突然歯科衛生士に退職を告げられたが、退職理由を濁されている気がしてなんだか釈然としない…
このような経験はありませんか?
衛生士からすると、本当の退職理由は直接伝えづらいもの。
しかし、衛生士の隠れた本音を知ることで、退職を防ぐことができる場合があります。
今回は、歯科衛生士の退職理由と対策・改善策を解説していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
歯科衛生士の主な退職理由
①結婚・出産・育児
一番多い退職理由は「結婚・出産・育児」。
歯科衛生士は女性が多いことから、ライフステージの変化に合わせて職場を変えたり、働き方を変えたりする方が多い傾向にあります。中には同居や配偶者の転勤に伴って居住地が変わり、退職・転職をしなければならない歯科衛生士も。
産後休暇や育児休暇などの福利厚生や、子どもの看護で急なお休みが必要になっても対応してくれるなど、医院側からの手厚いサポートがあると衛生士が産後復帰をしやすくなります。
②人間関係の悪化
退職理由として次に多いのが院長や周りの歯科衛生士との人間関係。
歯科医院は個人経営が多く、経営者である院長との反りが合わないと働きづらさを感じてしまいます。
院長からの圧やハラスメントに加えて、歯科衛生士同士の関係も理由として大きく挙げられます。特に歯科衛生士という職種は女性社会であるため、一度拗れると一気に環境が悪くなってしまいがちです。
さらに、少人数の歯科医院はスタッフ全体で連携して仕事を行わざるを得ないため、関係が悪化した相手との接触は避けられません。
職場の人間関係はなかなか変えられないところです。自分一人ではどうにもできない部分だからこそ、退職につながりやすい理由と言えます。
③仕事内容
衛生士業務の内容は多岐にわたります。さらに、近年は慢性的に歯科衛生士が不足しています。
最低限の人数で診療を回している歯科医院では、歯科衛生士の人数に対して患者さんの数が多く、業務量や負担が多いと感じる歯科衛生士もいます。また、希望する日に有給が取れずに不満を感じるケースも出てきます。
一部では、滅菌が雑で仕事に不安を感じる衛生士や、本来やってはいけないDrの仕事を任され、負い目に感じて辞めてしまう衛生士もいるようです。
④給与・待遇に対する不満
歯科衛生士の平均月収は26万と、一般職業よりも少し高めです。しかし、給与が高めに設定されているにもかかわらず、給与や待遇に不満を持つ歯科衛生士が多いのはなぜでしょうか?
初任給は高めに設定されていても、その後の昇給があまり伸びないことが大きな原因だと考えられています。
また、規模の大きな医院や一般企業と比べると、個人経営の歯科医院では福利厚生があまり充実していないことも理由の一つです。
ボーナスや残業代が出ない医院では、業務量が多く、仕事量に見合っていないと不満に感じる歯科衛生士も。
近年は歯科衛生士不足もあり、歯科衛生士にとっては売り手市場。さらに待遇が良い医院を求めて転職する歯科衛生士が増えてきています。
⑤更なるスキルアップを目指す衛生士も
歯科衛生士業務に集中したい、スキルを磨きたい歯科衛生士にアシストのみをお願いしていると、キャリアアップもスキルアップもできないという不満が発生してしまいます。
さらにこの不満を放置していると、
・成長しないから仕事がつまらなくなる・惰性で仕事をしてしまう
・このままでは衛生士業務が上達しないのでは、と自分の将来に不安を感じてしまう
上記のような状態に疑問や焦りを感じ、退職につながってしまう恐れも出てきます。
人事評価制度の目的とメリット
現状、売り手市場ということもあり、歯科衛生士の転職率が高くなっています。
「条件が良ければ留まってくれるのでは…」と、スタッフの給与を上げるだけでは退職理由の根本的な解決につながりません。
一体どうしたら退職を防ぐことができるのでしょうか。
ここでオススメしたいのが、人事評価制度の導入です。
人事評価制度の目的は、スタッフの評価だけだと思われがちですが、それだけではありません。
人事評価制度の主な目的は以下のとおりです。
・スタッフの仕事に対して公正な評価を行う
・医院の理念や目標をスタッフに明示する
・スタッフの人材育成を行い、最適な人材配置を行う
以上のような目的を持って制度を導入することにより、医院にとってもスタッフにとっても下記のようなメリットが生まれます。
スタッフの育成
業務内容を明示して評価を行うことで、スタッフ一人一人の得手不得手が明確になります。
これによって、克服すべき・伸ばすべきスキルがわかり、スタッフ育成の方針をより確かなものにします。
また、スタッフの能力や成果が可視化され、一人一人に適した人材配置や成長のための環境づくりにもつながります。
スタッフのモチベーションアップ
日頃の業務の成果が給与や待遇に直結するため、スタッフのモチベーション向上や業務効率の改善が期待されます。目標達成へ向けてスタッフ一丸となって動くことで、医院の生産性の向上にもつながります。
学習に対する評価
スタッフに対して成長とスキルアップの支援を行います。
セミナーや勉強会、技術指導など、学習の機会を作り評価する環境を整えることで、スタッフの学習に対するモチベーションを高めることができるでしょう。
環境や条件の改善
評価面談の中でスタッフと一対一で話し合う面談の機会を設け、スタッフや医院の課題、業務に対するフィードバックを話し合います。面談の中で出たスタッフの意見を取り入れて、長く働ける職場環境づくりを目指します。
また、定期的な面談を通してコミュニケーションを取ることで、院長とスタッフがより良い信頼関係を築くきっかけにもなります。
人事評価制度の導入によって退職が防げる?
前の記事では人事評価制度の目的とメリットについて紹介しました。
導入による効果には実際にどのようなものがあるのでしょうか?一緒に見ていきましょう。
退職者の減少・定着率UP
人事評価制度はスタッフのモチベーションアップはもちろん、働きやすい職場づくりにも影響します。
スタッフ一人一人にヒアリングをし、フィードバックを行うことで働きやすい職場ができ、スタッフから医院に対する信頼感・愛着心を得ることができます。
「医院は自分を見てくれている!」という信頼関係のもと、スタッフからの愛着心を得ることで離職を防ぎます。
また、スタッフが産後辞めずに残ってくれる、産後復帰率の向上も期待できます。
院内の雰囲気を改善
医院の理念や目標を今一度スタッフ全体で共有することで、目標達成に向けて医院一丸となって協力できる体制が出来上がります。全員が共通の意識を持つことで、お互いに業務の中でフォローし合ったりアドバイスし合ったりと、院内の雰囲気の改善が期待されます。
さらに、目標を達成するための目標項目も明示されているため、スタッフがより意欲的に業務へ取り組むようになります。
歯科衛生士の退職を防ぐために
今回は歯科衛生士の退職理由と人事評価について解説しました。
人事評価制度によって仕事の成果が評価され、自分の意見が働き方や環境に反映されると、スタッフのエンゲージメントが上がります。
ここでいう「エンゲージメント」とは、スタッフの医院に対する愛着心や思い入れのことです。
離職防止のためには、人事評価によってエンゲージメントを上げ、スタッフとより良い関係を築いていくことが大切です。
人事評価制度はスタッフの不満を解消するだけではなく、人材育成や定着など長期的に見た多くのメリットがあります。評価とフィードバックや定期的な面談を通して信頼関係を築き、スタッフと共に歩んでいける医院づくりを目指しましょう。
人事評価制度についてさらに詳しく知りたい先生、導入を検討されている先生はぜひお問合せフォームよりご連絡ください。