突然ですが、あなたの医院にはどんな福利厚生が備わっていますか?
スタッフの生活をサポートするものや働きやすい環境をつくるものなど、福利厚生の種類は多岐にわたります。
この記事では、福利厚生の種類と歯科衛生士が魅力を感じる福利厚生について解説します。
「福利厚生を見直したい」
「新規開院を考えている」
という方はぜひ参考にしてください。
歯科医院の福利厚生制度について
福利厚生とは
そもそも、福利厚生とはどんなものでしょうか?
福利厚生制度とは、企業(雇用主)が従業員(労働者)やその家族の健康や生活を向上させるために実施する施策・取り組みの総称です。端的に言うと、「企業が提供する従業員向けのサービス」のようなものです。
福利厚生は給与や賞与以外の報酬を指し、その種類は多岐に渡ります。
―福利厚生制度とは?その必要性や導入時の注意点を解説 | 福利厚生代行サービス アソシエ倶楽部/NTTビジネスアソシエ東日本
https://www.nttba-east.co.jp/service/associe-club/column/course/course5/
スタッフが健康で豊かな生活を送るためのもので、歯科医院の人事施策としても重要な福利厚生。
有給休暇制度や健康保険など一般的なものから、フィットネスジムの割引やランチ支給などスタッフに喜ばれるものまで、種類はさまざまです。
福利厚生で仕事と生活をサポートすることで、スタッフも安心して働けますね。
また、エンゲージメントを向上させ、長く安定したスタッフの定着が期待できそうです!
福利厚生の種類
福利厚生は「法定福利厚生」と「法定外福利厚生」の二つに分類されます。
どのような違いがあるのでしょうか?
法定福利厚生
法定福利厚生は、法によって実施を義務付けられている福利厚生です。
雇用側が費用を負担しており、法定福利厚生を行わない雇用側は法律違反として罰せられてしまいます。
主な法定福利厚生は、以下の6つです。
社会保険(健康保険・厚生年金保険・介護保険)
社会保険とは、スタッフとその被扶養者が病気・ケガ・事故にあった場合に利用できる制度です。
社会保険は健康保険・厚生年金保険・介護保険の3種類からなります。
歯科医院では社会保険ではなく歯科医師国保に加入しているところが大半です。
歯科医師国保では保険料が所得に左右されず一律になることや、予防接種や人間ドックなどの補助を受けられるなどのメリットがあります。
しかし、
・家族を扶養に入れられない
・労使折半が義務化されていないため、労働者が保険料を100%負担するケースがある
・協会けんぽで支給される「出産手当金」がない
などの側面もあり、ライフステージや家庭の状況では痛手になってしまうスタッフも。そのため、スタッフさんの状況や医院の方針それぞれで導入が異なっています。
(参考)
https://www.tokai-sr.jp/Dentist_Health_Insurance /「歯科医師国保とは協会けんぽ(健康保険)はどう違う?メリット・デメリットを比較!」|社会保険労務士法人とうかい
労働保険(雇用保険・労災保険)
労働保険とは、スタッフの生活を守り、雇用を安定させるための保険制度です。
雇用保険と労災保険(労働者災害補償保険)の2種類が挙げられます。
雇用保険とは、スタッフが失業した場合や育児・介護のために休業した場合に受けられる制度です。収入がなくなっても生活と雇用の安定を図るため、また、次の就職へ繋げるために給付などをしています。
労災保険とは、スタッフが仕事や通勤が原因でケガや障害を負った場合や病気になった場合、また、不幸にも亡くなった場合に受けられる制度です。
被災したスタッフや遺族を守るための給付などをしています。
(参考)
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/hoken/tokusetusaito/about.html /「労働保険とは?」|厚生労働省
子ども・子育て拠出金
児童手当や子育て支援の支給に充てるための拠出金です。
スタッフに負担義務はなく、医院側のみが支払いを行います。
法定外福利厚生
法定外福利厚生は、医院が独自で定める福利厚生です。
法定福利厚生と違い法律によって定められていないため、さまざまなサービスを自由に導入できます。オリジナルの福利厚生を作って定めている企業もあるようです。
そのため領域も幅広く、以下のように多種多様な福利厚生があります。
今回はその中でも特に歯科衛生士に人気の福利厚生をまとめました。
セミナー受講費補助
歯科業界では日々知識をアップデートし、技術を磨いていくのが重要。
スキルアップを目指す歯科衛生士を応援して、セミナー受講料や資格取得費用、研修費用などを所定の額補助する制度です。
成長意欲のあるスタッフだけでなく、新人スタッフやブランクのあるスタッフにとっても心強く、人気の制度です。
スタッフ全員が受講できるように、外部から講師を呼んで院内セミナーを行っている医院もありました。
歯科衛生士が希望するセミナーの補助をするのか、院長が必要と判断した場合にのみ補助をするのか、医院によって異なります。
また、補助の範囲も全額補助から一部補助までさまざまです。募集要項に掲載する場合には、詳細を書いておくと良いでしょう。
出産・育児支援制度
歯科衛生士のほとんどは女性です。そして、女性のライフステージの中での大きなイベントが出産・育児。
出産・育児の支援があると、歯科衛生士は安心して長く働けますし、産後の復帰も期待できます。
・育児で急な休みが必要になっても、スタッフみんなでカバーできる体制を整える
・担当のアポイントを調節する
など、復帰後に育児と仕事を両立できるようなサポートも大切です。
院内イベント費用補助
歓迎会や懇親会、ランチ会などの院内イベントの費用を補助する制度です。イベントで発生した交通費やタクシー代を全額負担している医院もありました。
連携をとって仕事を進めるために、そして毎日気持ちよく働くためにスタッフ同士の交流は大切です。「費用補助のおかげで金銭面を気にせず楽しめる」と一人暮らしの歯科衛生士にも人気の制度です。
費用補助を行うと、スタッフのイベント参加へのハードルが下がりますね!
企業型確定拠出年金(401k)・IDeCo
スタッフの老後資金準備のための制度です。
主に下記の3つのいずれかの方法で積立を行い、資産を運用します。
・医院が掛金を負担
・医院とスタッフで掛け金を折半
・スタッフの給与を天引きして積立
掛け金が所得控除になるため、所得税・住民税の軽減につながるのが大きなメリットです。
iDeCoでは、積み立てたお金を投資信託などで運用して資金を増やしていけます。
一受取の際には一時金も運用で出た利益も課税されず、そのままの額で受け取れます。
年々退職金を福利厚生に導入する企業は減少しており、財産を形成できる福利厚生の効果は高まっています。
提携施設の利用
提携した施設内でトレーニング・ヨガ・ピラティスなどを割引価格で受けられる制度です。
スタッフの健康増進とストレス軽減を目的として、スポーツジムを契約している医院もあります。
退職金制度
長く働いたスタッフに対し、感謝の気持ちとして退職時にお金を支給する制度です。
退職金制度の導入は義務ではありませんが、歯科衛生士の勤務実態調査によると、約半数の歯科医院が退職金制度を実施しています。
スタッフに長く働いてもらうために導入している医院も多いようです。
「退職金が出るのは入職後3年から」など、制限を設けられている場合が多いです。
その制限が歯科衛生士の引き止めにつながりやすくなっているんですよ。
法定福利厚生はスタッフの生活や雇用を保護・安定させるためのものがメインでした。
しかし、法定外福利厚生は「非金銭報酬」の面が強く、働きやすい環境づくりやスタッフの豊かな生活につながります。
福利厚生のメリット
長く勤めてもらえる
「出産・育児支援制度」などの福利厚生はスタッフの「働きやすさ」に直結します。
有給休暇以外に「リフレッシュ休暇」「バースデー休暇」を定めて、スタッフのワークライフバランスの向上につなげている医院も。
さらに、「院内イベント費用補助」や「提携施設の利用」などの福利厚生があると、モチベーションがアップします。
福利厚生によってスタッフのモチベーションを保ちつつ、働きやすい環境を作ることで、スタッフに長く勤めてもらえます。
スタッフのスキルアップ
知識や技術のアップデートは必須ですが、個人での学習はなかなか難しいものです。
そこで、「セミナー受講費補助」などの制度を使いましょう。スタッフの学びを助け、スキルアップにつなげられます。
医院の回転率や売上の増加も期待できるでしょう。
新人スタッフやブランクがあるスタッフには「接遇研修」もおすすめです!
採用の切り札に
福利厚生が多いと、求職者が他の医院と比較した際により多くのメリットを自院に対して感じてもらえます。
歯科衛生士の人材不足が続く中、人材獲得と定着のために充実させておきたいところです。
福利厚生=アピールポイント。
募集要項の中でしっかりとアピールしましょう。
福利厚生や求人票を見直してみましょう
さまざまな福利厚生の種類とそのメリットをご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
自院のアピールポイントへの気づきや、福利厚生の見直しのきっかけになれば幸いです。
求職者にとって福利厚生は入職するメリットそのもの。
導入している福利厚生はどんどんアピールしていきましょう!
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