スタッフのやる気がない!意識改革をして意識を高めよう

スタッフ教育

歯科医院を経営するにあたり、皆さんそれぞれがご自身のビジョンや方針を持っておられると思います。日々の診療を行いながら、経営者としてもスタッフを上手く動かしていくことは、決して楽なことではありません。

そんな中「スタッフがあまり動いてくれない、やる気がない」などとお悩みの先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は特にスタッフのやる気がないことや、それに伴う定着率の低下にお困りの方に向けて、スタッフの意識改革やその方法などをご紹介していきます。

スタッフの意識改革が必要な理由

近年は特に歯科衛生士不足が深刻になっており、人材の確保に苦戦している歯科医院は少なくありません。「募集を出しても、問い合わせすらこない」とお悩みの院長先生も多くいらっしゃいます。

歯科衛生士からすれば就職先は引く手あまたの状態で、さらに働き方も多様化してきています。「やりがいがない、この医院は自分と合わない」と感じると、離職しやすい状況でもあるといえるでしょう。

そのような現状の中で「いかにスタッフの定着率を上げるか」ということが以前にも増して重要になっています。

定着率を上げるためには、スタッフが医院の一員として、目的意識や貢献したいという気持ちを持ってもらう必要があります。
そのため必要なのがスタッフの意識を変えることなのです。
スタッフの意識が変わると、生産性が向上し、チームワークも強化されるという効果も得られます。

スタッフの仕事を増やしても良い医院にはならない

「考え方や価値観を変える」とはどういうことか、ここで1つ例をあげたいと思います。

例えば、院長という立場で「医院をもっと良くしたい。あれをしたら良いのではないか、これもした方が良いのではないか」と考えることがあるかもしれません。それゆえに次々に要求することが多くなり、スタッフは仕事が増えることに不満を持ちがちです。

この時、あなたはどう感じますか?
「お給料も払っているし、より良い医院にするためなのだから、もっと頑張ってほしい」そう思われる方も少なくないと思います。果たしてこれは、本当に医院にとってプラスになることでしょうか?

当たり前のことですが、医院を良くするためにも回していくためにも「スタッフの力は必要」です。しかしここで気をつけなければならないのは「多くのことを提供できれば良い医院になるわけではない」ということです。

例を挙げると、現在30分でメンテナンスを行っているとします。良かれと思い、さらに毎回口腔内写真を5枚法で撮ることにしましたが、時間は変わらず30分です。今まで通りの予約枠では、時間内にこなすことはできません。あなたがもしその立場だったら、どうしますか?

仕事量が増えるということは、スタッフの負担も大きくなります。仕事が終わらずに残業が増えたり、スタッフのキャパが一杯になるとしたら、ケアレスミスの増加や体調不良による病欠の確率も上がります。そして同時に、提供するサービスの質も低下してしまうかもしれません。

このような状況は、結果として生産性を落とし、医院にとってマイナスになるのではないでしょうか。

スタッフの意識を変えるメリット

意識改革を行うことで以下のようなメリットがあります。

  • スタッフの離職率の低下
    スタッフにとって働きやすい職場は、離職率が低いものです。スタッフの意識を上手に変えることで、スタッフの離職率を低下させることができます。
  • 採用コストの削減、優秀な人材の確保
    離職率が低下し、スタッフの定着率が高くなると、新たに採用するためのコストは必要なくなります。また、長くスタッフが定着している医院にはやはり魅力があるものです。そのため、人材を増やす際にも優秀な人材を確保しやすくなるでしょう。
  • 生産性の向上、チームワーク強化
    スタッフのモチベーションが向上すると、患者さまへの対応や業務への姿勢も変わります。その結果、生産性や患者満足度も上がる可能性が高くなるでしょう。また、スタッフ同士の結びつきも強くなり、より強固なチームワークが築かれやすくなります。

様々な意識の種類

仕事をする上で大切な「意識」ですが、様々な種類があります。ここでは、主な3つの意識をあげていきます。

①帰属意識

帰属意識とは、スタッフが「私はこの医院の一員として溶け込んでいる」「医院のスタッフはみんな仲間」という意識のことです。帰属意識があると、モチベーションも向上し「医院のために何ができるか」と考えられるようになります。また、自分が医院に在籍している価値も感じられるでしょう。

②プロ意識

プロ意識とは、スタッフ自身が「私はプロフェッショナルである」という自覚を持つことです。患者さまに責任感や使命感を持って向き合うことや、常に学んでいこうとする姿勢もプロ意識があるからこそできるものではないでしょうか。

③危機意識

危機意識とは「このままでは良くない」という感覚を持っていることです。危機意識があると、スタッフ自ら医院の課題や問題点を見つけ出し、改善したりより良くしたりしようと意識するようになります。

最初に押さえるべき「帰属意識」

上記であげた3つの意識の中で、まず最初に重要なのは「帰属意識」です。

帰属意識とは心理学用語の一つで、特定の組織や集団に属している意識や感覚を指します。企業においては、従業員が「自分自身が会社組織の一員である」「会社の仲間として所属している」といった考えを持つことです。ー『帰属意識は企業にとってなぜ重要?高める5つの方法を解説』アイリスチトセ株式会社

https://www.irischitose.co.jp/blog/column/identification/

帰属意識は、ただ一員であるだけではなく、医院に順応しているという点がポイントになります。

同じく「従業員満足度」も似た言葉ですが、従業員満足度は帰属意識を持ってもらうためのベースとなるものです。スタッフにとって居心地の良い職場環境を作ることで、帰属意識を高めることに繋がります。

帰属意識が高い医院では、スタッフが「医院に貢献したい」という気持ちを持っているものです。積極的に仕事に取り組むだけではなく、より良くするためのアイデアや提案をしてくれたり、新しい知識や技術を取り入れようと動いてくれる傾向が見られます。

帰属意識が低下することで起きる問題とは

帰属意識が低下することで、医院にはどのような問題が生じるのでしょうか。

スタッフに帰属意識がない状態では、モチベーションが上がらないため、生産性は低下してしまいます。さらには「自分はこの医院に必要ない」と感じ、仕事へのやりがいややる気はもちろん、学ぼうという意欲もなくなってしまう人も出てきます。離職を考えるスタッフも出てくるため、離職率も高くなるでしょう。

帰属意識を低下させる4つの要因

なぜ帰属意識は低下してしまうのでしょうか。スタッフの帰属意識が下がる要因として考えられるのは、次の4つです。

①医院のビジョンや方針が共有できていない

医院のビジョンや方針はスタッフにしっかり伝わっているでしょうか。医院のビジョンや方向性がわかっていないと「何のためにそうするのか」スタッフ自身が理解できません。そのため「自分は医院に貢献できている」と感じられなくなり、帰属意識が持てなくなってしまいます。

②人事評価制度への不満

人事評価制度が明確でない場合や、納得のいく評価をしてもらえないと感じると、スタッフは不満を感じてしまいます。誰でも努力したことは評価してもらいたいと思うものではないでしょうか。適切に評価できる評価制度を設けておくことが必要です。

評価後はフィードバックを行い、改善点だけではなく良い部分も必ず伝えるようにしましょう。

③コミュニケーション不足

コミュニケーション不足は、帰属意識に大きく関係します。アポイントが詰まっていて十分な休憩が取れなかったり、個々に休憩時間を取るスタイルの医院もあるでしょう。しかし、スタッフ同士の何気ない会話や世間話は、意外と重要な役割を果たしています。ちょっとした会話からお互いを知り理解することができたり、信頼関係を築くことに繋がったりするからです。

④働き方に対する意識の変化

かつては、多くの人が仕事を人生の中心に考える傾向にありましたが、現在では育児や家族生活、個人的な趣味や活動、副業などの多様なライフスタイルに対する需要が高まっています。

そのため現在の歯科医院には、多様な考え方やライフスタイルを重んじる意識を持ちながら、働きやすい医院の環境づくりを目指すことが求められているのです。

帰属意識はどうやって高める?

帰属意識を高めるためには、先にお伝えした帰属意識を低下させる要因への対策をしていきましょう。それぞれ説明していきます。

①医院のビジョンや理念の浸透

医院のビジョンや理念を一度も伝えたことのない先生は恐らくいらっしゃらないと思います。しかし伝えていても、スタッフの十分な理解を得られていなければ意味がありません。何度でも繰り返し伝えることが大切です。

もし足りていないかもしれないとお感じの先生がいらしたら、これは医院経営を順調に進めていく上で欠かせないことの1つですので、ぜひ見直してみてください。

②人事評価制度の見直し

人事評価制度は、スタッフが帰属意識を持つためにも大切な制度です。誰にでもわかるような明確な評価項目を設定し、それを開示していますか?評価項目を明らかにすることで、スタッフは何をどう頑張ったら良いのかわかるようになります。

また、公正に評価される制度であればスタッフの納得も得やすく、モチベーションの向上ややりがいにも繋がります。改善すべき点がないか見直し、もしある場合は早急に対応しましょう。

③コミュニケーションの活性化

診療に追われていると、ゆっくりコミュニケーションを取る時間はなかなか取れないと思います。だからといってそのままにしていると、コミュニケーション不足になってしまいます。院内のSNSグループを作ったり、定期的なミーティングを設けたり、あえてコミュニケーションの取れる機会を作るようにしてください。食事会やバーベキュー、旅行などの院内イベントも有効です。

④待遇やワークスタイルの改善

福利厚生などの待遇面での改善はもちろん、柔軟なワークスタイルが可能な職場を作っていきましょう。女性が多い職場ですから、妊娠や出産、介護による離職も多くあります。特に子どもが小さいうちは、急な病気で当日になって仕事を休まざるを得ないことも珍しくありません。そのような時にもフォローできる、または、し合えるような体制が求められているのが現状です

歯科の仕事が好きで働きたいと思っていても、様々な事情を抱えて復帰できない人も少なからずいます。ワークライフ・バランスが重視されている時代の流れに対応できるかどうかも、歯科医院の今後を左右する重要なポイントです。

このように、帰属意識を高めるためにできることはたくさんあります。とはいえ、一度に多くの改善を図ることは簡単ではありません。何か施策を行う際には、優先順位をつけ、必要性の高いものから実施するようにしましょう。また、必ず「なぜその施策を行うのか」や「施策の指針・価値観」を明確にした上で行うようにしてください。​​ここが明確にできていないと、思うような成果が得られない可能性が高くなります。

帰属意識を高める際に注意するべきこと

ここまで帰属意識を高めるための方法をご紹介してきましたが、その際に気をつけていただきたいことがあります。非常に大切なことですので、ぜひ目を通してください。

  • 強制しないこと
    最初の方であげた例からもお分かりいただけるように、一方的に求められたことをすぐに受け入れられる人はあまりいません。帰属意識を持つように強制してしまうと、嫌な気持ちになり受け入れてもらえなくなってしまいます
  • 医院に課題があればそれを先に改善すること
    そもそもパワハラがあるなど、帰属意識が低下する原因が医院にあるのであれば、それを先に改善しなければなりません。
  • 意識ではなく行動を変えること
    仕事に限らずプライベートでも同様ですが、人の意識を変えることは決して簡単なことではありません。最初の方にあげた例でいえば、スタッフを変えたいなら自分の価値観を先に変えた方が効果的なこともあるでしょう。仕事の優先順位をつけて「この仕事はやらなくていいから、こちらをやって欲しい」というように仕事量を調整したり、お給料や手当てに反映する、特別に休日を増やすなどでも良いと思います。

    つまり「スタッフが動いてくれやすいような環境を整えてしまう」ということです。このように行動を変えることによって、スタッフがやりがい医院への愛着を持てるようになれば、自ずと意識も変わっていくものではないでしょうか。

上手にスタッフの意識改革をして医院を活性化させよう

今回は、スタッフの意識改革やその方法についてお話しました。スタッフの意識がどのような状態にあるかは、医院の在り方を大きく左右します。もし今回の記事で思い当たる部分がありましたら、ぜひ参考にしてください。

人事制度について詳しく聞きたい、実際の活用方法を知りたいなど、さらに詳しく知りたい方はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

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