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成長し続ける歯科医院のために”歯科衛生士の目標設定例”

スタッフ教育

先生は、一緒に働く衛生士に対して、「もっと業務に関心や責任を持って仕事をしてほしい!」と思うことはありませんか?

クリニックが成長していくためには、院長をはじめ歯科衛生士らスタッフ全員が成長していくことが鍵になります。

院長ひとりの考えだけでは、全体の発展・成長にはつながらないのです…。

スタッフみんなが目標達成に向けて努力できていると、下記のような良いサイクルが回りだします。

  • スタッフのレベルが高ければ、患者さんが満足する
  • 満足する患者さんが増えれば、医院の売り上げが上がる
  • 売り上げが上がれば、スタッフの給与も上がりモチベーションが上がる

あなたの医院では、このような良いサイクルはできているでしょうか。

この記事では、あなたの医院でスタッフが成長していけるための取り組みとして、歯科衛生士の目標設定を始めることを提案します。

具体的な目標例やその決め方をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

なぜ歯科衛生士の目標設定が必要なのか?

医院とスタッフの成長のために、なぜ目標設定が必要なのでしょうか?

例として、家を建てることを考えてみてください。
あなたはどんな家にしたいのか、頭の中でイメージするでしょう。

  • 家族みんなで団らんしたいから広いリビングにする
  • 自然の光で部屋を明るくしたいから窓を大きめにする
  • 子どもたちが大きくなっても快適に過ごせるように子ども部屋の収納スペースを十分にとる

など、具体的に頭の中で理想の家を思い描いていくはずです。

そして、思い描いたことを設計図に落とし込み、建築計画を立てたら工事が始まります。

もし理想の家がどんなものか曖昧なまま建て始めてしまったら、途中で変更点がたくさん出てきて、余分な費用がかかったり完成が遅れたりしてしまうかもしれません。

そこで、実際に家を建てる前にあなたがどんな家を建てたいのか細かいところまで想像して、それが設計図に正確に組み込まれているかしっかり確認する必要があるのです。

理想の医院を作る場合にも同様のことが言えます。

あなたが想像する理想の医院とはどんなものか、その理想の状態になるために歯科衛生士にどんな成長をしてほしいのかが曖昧では、医院の成長はなかなか思う通りにはいかないでしょう。
ですから、医院とスタッフが共に成長していくための第一歩として、具体的な目標を設定することが必要なのです。

それでは、DHに目標設定を行った場合の具体的なメリットを見ていきましょう。

①モチベーションUP

個々に目標を設定することで、目の前の今やるべきことが明確になります。
すると、毎日の仕事に対するモチベーションUPに繋がり意志をもって働くことができます。

②責任感の向上

院長から求められていることが明確になると、行動に迷いがなくなります。
自分自身がどこに向かっているのかわからず闇雲に仕事をこなしていた時とは違い、責任感をもって行動するようになるでしょう。

③成長のきっかけになる

目標に対して自身の行動を振り返ったり、不足しているスキルが言語化されることで、成長と目標達成へ向けて一歩踏みだしやすくなります

④歯科医院全体の業務効率化・サービス向上

目標には期日がつきもの。
現在の進捗と期日までのタイムリミットが可視化されることで、多くのスタッフは「効率良く業務を進めたい」という意識を自然と持つようになります。

業務効率化を行うことでスタッフに時間の余裕が生まれ、患者様へのサービス向上にもつながります。

効果的な目標設定のポイント

では、実際にどのようなことを意識して目標を立てれば良いのでしょうか。

効果的な目標設定をするためのポイントをご紹介していきます。

①難易度・期間のどちらも現実的に達成可能であること

まず、目標設定における注意点として実現可能な目標を立てるということがあります。
スタッフによって、経験年数や得意・不得意などは様々です。

新人の歯科衛生士で、これから日々の業務に慣れていく段階のスタッフもいれば、ベテランの歯科衛生士で、自身のキャリアアップのために資格の取得や技術の向上に励みたいスタッフもいるでしょう。

成長のためとはいえ、新人の歯科衛生士にベテランの歯科衛生士並のスキルを1年で身につけさせるような目標を設定しても、達成できるイメージが湧かずモチベーションが下がったり自信をなくしてしまっては逆効果です。
さらに、成長の速さも人によって異なるため、そのスタッフのキャパシティや意欲を考慮することも必要
になります。

つまり、重要なのはそれぞれの立場になって歯科衛生士自身が達成に向けて前向きに努力できる目標を設定することです。
スタッフを集団として一律で管理するのではなく、一人ひとりの個性にきちんと向き合うことを意識しましょう。

②達成度が数値で判断でき、適切に評価できること

目標は設定するだけではなく、達成の度合いを適切に評価できるかが重要です。
そのために、目標が数値化、定量化できるかを意識してみてください。

例えばダイエットをするとき、ただ「痩せる」ではなく「3か月で体重を5kg落とす」のようにいつまでにどのくらい痩せるのかを明確にすると良いでしょう。
そうすれば、途中で「残り1か月であと1.5kgだ!」というように現在地からゴールまでが数字でイメージできるとモチベーションを保ちやすくなります。
また、最終的に「3か月で体重を4kg落とした」という結果だった場合は、100%の達成はできなかったが80%は達成した、と評価できます。

仮に、ただ「痩せる」としか決めていなかった場合、「痩せられなかったけど頑張ったんだから評価してほしい!」と言われたら困ってしまうでしょう。

目標を数値化、定量化することは、評価する側とされる側が同じものさしで結果を確認するための基準にもなります。
全ての目標を数値化、定量化することは難しいかもしれませんが、歯科衛生士が目指しやすく、院長や管理者が評価しやすい目標を設定するために心がけてみてください。

昇給と繋がっていること

目標の達成が自分の昇給と繋がっているということは、しっかりと認識させておくべきです。
歯科衛生士のモチベーションが下がってしまう原因の一つとして、評価基準が明確でないことがあります。

  • 自分のどこを見て評価されているのかわからない
  • スキルや経験値が上がったのに給料は上がらない

といったような疑問や不満が積み重なれば、スタッフはやりがいを感じられず、離職の原因にもなりかねません
ですので、自分の仕事がどのように評価され昇給に反映されるのかを明確にすることが重要になります。
目標を達成した先に何が得られるかをイメージできれば、高いモチベーションを維持しながら日々の業務に励むことができるでしょう。

歯科医院のビジョンに沿っていること

歯科医院が成長していくためには、院長をはじめスタッフ全員が成長していくことが鍵になると冒頭で述べました。

もちろん、目標を立てるときは、歯科衛生士らスタッフ自身の意思を尊重して、各々が主体的に努力できる目標を設定することが大切です。

しかし、それぞれのスタッフ個人の目標が、歯科医院というチームのビジョンから逸れてしまっていては共に成長していくことはできません。
目標を考える前に、歯科医院全体のビジョンを院長とスタッフ全員で共有し理解しておきましょう。

また、周りのスタッフも同じビジョンを持ち、各々の目標に向けて努力していると認識することで、チーム全体で良い刺激を与え合いながら同じゴールを目指して向かっていくことができます。

チームの一員として、

  1. どんな医院を作りたいか
  2. そのために自分は何ができるか

を考えてもらい、医院もスタッフ個人も共に成長できる目標を設定しましょう。

歯科衛生士の目標例

効果的な目標設定のポイントを踏まえた上で、実際に目標を立てていきましょう。

役割から考える

ここで、歯科衛生士の役割ごとに目標を考えてみます。
それぞれのスタッフが、歯科衛生士としてどんな力を身につけたいか、患者さんに対して、または医院の中でどんな存在でありたいかなどを丁寧にヒアリングしながら、目標を具体化していくことが大切です。

①診療補助・メインテナンス

歯科衛生士の成長にあたり、診療補助やメインテナンスのスキルを磨くことは必要不可欠です。
適切に評価するためのポイントとして確認した数値化、定量化がしやすい部分なので「何を」「いつまでに」「どのくらい」達成するのかを具体的に設定してみてください。

専門的な知識やスキルをしっかり身につけることで患者さんからの信頼を得られ、医院全体の印象もアップするでしょう。

【目標例】

  • 今年中に◯◯に関する認定歯科衛生士の資格を取得する
  • 実践を繰り返し、3か月後にSRPにかかる時間を◯分短縮する。
  • インレー調整にかかる時間を◯ヶ月後までに◯分短縮する。

②カウンセリング

患者さんに寄り添い、安心して治療を受けてもらうことも歯科衛生士の重要な役割となります。
どのようなところに不安や悩みを感じるかは人それぞれです。
自分の基準で判断するのではなく、患者さんの立場になって共感しコミュニケーションを取ることで信頼関係を築き、安心して治療を任せてもらいましょう。

【目標例】

  • 治療前の患者さんとのコミュニケーションを先輩にチェックしてもらいアドバイスを受ける
  • 予約前日の連絡や来院した患者さんへの挨拶を徹底する
  • 接遇セミナーへ参加し、受講後◯日までにレポート共有を行う。

③チームを作る一員として

歯科衛生士は歯科医院というチームを作る一員であるという意識も忘れずに持ちましょう。
特に、小規模な医院であるほど個人の影響力や責任は大きくなるものです。
自分自身だけではなく、院長をはじめ他のスタッフも含めた全員が働きやすい環境を作る目標も設定してみてください。

【目標例】

  • 毎朝受付と玄関周りを掃除して、常に清潔で快適な状態を保つ
  • 治療器具が取り出しやすいように整頓できるカゴを設置する
  • 毎週○曜日の○時から定期ミーティングを行う

継続できる仕組みを作る

目標を設定したら、それを継続的に活用していくための仕組みも作りましょう。

目標管理シートを作り、DHにフィードバックする

目標を設定したら、「目標管理シート」を使って進捗や達成の状況を確認しましょう。

※目標管理シートとは

各スタッフが業務目標を定め、達成計画や進捗、評価を記入するためのシートです。
目標や達成に向けた具体的な行動が「見える化」するので、院長や担当者が進捗を管理しやすくなります。
また、歯科衛生士自身も目標に対する自分の現状を意識できるので、達成への更なる意欲向上が期待できます。

大きな目標を設定した場合は、目標から逆算して日々やるべきことを明確にすると達成しやすくなります。

また、達成できたかできなかったかという結果だけではなく、なぜできなかったか、どうしたらできるようになるか、といったところまで考えてもらうことが重要です。
その上で、院長や管理者の視点から的確なフィードバックをし、良い方向へ導いていくサポートをしましょう。

毎日の小さな達成を積み重ねることで、モチベーションを維持しながら大きな目標へ向かっていくことができるようになります。

定期的な面談で軌道修正する

歯科衛生士が目標の達成に向けて着実に進めているかチェックし、適切なマネジメントを行うことは院長やリーダーDHの重要な役割です。

例えば、
スキルを磨いてメインテナンスにかかる時間の短縮を目指していたのに、時間を短くすることだけに気を取られて作業が雑になっていた

といった場合のように、目的意識や努力の方向性がずれていてはどれだけ頑張っても報われない結果になってしまいます

スタッフのマネジメントにおいて、

  • ただ目の前のタスクをこなすことに一生懸命になっていないか
  • 自分の目標を達成するためのプロセスとして日々の業務に取り組んでいるか

上記を定期的に振り返るようにしてください。
進捗管理の間隔が空き過ぎると、ただ結果を確認するだけの時間となってしまうので、月に1回を目安に進捗を確認することが望ましいです

もし、目的意識や方向性がずれていたり、ペースが合っていなかったりした場合は、適切なアドバイスをして軌道修正しましょう。
注意しなければいけないのは、目標の達成に苦戦しているスタッフにとっては、面談そのものがプレッシャーに感じる場合もあるため慎重なフォローが必要です。

達成を応援するサポート

歯科衛生士の主体性だけに任せるのではなく、院長や他のスタッフも目標の達成を応援するサポートをしましょう。

例として、

  • 新人の歯科衛生士にはOJTを実施して丁寧に指導する
  • 資格の取得、セミナーや研修への参加などにかかる費用をサポートする
  • 試験やセミナーへの参加により出勤できないスタッフがいるときは、他のスタッフたちで業務を分担する

このように、それぞれのスタッフの状況を把握して協力し合ったり、研修費用を医院が負担してスキル習得への挑戦を後押ししたりといったサポートが大切です。

また、困ったときにいつでも相談できるような院長とスタッフ間の関係性作りや日々のコミュニケーションにも気を配りましょう。

達成に向けて努力する歯科衛生士の姿は、他のスタッフにも良い刺激を与えます。
院長先生が「今度、〇〇の研修があるけど受けてみない?」と衛生士に声かけをするだけでも、衛生士が目標実現に向けた行動を起こしやすくなりますよ。

チーム全体で目標達成に向かう体制作りを心がけてください!

まとめ

歯科衛生士の目標設定は、歯科医院の成長に影響する重要なステップの一つです。
しかし、やみくもに目標を決めてしまうと、スタッフが不満を感じてしまったりトラブルに発展してしまうおそれもあります。

冒頭で述べた、

  • スタッフのレベルが高ければ、患者さんが満足する
  • 満足する患者さんが増えれば、医院の売り上げが上がる
  • 売り上げが上がれば、スタッフの給与も上がりモチベーションが上がる

といったような良いサイクルを回すには、効果的な目標設定と継続できる仕組み作りが必要です。
そして、この後に重要になることは、目標の達成を適切に評価し、スタッフの給与へ反映する制度、すなわち人事評価制度です。
スタッフに求められる業務はどんなことがあるのか、どのくらいのレベルになったらいくら貰えるのかを明確にすることがポイントになります。

目標を達成することで医院の成長はもちろん、スタッフの離職率の引き下げも期待できます。

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