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リファラル採用で失敗しないために!トラブル事例と対策を解説

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リファラル採用は、自院のスタッフや取引先などから人材を紹介してもらうという手法です。
アメリカで広く取り入れられていますが、近年日本でも増えてきています。人手不足の深刻な歯科業界においても、リファラル採用は有効な手段の一つだといえるでしょう。

とはいえ、実際に導入するとなるとご不安を感じる先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回の記事では、リファラル採用の導入時に生じやすいトラブルや解決策、成功のコツなどについて、事例をあげながら分かりやすく解説いたします。
すぐに実践していただけるノウハウもお伝えしますので、ぜひ参考になさってください。

リファラル採用とは

リファラル(referral)には「紹介・推薦」という意味があります。
一般的な求人採用とは異なり、ある程度自院にマッチングする人材の確保や定着率の向上が期待できる手法です。リファラル採用には次のようなメリットがあります。

  • ミスマッチが起こりにくい
  • 定着率アップ
  • 採用コストの削減
  • 即戦力となる人材が採用可能
  • スタッフのエンゲージメントの向上

リファラル採用で起こりうるトラブルと解決策

上記にあげたように、リファラル採用には多くのメリットがあります。
とはいえ、十分な制度設計や運用ができないと、トラブルに繋がることもあるでしょう。
この項では、その中でも特に多いトラブルとその解決方法についてご紹介していきます。

リファラル採用における代表的なトラブル事例

リファラル採用において特に多いトラブルは、次の2つです。

①期待と現実のギャップによる早期退職

リファラル採用は「紹介」という性質上、医院と求職者の間に第三者が介入することになります。そのため、医院のイメージと現実的な状況との間にギャップが生じてしまうことがあるでしょう。

②紹介者と被紹介者の関係悪化

紹介だからといって、必ずしも貴院の求めている人材であるとは限りません。また、逆も然りです。
残念ながら採用とならなかった場合は、紹介者と被紹介者の関係がギクシャクしてしまうこともあるでしょう。

特に「あなたなら絶対採用だよ!」と紹介者が話していたようなケースでは、トラブルに発展してしまう恐れがあります。もし不採用となった場合は、求職者だけでなく紹介者へも丁寧にその旨を説明することが大切です。

具体的なトラブル事例と対応策

先にお伝えしたように、リファラル採用において一番多いトラブルは医院と求職者間のギャップにより生じるものです。ここでは想定されるトラブルと対応策について、具体的なケース別にあげていきますので参考になさってください。

ケース1:条件の認識違い

⚠️例1
紹介者が「残業が少ない」「柔軟な働き方ができる」とざっくりとした情報を伝えていた。スタッフはそれを鵜呑みにして入職したため、実情とのギャップを感じてしまった。

⚠️例2
「最先端の技術に携われる」と思って入社したスタッフが、実際には別の業務を担当することになり、短期間で退職した。

紹介者が適性を考えずに紹介したことで、実際の業務内容に相違が生じてしまった例です。
「残業が少ない」「柔軟な働き方ができる」というようなざっくりした表現では、個々の捉え方に違いが生じてしまうのも決して珍しいことではありません。
また期待した成果が得られず、医院全体に悪影響を与えてしまうというケースも考えられるでしょう。

《解決策》
✅ 雇用条件は採用サイト内の募集要項・求人票など、文書で明示する。
✅入社前に医院見学をしてもらう
✅仕事内容についてしっかり説明・募集要項にも明記しておく
✅求職者がどのような仕事内容や職場を求めているのかヒアリングし、それを踏まえ選考を行う

このように、紹介された人が実際に勤務した場合の仕事のイメージを持てるように準備しておくことが大切です。

ケース2:内定辞退

⚠️例1:
より好条件の医院があり、被紹介者が内定辞退を申し出た。紹介者が不満を抱いてしまった。

⚠️例2
紹介者が説明した給与条件と実際の提示額が異なり、被紹介者が内定を辞退した。

《解決策》
✅ 内定辞退理由を丁寧に聞く。
✅ 紹介者に状況を可能な範囲で説明。紹介してくれたことへの感謝を伝える。
✅ 紹介者に募集内容について正確に伝えておく
最終的な判断はあくまでも院長と求職者にあることを念頭に置いてもらう。

既存スタッフの紹介である場合は、紹介者が現状をそのまま話してしまいがちです。
しかし院長によっては、これから何かを変えたり取り入れたりしたいタイミングのこともあるでしょう。

紹介を依頼する際には「どのような人材(人柄・スキル)を求めているのか」などを事前に理解してもらうことが重要になります。紹介者が口頭で説明しなくて良いように、業務内容や求めるスキルなどを明記した募集要項を整えておくことが大切です。

ケース3:職場での人間関係

被紹介者の評価が最初から高く、周囲が「ひいき」を疑い院内の雰囲気が悪化してしまった。

《解決策》
✅ 経験やスキルがあったとしても、入社時はマニュアルなどを用いながら基本的な流れに沿ってスタートする。
✅ 公平な評価基準を全員に周知しておく。

リファラル採用を成功させるためのポイント

リファラル採用をうまく機能させるためには、院内でのリファラル採用の仕組みを整え、運用する必要があります。ここでは、そのポイントを分かりやすく説明していきます。

入社後のギャップを最小限に

リファラル採用では、入社前にお互いの認識をすり合わせることが成功の鍵です。良い面だけを伝えるのではなく、医院のリアルな姿も共有することで、入社後のギャップを減らすことができるでしょう。

見学会や座談会の場を設け、現場の声を直接伝える
✅ 業務内容や課題を詳しく説明した資料を準備する

ある医院では「1日お試し勤務」を導入したところ、入社後のミスマッチが大きく減ったようです。

公平で透明な選考プロセス

リファラル採用では、紹介者がいても特別扱いすることなく、全応募者を同じ基準で評価することが信頼に繋がります。他の求職者と同じ基準で選考するため、選考時は次の点に注意しましょう。

✅ 複数人で面接を行う場合は、明確な採用基準を設定し評価者全員に共有しておく
✅ 面接などを複数回行う場合は、面接で良かった点、また改善すべき点などのフィードバックを行う
✅ 不採用の場合は、求職者と紹介者の両者へ丁重にお断りの連絡を入れる

これにより、紹介者と被紹介者の双方に公平な選考であることを示すことができます。

紹介料や選考基準などの、適切なルール設定

リファラル採用制度を整える際、紹介してくれたスタッフへの紹介報酬や選考基準を明確にすることで、制度の乱用を防ぎながら質の高い採用をすることが可能になります。

💡紹介報酬の例
⚫︎入社時:紹介報酬の50%を支給
⚫︎試用期間終了時:残りの50%を支給
⚫︎入社1年後:ボーナス支給

このような仕組みがあると、紹介したスタッフも被紹介者の定着に積極的に関わるようになるのではないでしょうか。

紹介者と被紹介者のフォローといった定期的なコミュニケーション

入社後のフォローは、非常に大切です。これがリファラル採用の成功を左右するといっても過言ではないでしょう。特に最初の3ヶ月は丁寧なサポートが必要です。

入社後サポートの一例
✅ 週1回の定期面談(上司や人事担当者と)
✅ 月1回のイベントや交流会(紹介者も参加)
メンター制度の導入

これらのサポート体制は、問題の早期発見に役立ちます。早い段階で手を打つことで、トラブルを回避することもできるでしょう。

ぶっちゃけどうなの?リファラル採用に対する歯科衛生士の本音

筆者は20年以上歯科衛生士を続けており、現在フリーランスとして複数の医院に勤務しながら、歯科専門ライターとしても活動しています。
フリーランスになる前には転職活動も数回経験し、求人サイトやハローワーク・人材紹介会社なども利用してきました。結論からお伝えすると、これらの中で「ある程度信頼できる医院を紹介してもらえる」リファラル採用はとても魅力的です

紹介者との関係性にもよりますが「価値観があまりにも違うといった医院に出会う可能性は低いですし、信頼できる人からの紹介であれば、衛生士の退職理由の上位を占める「人間関係」で悩む確率も少ないと思われます。

現在は歯科衛生士不足に陥っており、求人募集は多い状況ですが「転職先を探して見つける」となると、働きながら活動をしていくことはなかなか大変なもので…。
何件も見学・面接に行っても理想に近い医院が見つからないと、正直なところ就職活動事態が徐々に億劫になってしまうこともあります。それが引き金となり「暫く働くの止めようかな」「やっぱり他の仕事をしてみようかな」などと離職に繋がってしまうことも…。
しかしリファラル採用が利用できれば、求職者の負担も軽減されます。

とはいえ、いいことばかりではありません。
紹介である以上「聞いていた話とちょっと違うな」「見学してみたらイメージしていたのと違うな」と思っても、お断りしづらいのです。明らかに「ここではやっていけなさそう」と思えれば話は別ですが、魅力的な面もあるとなると本気で悩んでしまいます。

結果的にめでたく入社を決めることもありますが、この時引っかかった点が後々退職理由となってしまうことも十分にあり得ます。
このような事態に陥らないためには、エントリーの検討段階で、求職者に自院のことをしっかり伝えられるような仕組みを整えておくことが重要でしょう。

注意すべき法的リスク

リファラル採用を進めていくときには、法的なリスクを冒さないように以下の2つの点に留意しましょう。

個人情報の適切な管理

リファラル採用では個人情報の管理が特に重要です。

  • 必要最小限の情報だけを収集する
  • 使用目的を明確にし、本人の同意を得る
  • 情報を安全に管理する

労働基準法に基づく公平性

採用基準や、選考過程の公平性を守る必要があります。

  • 採用基準を明確にしておく
  • えこひいきなどをしない
  • 労働条件を明示して書面で確認する

ある歯科医院のリファラル採用事例

ここでは、私が最近直面したある医院のリファラル採用についてお話したいと思います。

1人のスタッフが体調不良により出勤できなくなり、急遽人員不足に陥りました。
募集をかけてもすぐに人が確保できるわけではありません。
ところが、リファラル採用により、すぐに新しい人材が来ることが決まったのです。

実際の現場からはこのような声が...

「全く知らない人が入社すると、どんな人だかわかるまでは何となく警戒してしまうもの。誰かが知っている人であれば、最初からお互いに心を開きやすい。」

「ある程度合う人と繋がることができ、間に紹介者が知っていることで、コミュニケーションも取りやすいです。」

新しいスタッフが入社して2ヶ月ほどですが、まるで以前からいるスタッフのように良い関係が築けており、協力しながら毎日の診療を行っています

実際に勤務しているスタッフからの情報は、被紹介者にとって非常に価値のあるものです。
また医院側としても、良く知っている人から紹介された人であれば、安心できるものではないでしょうか。

リファラル採用を取り入れることでミスマッチの悩みがなくなり、スムーズに良い関係が築け即戦力となっている事例でした。

リファラル採用が成功する理由

リファラル採用を成功させている医院には、次のような共通点があります。

  • 紹介報酬制度・入職後のフォロー体制など、リファラル採用の仕組みが整っている
  • 人事評価制度が整えられており、スタッフの評価基準が明確にされている
  • 研修やフォローアッププログラムがある

ただ何となくリファラル採用を取り入れたとしても、紹介者と被紹介者、医院の関係性が悪くなるなどの失敗に繋がってしまうかもしれません。
成功させるためには、やはり事前準備が重要となるでしょう。

リファラル採用で定着率を高めるには

リファラル採用で入社後の定着率を高めることは、採用戦略において重要なテーマです。
ここでは、定着率UPのためにできる施策をご紹介していきます。

入社後のサポートとフォロー

入社後のサポートとフォロー体制は、定着率向上に欠かせません。入社後の最初の90日間は特にサポートを手厚く、意識的に行いましょう。

【具体的な施策例

  • 入社後30日間の集中フォロープログラム
  • メンター制度の導入と定期面談の実施

新入社員のフォローやメンター制度などを取り入れている歯科医院も少しずつ増えています。

実際に入社後3ヶ月の間に週1回のオンライン面談を行い、業務や不安に関する相談を受け付けた結果、定着率が前年比で20%向上したという企業もあるほどです。

医院への適応をサポート

新しい職場に馴染むことは、なかなかハードルが高いものです。医院に適応できるかどうかも、定着率向上の重要なカギとなります。職場の雰囲気が入社前の想像と違い過ぎると、早期退職を引き起こす恐れがあるため注意しておきたいところです。

適応を助ける取り組みの一例

  • 医院について学べる研修プログラム
  • 歓迎会やLINEグループへの招待など、院内コミュニティへの参加を促す
  • 医院へ適応できているか、定期的に面談で確認

最も効果的な方法は、紹介者以外のスタッフとの交流の場を設けることです。コミュニケーションを積極的に取ることにより、新たな人間関係が築かれ、働きやすい職場になっていきます。人は、働きやすい場所に長く定着するものです。

まとめ:リファラル採用成功のポイント

今回は、リファラル採用の導入時に生じやすいトラブルや解決策、成功のコツなどについてお話しました。

リファラル採用を成功させるためには、まず紹介の流れや雇用条件、紹介報酬の仕組みなどを院内で共有しておくことが成功のカギです。先生方の医院でもリファラル採用を取り入れる際には、この記事でご紹介したポイントをぜひ参考にしてみてください。

リファラル採用に取り組む前に

グッピーやジョブメドレーなどの求人媒体に掲載しても応募がこないので、次は紹介での採用を狙っている
そんな先生は要注意。

なぜなら、採用活動の前には、必ず『準備』が必要だからです。

衛生士採用にお悩みの先生は、まず一度こちらをご覧ください。
人手不足・採用難の打開策が、必ず見つかるはずです。

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