採用面接は、学生がどんな人材であるか、自院にとって必要な人材なのかなど、応募書類では判断することのできない部分を見極める重要なステップです。採用を成功させる上で大きな鍵を握っています。
短時間の面接の中で優秀な人材を見極めるためには、学生の本音を引き出せるかがポイントになります。
また面接官の印象は、医院の印象に直結するため、志望度に大きく影響します。
質問内容や応対によっては自院の印象を悪くしてしまう可能性もあるのです。
そこで、本記事では採用面接ですぐに活用いただける質問を、パターン別に合わせて紹介します。
学生を見極めるポイントや注意点も解説しますので、採用活動の際にぜひ参考にしてください。
💡こんな方におすすめの記事です!
- 初めての新卒採用を行うため、何を質問すればいいか分からない
- どんな質問で人材を見極められるのかが分からない
- 面接時の会話の引き出しを増やしたい
- どの学生も良く(悪く)見えてしまい、見極めできない
- 学生の本音を引き出すことができない
面接官の目的・役割とは?
面接官の目的や役割は、大きく3つに分けられます。
まずはそれぞれの目的を理解し、面接に臨みましょう。
1)自院にとって必要な人材を見極める
まず重要な目的は、応募者が自院に合うかどうか見極めることです。
「求めるレベルのスキルや素質を持っているか」「自院の雰囲気にマッチしているか」など、採用基準をもとに面接官が対話から評価し、次の選考に進めるかなどを判断します。
2)応募者の志望度を上げる
2つ目の目的は、面接の中で、応募者に寄り添い、不安な点や疑問点などを取り除くことです。
面接は医院が応募者を一方的に評価するだけでなく、「応募者が医院を評価する」機会でもあります。
また、自院の魅力付けを行い、「この医院で働きたい」という入職意欲を高める働きかけを行うことも面接官の役割です。この役割をしっかり担うことで、内定辞退防止にも繋がります。
3)ミスマッチを防ぐ
3つ目の目的は、面接を通して、応募者が医院に求めるものや将来像を把握し、ミスマッチによる早期退職を防ぐことです。求人票では分からない医院の情報を面接で積極的に情報を開示し、入職後のイメージを持ってもらうことも大切です。
基本的な面接の流れ
次に、採用面接をスムーズに実施するために基本的な面接の流れを押さえておきましょう。
面接は以下5つのSTEPで進めていくことが一般的です。
- アイスブレイク・自己紹介
- 医院説明
- 応募者への質疑応答
- 応募者からの質疑応答
- 事務的な確認・連絡
それぞれのSTEPを詳しくご紹介します。
STEP1:アイスブレイク・自己紹介
採用面接の開始から、すぐに本題(面接)を開始するのではなく、
なるべく自然体で本音で会話ができるよう、「アイスブレイク」を実施しましょう。
ここで応募者の緊張をほぐし、面接の場がなごむ状態をつくれるかが鍵になります。
また、面接官の人柄が伝わるよう、面接官の自己紹介も行いましょう。
STEP2:医院説明
自院の説明(事業内容や求人に関して)を行い、お互いの認識に相違ないか確認しましょう。募集要項やHPである程度の情報を把握している場合もありますが、募集要項に掲載している情報に加えて、自院の強みや院内の雰囲気などをあらためて面接官から伝えることで、ミスマッチ防止にもつながります。
医院側の説明となるため、アイスブレイクの一貫としても有効です。
STEP3:応募者への質疑応答
「応募者の自己紹介」「経験や活動状況」「アピールポイント」「志望理由、自院の理解度」「価値観」などが把握できる質問をします。
質問の際は、一問一答形式ではなく、もう一歩踏み込んで掘り下げて質問していく方法がおすすめです。
回答の内容だけでなく、コミュニケーションのとり方や表情などにも注目し、応募者の見極めを行います。
この後、紹介する面接質問集もぜひご活用ください。
人材の見極めのため、様々な質問を行う場面になりますが、面接官が複数人いる場合は、スムーズに進行できるよう、誰がどのような質問をするのかや順番など、事前に決めておきましょう。
STEP4:応募者からの質疑応答
応募者からの質問を受ける時間を設けましょう。
自院に対する不安点や疑問点などを正直に話してもらい、解消することが目的です。
質問に対しては、真摯に向き合い回答しましょう。
質問の回答とあわせて、自院の魅力付けを行うことが大切です。
STEP5:事務的な確認・連絡
最後に、「選考結果の予定・通知方法」「今後の選考の流れ」などの事務的な連絡をします。
最後に笑顔でお見送りをして、気持ちよく面接を終了しましょう。
【パターン別】面接質問集
ここからは実際の面接で、すぐに使える具体的な質問例を8つのパターンに分けてご紹介します!
1)アイスブレイク
● 応募者の趣味や特技
例)
「履歴書を拝見したのですが、●●●●が趣味なんですね。いつ頃からやっているんですか?(どんなきっかけで始められたんですか?)」
● 当日の予定や休日の過ごし方
例)
「この後はなにか予定が入っているのですか?」
「この間の連休はどう過ごされましたか?(どこかにお出かけされましたか?)」
● 当日の交通手段(対面面接の場合)
例)
「駅からここまで道に迷いませんでしたか?」
「ご自宅からここまでどれくらいお時間かかりましたか?」
● 季節や天候
例)
「ここ数日、一気に暖かくなりましたよね。●●さんのお住まいの地域も暖かくなってきましたか?」
「こちらは雨が降っていて大変なのですが、そちらの天気はどうですか?」
● オンライン面接
例)
「オンライン面接は何度か経験されてますか?」
「学校の授業もオンラインが多いんですか?」
「Web会議ツールの設定で分かりづらいところはありませんでしたか?」
● 「緊張していますか?」の声掛け
例)
「緊張していますか?」→「私も面接の時は緊張しました。ぜひリラックスして、普段どおりお話してくださいね。」
2)経歴やスキルを確認したい
例)
「学生時代に取り組んできたことは何ですか?」
「学校での実習内容を教えてください。その実習から何を学びましたか?」
「学部で今学んでいることを教えてください。」
「学生生活の中で、特に自分の成長につながったものは何ですか?」
「学生時代の経験の中で、目標に向かって努力してきたことはありますか?そして、その目標を達成するために具体的にどのような努力をしてきましたか?」
3)人柄を知りたい
例)
「1分程度で自己紹介していただけますか?」
「長所と短所を教えてください。短所をカバーするために心がけていることはありますか?」
「あなたは、友人からどんな性格の人だと言われますか?」
「日頃から個人的に行っている勉強や習慣はありますか?」
「なぜ歯科衛生士を目指そうと思ったのですか?」
「自分を物(動物)にたとえると何ですか?」
4)コミュニケーション能力やチームワーク力を知りたい
例)
「"こういう人は苦手"と感じる人のタイプはありますか?」
「人間関係で困った経験はありますか?どのように解決されましたか?」
「普段の会話で、心がけていることはありますか?」
「チームで協力して何かを成し遂げたことはありますか?」
「リーダーシップを発揮した経験を教えてください。」
5)問題解決力を知りたい
例)
「◯◯で苦労した点や、失敗した経験はありますか?」
「自分の希望や意見が通らなかった経験を教えてください。そのとき、どう行動しましたか?」
「問題に直面したとき、何をしますか?」
「学生時代に最も悩んだことは何ですか?」
6)仕事に対する意識や志望度、成長意欲を知りたい
例)
「当院でやりたいこと・挑戦したいことは何ですか?」
「当院はどのような医院だと思いますか?」
「この業界を選んだ理由は何ですか?」
「仕事(医院)を選ぶ際、特に重視するのはどんな点ですか?(大切にしている価値観を教えてください。)」
「今後の目標・夢は何ですか?」
7)ストレス耐性を知りたい
例)
「どんな時にストレスを感じやすいですか?」
「ストレスを感じたとき、どのように対処していますか?」
「今までアルバイトをした際にはどのようなことにストレスを感じましたか?」
「人間関係でトラブルになった場合にはどのように対処していますか?」
「壁に当たった時にどうやって乗り越えましたか?」
8)学生の志望度を上げたい、自院の魅力付けをしたい
例)
「●●さんから当院へご質問はありますか?」
「何か疑問点や不明点はありますか?」
「当院で働く意義はどのような点にあると考えていますか?」
「当院の採用サイトや求人広告で、事業内容についてさらにアピールするべき部分があれば教えてください。」
「最後に補足して伝えたいことがありましたら、お話しください。」
面接時のポイントや注意点
最後に、面接時のポイントや注意点を5つ紹介します。
短時間の面接で自院に合う優秀な人材を見極めるため、しっかりと時間を取り入念に準備をしましょう。
1)重要な事前準備
● 自院に必要な人材を明確にする
今回の採用活動で求める人材・必要な人材の要件を明確にしましょう。
評価が面接官によって変わらないよう、採用活動に携わる全員の認識を統一する必要があります。
現場と経営層が求める人材がバラバラにならないよう話し合う時間を設け、できるだけ詳細な人物像を言語化しておくことが理想です。
● 自院の魅力を整理する
面接は「自院の魅力付け」の場でもあります。
事業内容やビジョン、応募者への訴求ポイントなどを事前に整理し、自院の魅力を分かりやすく応募者に伝えられるよう準備しましょう。
2)評価方法の決定
● 評価基準を決める
面接官の主観で評価しないように、医院によっては、面接評価シートなどを用いて統一した運用を行う場合もあります。
評価の基準についても予め面接官全員で認識をすり合わせる必要があります。
「5段階評価など定量評価」と「所感を記入する定性評価」を組み合わた評価方法がおすすめです。
その際、どういったレベルを「評価3」とするか等、予め評価基準を定めておきましょう。
● 選考フェーズごとに判断する項目を決める
選考が複数回ある場合は、選考フェーズごとに何を判断するのかを明確にしましょう。
例)
・一次面接:スキルや能力を確認する
・二次面接:価値観やカルチャーフィットを確認する
・最終面接:入社意思、志望度を確認する
3)注意すべき身なり・対応の仕方
面接官は、応募者を一方的に評価する立場ではありません。
応募者も面接の中で「入社をしたい医院か」を判断しています。
面接官の印象(対応の仕方や身なり)は医院の印象につながるため、
医院の代表としての振る舞いを意識し、身だしなみを整え面接に臨みましょう。
4)学生に親しみやすい話し方・理解しやすい言葉で質疑応答を心がける
3)とも重なる部分もありますが、面接する上で、相手が学生であることを意識しましょう。
親しみやすい話し方で進行することはもちろん、学生に難しい用語は避け、分かりやすい言葉を選び質疑応答をしましょう。
5)避けるべきNG質問を理解する
採用面接は、本人の「適正・能力」を基準に選考しなくてはいけないため、以下のような質問は採用面接の場で聞くと法律違反となる場合があります。
法律違反だけでなく、SNSなどを通じて拡散される可能性もあります。
SNSで炎上をしてしまうと、自院の評判を大きく落とすリスクもあるため、注意しましょう。
例)
・本籍地や出生地に関する質問
・家族に関する質問
・住宅状況に関する質問
・生活環境や家庭環境に関する質問
・思想信条に関わる質問
参考:厚生労働省「公正な採用選考の基本」(3)採用選考時に配慮すべき事項
まとめ
以上、採用面接の質問集や面接時のポイント・注意点を中心にご紹介しました。
採用面接では、学生の本音や素質を引き出せるかがポイントになります。
今回ご紹介した質問例も参考に、ぜひ採用活動に役立てていただけますと幸いです。