こちらの記事では、歯科衛生士の心理的安全性を高める職場づくりの方法について解説します。
心理的安全性の重要性や具体的な対策、アピール方法、コミュニケーションのポイントなどを紹介し、スタッフのモチベーションやパフォーマンス向上に繋がる方法をご紹介します。
心理的安全性を意識しながら職場環境を整え、スタッフの満足度や仕事の質を向上させましょう。
心理的安全性を感じてもらえるアピール手法
心理的安全性とは?
先生は心理的安全性という言葉をご存知ですか?
心理的安全性(psychological safety)とは、自分の言動を拒絶されない関係性・チーム内で安心して考えを伝えられる環境を指します。
心理的安全性は働くうちに職場内で醸成されていくものですが、求職者は職場を探す際に意識せずともこの「心理的安全性=自分の考えを受け止めてくれる環境=安心して働ける職場」かどうかを見極めています。
では、どうすれば求職者が「安心して働ける職場だ」と感じてもらえるのでしょうか?
応募に繋げるための求人採用サイトや求人票でのアピール手法、職場での醸成の仕方についてご紹介します。
歯科衛生士が「知りたい情報」を提供
第一条件として、歯科衛生士が本当に知りたい情報を掲載すること。これが何よりの心理的安全性に繋がります。
知りたい情報〜条件面〜
- 詳しい仕事内容
- 出勤から退勤までの1日の流れ
- 勤務日数・勤務時間
- 給与・賞与
- 昇給
- 休日
- スタッフ人数
知りたい情報〜+α〜
- 各種福利厚生
- 育休・産休制度と取得実績
- 研修制度
- 教育カリキュラム
- 在籍スタッフの年齢・キャリア
- 院長の人柄
- 仕事着や爪・髪色規定
以上が、求職者が最低限知っておきたい情報です。
これらの情報が載っていると安心して「応募するかどうか」を悩むようになります。つまり、これらの情報がないと求職者は安心できず、就職先の候補に上がらなくなってしまいます。
先生の採用サイト・求人票はいかがですか?
もし「歯科衛生士が本当に知りたい情報」が載っていない状態でしたら、今すぐ見直しが必要です。
サポート体制を紹介すると働くイメージがつきやすい
+αの知りたい情報に教育カリキュラムと記載していますが、こちらはさらに詳しく記載し、どんな教育サポートがあるのかを紹介すると、求職者にとっても働くイメージがつきやすくなります。
例えば…
- 教育担当の先輩が誰なのか
- 入職して最初の3ヶ月はどんな仕事をするのか
- 研修はどのように進められるのか
- 何ヶ月目で独り立ちできるのか
- 2年目・3年目には何ができるようになれるのか
など、教育カリキュラムをスケジュールとともに順序立てて紹介していきましょう。
「細かすぎるかな?」と思うくらいが、実は求職者にとってはちょうどいい情報量なんです。
やりがい搾取はNG
ついやってしまいがちな表現3選はこちら
- 地域の歯科医療に貢献できる
- 患者様の声でモチベアップ
- DH業務メインでやりがいがある
これらの表現は「やりがい搾取」と捉えられる危険が高く、安易に使ってしまうのはNGです。
DHの仕事にやりがいを感じられるのは、働きやすい職場環境があってこそ。つまり、心理的安全性が保たれている職場だからこそやりがいは魅力になるのです。
仕事のやりがいをアピールしたい先生こそ、まずは心理的安全性を細かく打ち出していきましょう。
心理的安全性向上のためのトレーニング
条件面だけではなく、なんでも発言できる環境・自分を受け入れてくれる環境がなければ心理的安全性が保たれているとは言えません。
意識的にトレーニングし、相手を受け入れ認め合える職場をつくっていきましょう。
心理的安全性向上のためのトレーニングの例
1on1ミーティング
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う定期的な面談です。上司が部下を評価する人事面談とは異なり、部下の成長を促すとともに、チームの心理的安全性を高める手法です。複数の人で行うミーティングと異なり、対話によるコミュニケーションが可能で、プライベートな話題や抱えている課題なども話しやすく、信頼性の構築にも繋がります。
ピアボーナス
ピアボーナスは、ピア(仲間)+ボーナス(報酬)による造語で、社員同士で感謝の気持ちなどの「報酬」を贈り合う制度です。お互いの仕事や行動を認め合うことで、社員間のコミュニケーションを深めて、心理的安全性の形成に有効です。普段は恥ずかしさなどから口に出せない感謝などを言葉にすることで、お互いの信頼感が高まる可能性があります。後の「感謝を伝える」も参考にしてください。
ピアラーニング
ピアラーニングは、社員同士がお互いに学び合う方法です。社員がそれぞれ自分の成果を相手に示し、問題点の指摘・修正を一緒に行い、お互いのスキルアップを図ることで、チームワークが向上し、心理的安全性を高めます。
参考:https://www.projectdesign.co.jp/knowledge/psychological-safety/
対スタッフ同士:適切なコミュニケーション
働く上で一番関わることになるのはスタッフ同士。心理的安全性の高い職場づくりのためにも、スタッフの中で正しいコミュニケーションの取り方を醸成させていきましょう。
コミュニケーションと言うと「よく話かける」「相談し合う」などの「話し手」目線になることが多いですが、ここでは「聞き手」に立ったコミュニケーションの取り方を重視していきます。
意見を否定しない
「発言内容を拒否しない」が心理的安全性につながります。そのため、意見を頭から否定するのはNGです。
一旦相手の発言を受け止めて、それからなぜそう思ったのか・私はこう思うけれどこれについてはどうですか、などの対話を通して相手の考えを掘り下げていきましょう。意見を採用するか不採用とするかは、そのあとの話。まず、受け入れる体制をつくることが重要です。
報連相を待たずに確認
新人スタッフは困っていること・相談したいことがあってもなかなか言い出せないもの。
相手が言い出すのを待たずに「何か困ってない?」「聞いておきたいことある?」など、促してあげましょう。はじめは分からないことばかりだと思うので1日に1回は聞いてあげてください。
新人だけでなく、対スタッフ同士でも積極的な声掛けが適切なコミュニケーションの第一歩です。「積極的な」と言われると頻度が分からないので、院内で頻度を決めてもいいかもしれません。
最初にルール化をすると、自然と医院の文化として根付いていきます。
感謝を伝える
感謝の気持ちを持っていても、伝えなければ意味がありません。
感謝の言葉を口にする・耳にするだけで、少しずつスタッフの肯定感が上昇していきます。「すみません」を「ありがとう」に言い換えるところからスタートするのもオススメです。
心理的安全性の高い歯科医院と認識されると志望度が上がる
求職者に向けた採用サイト・求人票に知りたい情報が載っていると、応募に繋がりやすくなります。そして、院内で心理的安全性の高い関係が築かれていると見学の際に「ここなら安心して働けそう」と思われるようになります。
逆に、良い条件が揃っていたから応募したけれど実際の見学で「先輩たちの態度があんまり…」と、面接・採用を断ったケースも。
応募・採用と、その後の定着にも関わってくる心理的安全性。
まずはサイトの見直しと、在籍スタッフへの関わり方の見直しからはじめてみませんか?
もっと詳しく採用について知りたい方は、月に2回開いている歯科衛生士採用講座をお勧めします。
気になる点などございましたらお気軽にお問い合わせください。