「せっかくスタッフを採用しても、すぐに退職してしまう」「良い人材に長く勤めてもらうにはどうしたらよいのだろう」とお悩みの院長や人事担当者の方も多いのではないでしょうか？
スタッフが退職してしまう理由はさまざまですが、歯科医院の人材不足が懸念されている中、採用した人材の定着はとても重要なポイントですよね。
そこで、この記事では、スタッフが退職してしまう歯科医院の特徴や、定着率を高めるための対策方法について解説していきます。
採用したスタッフに長く勤めてもらいたい！とお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね。
歯科医院スタッフの離職の現状
実は、歯科医院スタッフの離職率は、他の業種や業界に比べて高い傾向があります。
とくに歯科衛生士の離職率は高く、「残業が多い」「給与がなかなか上がらない」などが背景にあるとされています。
公益社団法人 日本歯科衛生士会が実施した「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」で、勤務先の変更経験があると回答した人が74.4%という結果が出ていることからも分かりますね。
主な理由には給与や労働条件、職場環境の不満が挙げられています。
歯科医院スタッフ全体の離職率も高く、スタッフの定着は業界の課題となっています。
これらの現状から、歯科医院はスタッフの定着率向上に向けて、さまざまな対策を講じる必要があると言えるでしょう。
※参考：歯科衛生士の勤務実態調査報告書｜公益社団法人 日本歯科衛生士会
スタッフが辞める歯科医院の８つの特徴
現状をご説明したところで、次に、スタッフが辞める歯科医院の特徴を８つ解説します。
スタッフが退職する理由はさまざまですが、その中でも離職率が高い共通する特徴が以下の８つになります。
（１）医院内の雰囲気が悪い
医院内の雰囲気が悪いと、スタッフのモチベーションが低下し、ストレスを感じやすくなります。
例えば、同僚や先輩との人間関係が悪い場合など、退職を考えるきっかけになります。
他にも、「医師が怖い・態度が悪い」「イライラしているスタッフがいる」などが原因で、スタッフが働きづらさを感じ、退職を選択することがあります。
人間関係の悩みは、歯科業界に限ったことではありませんが、とくに医療に関する業務はチームワークが不可欠であり、良好な人間関係が重要です。
人間関係の問題は当事者同士の問題だけでなく、院長や管理者の責任でもあるため、医院内のコミュニケーションを円滑にするための取り組みや働きかけを行うことがポイントです。
良好な人間関係を築くことで、スタッフの働きやすさが向上し、定着率も高まります
（２）スキル・キャリアアップできる環境がない
スタッフがスキルやキャリアを伸ばす機会がないと、モチベーションが低下することがあります。
歯科衛生士としての業務に専念したいスタッフや、自分の得意な領域・専門性を高めていきたいという向上心のあるスタッフも多くいます。
公益社団法人 日本歯科衛生士会が実施した「歯科衛生士の勤務実態調査報告書」でも「教育研修・レベルアップの機械の充実」が改善してほしい点として挙げられています。
このことからも分かるように、キャリアアップをしたいと考えるスタッフは、制度が充実している医院への転職を考える可能性があります。
研修・勉強会や、キャリアアップのためのポジションが用意されていない場合は、注意が必要です。
※参考：歯科衛生士の勤務実態調査報告書｜公益社団法人 日本歯科衛生士会
（３）頑張りや成果が適正に評価されない
スタッフが頑張っても成果が評価されないと感じた時、向上心を失ってしまうことがあります。
人事評価での評価基準やフィードバックが不十分な場合に、スタッフは自分の成長や医院への貢献が認められないと感じ、退職を考えることになります。
こうした状況は、スタッフの退職だけでなく、サービスの品質低下・患者さまの満足度低下を招くことになるため、注意が必要です。
（４）教育体制が整備されていない
スタッフが業務スキルを身につけるための教育体制が整っていないと、スタッフが成長ができずに不満を感じる場合があります。
スタッフのスキルや知識はさまざまですが、未経験や新卒スタッフがいる場合はとくに、教育体制が整っていないと、新人スタッフが業務に上手く取り組むことができずに早期退職につながってしまう恐れもあります。
（５）福利厚生や休暇制度が充実していない
福利厚生・休暇制度が充実していないと、スタッフの不満が溜まりやすくなります。
とくに女性スタッフの多い歯科医院では、働きやすい環境の整備は重要なポイントです。
産休・育休を始めとする休暇制度など、ワーク・ライフ・バランスを保つことのできるスタッフの満足する制度が提供できない場合、「他にもっと良い職場があるかもしれない」と転職を検討するようになります。
（６）給与面などの労働条件に不満がある
給与面・労働条件への不満も同様です。
他の医院と比べて低い給与や長時間労働、残業代の不払いなどにより不満が溜まると、スタッフの働く意欲が低下することになります。
（７）スタッフの業務負担が大きい
各スタッフへの業務負担が大きいと、ストレスを感じやすくなり不満をかかえることになります。
その状況が続くと、「負担が大きすぎて耐えられない」「業務に対して労働条件が見合わない」と退職を決断することにつながります。
適切な人員配置や、業務配分・業務の効率化が求められます。
（８）結婚や出産などのライフイベントの影響
歯科衛生士のスタッフは女性が多い職種です。
そのため、結婚や出産・家族のことなどライフイベントがあると、働く環境や条件に対する要望が採用時と変わることがあります。その時に、現状の要望とマッチしないと退職を選択することになります。
これは、医院側の原因ではなくスタッフの環境変化によるものですが、医院側も柔軟な働き方を用意することができれば防ぐことが可能です。
スタッフの定着率アップのために歯科医院がやるべき８つの対策
スタッフが辞めてしまう特徴をご紹介しましたが、これまで自院で退職した方の理由に当てはまるものはありましたか？
ここからは、「スタッフに長く働いてもらうにはどうしたらよいか」を解決すべく、歯科医院がやるべき対策を８つ解説します。
（１）医院内のコミュニケーション活性化
医院内のコミュニケーションを活性化させることは、スタッフ同士のチームワークを高め、仕事に対する意欲を向上させる効果があります。
定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、スタッフ同士が業務や日々の悩みを共有し、理解を深めることができるためです。
また、ちょっとした雑談や挨拶だけでも、職場の雰囲気が良くなるので、すぐに取り組むことをおすすめします！
スタッフ同士だけでなく、院長や管理者も積極的にコミュニケーションをとることで、スタッフとの信頼関係を築き、医院内全体のコミュニケーションを活性化させることが重要です。
【📝 具体的な取り組み例】
✅ 定期的なスタッフミーティングの実施
✅ 情報共有の場を設ける
✅ 日常でちょっとした雑談や挨拶を交わすことを意識する
✅ スタッフ同士の交流を深めるイベント・食事会の開催
✅ コミュニケーションツールの導入
（２）院長とスタッフとの定期面談実施
定期的な面談を通じて、スタッフの意見や要望を聞くことは、スタッフが職場での満足度を高めるために重要です。
面談を通じて、不満・不安がないかの確認や、スキルアップやキャリアプランについても話し合うことで、スタッフの定着率を向上させることができます。
一見、問題がないように見えるスタッフでも、内心で不満や不安を抱えているケースもあるため、一対一でヒアリングする機会を設けることが大切です。
定期的な面談は、突然のスタッフ退職を未然に防ぐことができます。
（３）労働条件の見直し・改善
給与・福利厚生、労働時間などの労働条件がスタッフにとって魅力的であることが、定着率向上の鍵となります。
可能であれば水準以上の給与や福利厚生、柔軟な勤務時間など、スタッフが働きやすい環境を整えましょう。
また、スタッフの成果が適正に評価される仕組みづくりも重要です。
【📝 労働条件見直しの事例】
✅ 給与は基本給に加えて能力や資格に応じた手当をプラスする
✅ 専門知識を有するスタッフには手当を支給する
（４）スキル・キャリアアップできる環境づくり
スタッフがスキルアップやキャリアアップを実現できる環境を整えることが大切です。
研修制度やキャリアパスの設定、外部セミナーへの参加支援などを通じて、スタッフの成長をサポートしましょう！
スタッフが成長できる環境づくりは、患者さまの満足度向上や、歯科医院の売上アップにもつながります。
【📝 スキル・キャリアアップ支援の例】
✅ 外部セミナーの参加費の負担
✅ 資格取得の補助
✅ 研修制度の用意
（５）医院内の業務フローの見直し・改善
医院内の業務フローの見直し・改善は、スタッフの定着率向上に大きく貢献します。
定期的な業務フロー見直しにより、業務負担を軽減し、効率的な業務遂行を実現し、スタッフの働きやすさ向上につなげましょう。
具体的な改善の例としては、ITツールを活用した業務効率化などがあります。
例えば、予約管理システムやデジタルカルテの導入により、業務の効率化や情報共有をスムーズに行うことも可能です。
他にも、業務の一部を外注することで、スタッフの負担を減らすことができれば、さらに質の高いサービスを提供することが可能になります。
業務フローの見直し・改善は、スタッフの働きやすさだけでなく、患者さまへのサービス・品質向上にもつながる重要な取り組みです。
（６）雇用開始後のフォロー体制の整備
新人スタッフに対する適切なフォロー体制を整えることも、定着率向上につながります。
入社後の教育や指導をしっかり行い、スタッフが安心して仕事に取り組める環境を整えましょう。
【📝 雇用開始の時の注意点】
✅ 業務に慣れるまで定期的に院長が面談を行う
✅ 教育体制を整える
✅ 雇用開始時に離職に関するルールを明確に説明する
（７）退職希望のスタッフに対する適切な対応
退職を希望するスタッフに対しては、その背景や理由を丁寧に聞き出し、適切な対応を行いましょう。
また、調整や改善を提案できることがあれば、可能な限り対応し、スタッフの意欲喪失を防ぎましょう。
【📝 退職希望の申し出があった時の注意点】
✅ 退職の意志と理由・背景を丁寧にヒアリングする
✅ 引き止めたい場合は、待遇や制度の改善などを提案・スタッフの貢献度や重要性を伝え、話し合う
✅ 退職届の提出や、離職後の手続きについて説明する
✅ 引き継ぎ期間は働けるのか、残りの有休期間などの確認
✅ 退職期日の確認
✅ 残ったスタッフに負担がかからないように調整する
（８）採用選考段階でのミスマッチを減らす
採用選考段階で、求職者とのミスマッチを防ぐことも定着率向上につながる取り組みのひとつです。
採用の際に、自院にマッチする人材を見極めることができているか、今一度見直しをしましょう。
「どんな人がマッチするのか」「それを判断するために、選考時に確認すべきことは何か」「自院の特徴」を整理することが大切です。
自院にマッチする人材を採用するために、面接や選考プロセスを工夫し、優秀な人材を採用するよう努めましょう。
【📝 採用選考に取り組む際に確認するポイント】
✅ どんな人がマッチするのか検討する
✅ マッチするかを判断するために、選考時に確認すべきことを整理する
✅ 確認すべき項目を判断できる面接内容・選考プロセスを用意する
✅ 求職者に伝える自院の特徴を整理する
まとめ
いかがでしたか？
業界内でも離職率の高いことが課題となっていますが、この記事でご紹介した対策方法のうち、まだ取り組めていないものがあれば、ひとつずつ目を向けてみてくださいね。
優秀なスタッフに長く活躍してもらえるよう工夫した環境づくりを行っていきましょう！
スタッフの定着率アップのために、採用選考段階でのミスマッチを減らすことも重要とご説明しましたが、当社では、歯科医院の採用におけるノウハウを提供するセミナーを実施しています！
何から手をつければよいか分からないなど、採用にお困りの方は、ぜひセミナーへご参加ください。
