院長先生の医院では、パートの歯科衛生士は募集していますか?
結婚・出産後はパート勤務になる歯科衛生士が多いため、母体数的にも正社員よりもパート希望者が多くなります。
人手が足りないからパートより正社員が欲しい
そうお思いの先生もいらっしゃるかもしれません。
しかし、上記の理由から正社員よりパートで募集を出した方が集まりやすいのも事実。
本記事では、扶養内で働きたいパート歯科衛生士の効果的なシフト例を通して、正社員と変わらない活躍をするための手法をご紹介します。
扶養内で働きたいパートの歯科衛生士とは
なぜ扶養内勤務を希望するのか
大きな理由は2つ。
- 税金の控除を受けるため
- 社会保険の自己加入を避けるため
どちらも等しく「無駄な出費を避ける」目的があります。
年収が増えて税金の支払いや社会保険加入義務が発生してしまうと結局出費が嵩んでしまい、働いて得た金額分が無駄になってしまいます。
そのため、パート勤務を希望する既婚女性の多くは扶養内勤務を希望するのです。
扶養範囲の収入制限を理解する
では次に、扶養内となる年収についてご説明します。
1. 年収103万円以下
年間収入が103万円以下ならば、配偶者特別控除が適用され、所得税の課税対象外となります。
月給8.6万円以下が目安です。
課税対象外となる理由については、以下の通りです。
配偶者特別控除にて控除を受けられる額は38万円
年収103万円以下の年間所得は38万円以下
よって、年間所得の全額が控除対象となる。
2.年収130万円以下
年間収入が130万円以下ならば、社会保険の扶養内の対象となります。残業代や賞与も含まれるため、時給・月給のみを見ているとオーバーしてしまう危険があり、注意が必要です。
月給10.8万円以下が目安です。
ただし、以下の条件を満たす際には年収130万円以下であっても扶養から外れる可能性があります。
- 年収106万円以上
- 週20時間以上勤務
- 月額8.8万円以上の収入がある
- 勤務先の従業員数が501人以上
- 1年以上の雇用が見込まれる
3.年収150万円
年収150万円を超えると、配偶者特別控除にて受けられる控除額が段階的に下がり、201万円以上になると控除額が0に。
201万を超えないようギリギリのラインで勤務をするスタッフに対しては少しの残業等にも気をつけなければいけません。
扶養内で働きたいパート歯科衛生士募集のポイント
では次に実践として、扶養内勤務を希望する歯科衛生士を募集する際のポイントを解説します。
収入制限を超えないためのポイント
働くスタッフが収入制限を超えてしまわないためにも、以下を理解して求人募集・シフト管理をする必要があります。
- 現在のパート歯科衛生士の時給
- パート歯科衛生士に勤務してほしい時間帯
- パート歯科衛生士に頼みたい仕事内容
現在のパート歯科衛生士の時給
歯科衛生士は引くて数多な職種であるがゆえ、平均時給は1,500〜2,000円と比較的高め。
そのため、無資格で働ける一般的なパート職と比べても、1ヶ月で働ける時間が極端に短くなります。
時給1,000円のパートと比べると、同じ月給でも働ける時間は半分程度。
自院のパート時給を理解した上で募集を出さなければ、もったいない結果になってしまいます。
パート歯科衛生士に勤務してほしい時間帯
次に行うべきは、どの時間帯で歯科衛生士が必要なのかを考えること。
医院側である程度時間帯を設定しなければ、充足している時間帯で募集が集中してしまう可能性があります。
ぼんやりと「衛生士が足りない」と思わずに「水曜・土曜の午後が足りない」「8時半〜10時の朝イチに入れる人がいない」など、アポイント枠を見ながら振り返りましょう。
パート歯科衛生士に頼みたい仕事内容
最後に、実際にやってもらいたい業務を確認します。
ここで重要なのは「衛生士業務全般」など大まかに捉えずに、徹底的に詳しくリストアップすること。
- メインテナンス、PMTC、SRP、TBI
- 訪問歯科(直行・直帰OK)
- インプラント(メインテナンス、外科アシスト)
- など
メインテナンスは、アポイント時間と時間内の細かな業務・流れも棚卸ししましょう。
例
保険定期検診の流れ
EPP→ご説明→口腔内写真撮影→歯石除去→PMTC→歯間清掃・歯間チェック→カリエスチェック→フッ素塗布
合計:45分間
業務内容が明確になると、求人の打ち出し方も変わります。
これまでは歯科衛生士/パートで出していた求人募集も
- 歯科衛生士(メインテナンス専任)/パート
- 歯科衛生士(訪問歯科のみ)/パート
- 歯科衛生士(インプラント・未経験者OK)/パート
など、業務毎に打ち出せるようになり、ターゲットがより浮き彫りになります。
求職者にとっても、歯科医院によって衛生士業務の範囲が異なることはわかりきっているため、その中で自分が何を求められているのかが応募時点で分かり、エントリーに踏み切りやすいのです。
パート歯科衛生士の扶養内勤務のシフト
勤務時間と収入のバランスを踏まえて月に入れるシフトを考える
さて、前述の通り歯科衛生士は時給が高い職種です。
まずは、自院の時給で月に何時間入れるかを計算していきましょう。
例として、時給1,800円 /歯科衛生士で考えてみます
103万円以内で働くなら、月給は85,000円に抑えなければいけません。
そうなると、働ける時間は約47時間/1ヶ月。
週4日勤務だと1日の労働時間は3時間、週2日勤務だと1日の労働時間は6時間ほど、などのようにシフトの例を組みやすくなります。
例
Aさん 週4日勤務(月13日):約3時間勤務/1日
Bさん 週2日勤務(月8日):約6時間勤務/1日
こちらを参考にしていただきますと、Aさんなら午前中・終業前ラストの時間帯での勤務、Bさんは1日人手が足りない火曜日と土曜日にフルタイムで入ってもらって…など、実際に働くパート歯科衛生士のリアルな様子が思い浮かびませんか?
ここにさらに先ほど棚卸しした仕事内容が加わると、以下のようにさらに1日のスケジュールが理解しやすくなります。
例
Aさん 週4日勤務(月13日):約3時間勤務/1日
→月火水金の午前診療(9時〜12時)のメインテナンス枠に入ってもらう。
予防専任として、3番ユニットを担当。メンテ1枠45分×3名。
アポがないときは消毒・滅菌を対応。
Bさん 週2日勤務(月8日):約6時間勤務/1日
→水曜は午前中外来診療でインプラント専門医のアシストとインプラントメンテを担当。午後は訪問歯科として〇〇へ回ってもらう。
土曜は終日外来担当。1日メインテナンス枠にて45分×6名を担当。
ここまで詳しく決めておくと、いざ採用してから「どの時間帯で入ってもらえば…」と迷うこともありません。
パート募集をする際には、事前に時給・勤務時間帯・仕事内容をとりまとめておきましょう。
パート歯科衛生士を効果的に採用できると、双方の満足度も向上
パートさんにはどのくらいシフトに入ってもらいたいですか?
こうお聞きすると、多くの院長先生はこう答えられます。
そりゃ、入ってくれるならたくさん入ってもらいたい
週2日、1日3時間とかで働かれても仕事を覚えられないでしょう
しかし現実問題、先ほど例に挙げたシフトのように、現在の歯科衛生士の平均時給では扶養内で月に働ける日数・時間はかなり制限されてしまいます。
これは「やる気がない」とか「働く気がない」とかでは決してありません。制度上、それ以上に働くと不利益が出てしまうのです。
- 事前に棚卸しをする
- 求人票にシフト例を打ち出す
- 入って欲しい希望日・時間帯を提示
- 従事いただく業務内容を提示
- 可能ならば、業務内容(専任)ごとに求人票を分ける
ここまでしてあると、求職者側も安心してエントリーできます。双方のミスマッチを防げるため、医院側にとっても採用コストの削減につながります。
今回ご紹介した手法以外にも、歯科衛生士を採用するための効果的な求人対策はまだまだたくさんございます。
他についても同メディア内にてご案内していますので、ぜひ読んでみてください。
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