたくさん集まっていることも理解しておきましょう。
求人サイトを活用する際は、他院と差別化するために、自院の魅力を効果的に伝えるタイトルや内容を工夫することがコツになります。
・人材紹介
希望の条件に合った人材を紹介してもらえる人材紹介会社を利用する手段もあります。
書類選考や一次面接を行った上で人材を紹介してくれるので、採用活動の手間を一部減らせるメリットがあります。
しかし、デメリットは費用が他の媒体に比べて高額なことで、成果報酬で一般的に年収の20〜30％程度の手数料が発生します。
そのため、人数が多くなるほどコストが大幅にかかってしまうため注意が必要です。
開業直前になっても人材が足りない場合には有効な手段となるかもしれません。
・自院の採用サイト
自院の採用サイトを作ると、質の高い求職者に出会える確率が高くなるメリットがあります。
他の媒体では載せられる情報に制限がある場合が多く、自院のアピールポイントをうまく伝えられない可能性もあります。
一方で、自院の採用サイトなら好きなように情報を載せることができるため、内容を十分に把握し、条件にマッチした求職者からの応募が期待できます。
また、自院の採用サイトは、ハローワークや求人サイトにURLを載せておくことで、他の媒体から求職者が流れてくることも見込めます。
自院の魅力が大いに伝わるページを作成して、求職者へ効率的にアプローチしましょう。
歯科衛生士の求人採用にはこれがおすすめ！
さまざまな求人の方法がある中で、特にメリットが多いのは「自院の採用サイト」です。
しかし、
採用サイトを作るのってハードル高そう…
コストが高くかかるのでは…？
など、気になることもあるでしょう。
そのような場合におすすめなのが、歯科衛生士求人採用実践編マニュアルです。
歯科衛生士の求人採用を強化し、採用後の定着率も向上させるためのコツをわかりやすく解説しています。
今なら無料でトライアル版をダウンロードできるので、この機会にぜひ活用してみてください。
まとめ
歯科医院の運営にあたり、歯科衛生士の採用は必要不可欠ですが、難しい課題でもあります。
特にこれから新規開業する場合、スタッフ採用の経験やノウハウがなく、不安を感じる場合も多いでしょう。
大切なことは、自院の採用活動の目的を明確にし、そのためにベストな手段となる求人媒体を使うことです。
本記事を参考にしっかりと準備を整え、効果的な採用活動をスタートしてください！
