「人事評価制度は、歯科医院に必要なのですか?」
「歯科医院で人事評価制度を入れるとどうなるのですか?」
この記事をご覧の院長先生のなかには、このように思っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
結論から申し上げると、歯科医院が人事評価制度を入れることで得られるメリットは大きいです。
具体的には、歯科衛生士のモチベーションや技術力、医院の生産性アップが期待でき、患者さま満足度の高い医院をつくることができます。
今回の記事では、歯科医院が人事評価制度を入れるメリットとデメリットについて、詳しく解説していきます。
- 歯科衛生士の給与の決め方に悩んでいる
- 歯科衛生士の人材育成をしたい
- 医院のサービスを向上させたい
このように考えている院長先生は、ぜひ最後までご覧ください!
人事評価制度とは
まず初めに、人事評価制度とはどのようなものなのかを解説します。
人事評価制度とは、評価の基準を明確にすることです。
もう少し具体的にお伝えすると、医院が歯科衛生士の技術や能力を、あらかじめ決められた評価基準に沿って適切に評価し、報酬として反映する仕組みのことをいいます。
評価の基準や評価アップの道標が明確になるため、
- 歯科衛生士自身が、今の自分の立ち位置を客観的に理解できる
- さらにレベルアップするために、何を習得すればよいのかがわかりやすい
歯科衛生士は、このようなメリットを感じられます。
また院長のメリットとしては、「できる・できない」で歯科衛生士の評価ができるので、感情を入れずに評価や給与を決定でき、時間が節約できるようになります。
人事評価制度については、こちらの記事でより詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。
歯科医院が人事評価制度を導入するメリット5選
歯科医院が人事評価制度を導入するメリットは、以下の5点です。
- 客観的な基準に基づいて給与を決められる
- 歯科衛生士との信頼関係を深められる
- 医院の理念がスタッフに浸透する
- 歯科衛生士の人材育成・モチベーションUPにつながる
- 医院のサービス向上・患者さま満足度UPにつながる
1つずつ詳しく解説します。
1. 客観的な基準に基づいて給与を決められる
人事評価制度を導入することで、評価の基準が明確になります。
客観的な基準に基づいて評価ができるので、歯科衛生士からの「院長は好き嫌いで給与を決めているのではないか?」という不満や不信感をなくせます。
またいくつかの項目について「できる・できない」で評価するため、感情を入れることなく評価でき、評価にかかる時間も節約可能です。
歯科衛生士の立場からみても「これができるようになったら給与が上がる」ということが明確なので、安心して働けます。
2. 歯科衛生士との信頼関係を深められる
人事評価制度は一度導入すればそれで終わりではなく、継続的に運用していくことが必要です。
具体的な内容の一例として、歯科衛生士との評価面談があります。
- 設定した目標に対する到達度(自己評価)はどうか
- 疑問や不安に思っていることはないか
- 今後はどのようなことを習得したいと思っているか
このようなことを定期的に話し合う時間を設けましょう。
話し合いの時間をつくることで、歯科衛生士の考えていることがわかるようになり、適切なアドバイスができるようになります。
また「元気がないな」と感じたときには、さりげなく雑談をするなどして、気分を和らげることも可能です。
このような関わりを続けることで、歯科衛生士との信頼関係を深めていけます。
信頼関係が深まることで、定着率UPにもつながります。
3. 医院の理念がスタッフに浸透する
医院として大切にしたいことを評価項目に盛り込むことで、医院の理念を浸透させることが可能です。
たとえば、患者さんの気持ちに寄り添った対応を大切にしてほしい場合には、評価項目に「傾聴」を入れます。
技術力をどんどん向上させてほしければ、難易度別に等級を設定します。(具体例は次の段落をご覧ください!)
このように、理想とする歯科衛生士像を評価項目に取り入れることで、自然と全員が同じ方向を向いて成長していくことができますよ。
医院の理念は、院長の価値観とも似ています。
評価基準を明確に設定することで、院長の価値観に共感した人が集まってくれ、雰囲気のよい医院づくりにもつながります。
4. 歯科衛生士の人材育成・モチベーションUPにつながる
評価の基準や項目が明確になることで、歯科衛生士の人材育成やモチベーションUPにつながります。
具体例をあげて見てみます。
<等級C>
- P検査(精密)
- スキャン(アイテロ)
- 唾液検査:小児(CAT)
<等級B>
- 染め出し
- PCR
- ブラッシング指導 (2.3回)
<等級A>
- サリバチェック(インプラント前)
- SRP
- シャープニング
評価項目をクリアしていくごとに、歯科衛生士としての技術力も上がっていく仕組みになっています。
また、努力や技術がしっかりと給与に反映されることで、歯科衛生士はモチベーション高く働けます。
歯科衛生士の技術力がアップすることで、医院全体の生産性も向上していきますよ。
5. 医院のサービス向上・患者さま満足度UPにつながる
評価項目を設定し、歯科衛生士の技術力やモチベーションが上がれば、
- ①医院全体の技術力やサービスも向上する
- ②質の高い丁寧な診察・治療を行える
- ③患者さまからの満足度も上がる
このように良いサイクルが生まれます。
歯科衛生士と院長の関係性がよく、医院全体の雰囲気がよいと、患者さまにも気分よく診察を受けていただけます。
また「しっかりと治療してくれている」という安心感にもつながりますよ。
人事評価制度を導入することで、「院長」「歯科衛生士」「患者さま」誰にとってもうれしい医院をつくりあげることが可能になります。
歯科医院が人事評価制度を導入するデメリット3選
ここまで、人事評価制度のメリットをお伝えしてきましたが、実はデメリットも存在します。
歯科医院が人事評価制度を導入するデメリットとして、以下の3つが考えられます。
それぞれの内容について、解説していきます。
1. 評価に納得いかない場合、モチベーション低下を招く恐れがある
評価の結果に納得いかなかった場合、歯科衛生士のモチベーション低下を招く恐れがあります。
たとえば評価の内容について「自分では出来ていると思っているのに、どうして評価してもらえないのか?」といった様子です。
院長は評価項目にそって平等に評価していたとしても、歯科衛生士が「なぜこの評価なのか」を理解できていないと不満につながってしまいます。
また、そもそも人事評価制度がどのようなものなのかを理解できていない可能性もあります。
評価について不満や不信感を感じてしまった場合には、モチベーションが下がったり「合わない」と感じて退職されたりしてしまう恐れがあります。
2. 評価項目の作成・評価制度の導入に手間と時間がかかる
医院の理念を浸透させられたり、歯科衛生士の人材育成に大きく貢献したりできるのが人事評価制度の魅力です。
しかし理念を盛り込んだ評価項目を作成したり、技術力アップのために等級を設定したりするには、かなりの手間と時間がかかります。
歯科衛生士の仕事には
- クリーニング
- カウンセリング
- 院長の治療補助
- レントゲン撮影
- ブラッシング指導
など多くの業務があり、それぞれの内容について複数の項目を作成するとなると、相当な労力が必要であると想像できますよね。
加えて、人事評価制度を導入する目的を明確にしてスタッフに説明したり、評価をどのように給与へ反映させるのかを決めたりしなければいけません。
人事評価制度の導入を決めたとしても、今すぐに取り入れられる訳ではないのです。
3. 継続して運用する必要がある
人事評価制度は「一度導入すればOK!」ということではなく、継続することではじめて効果が得られる制度です。
評価制度を運用していくためには
- 評価シートの作成・配布
- 目標設定後の進捗管理
- 評価後のシート回収
- 評価結果の管理 など
多くの業務が発生します。
また歯科衛生士との定期的な面談を行い、コミュニケーションをとる必要もあります。
日々の業務に加えて、評価制度の継続的な運用が必要であるという点も、忙しい院長にとってはデメリットの1つといえるでしょう。
デメリット解消のためのポイント
前の段落で人事評価制度のデメリットについて解説してきましたが、実はこれらのデメリットを解消するためのポイントがあります。
1つずつ解説していきます。
1. あらかじめスタッフに相談・教育しておく
スタッフに不信感を与えないためには、あらかじめ人事評価制度についての教育を行っておく必要があります。
- 人事評価制度とはどのようなものか
- なぜ導入するのか
- どのように評価を行うのか
- 項目達成と給与が結びついていること
- 評価できないのはどのような場合か
これらの内容について、制度の導入までにくりかえし丁寧に伝えておきましょう。
また、
- 評価制度についてどのように思うか
- 評価項目をどのようなものにするか
- いつから運用を開始するか
これらの内容については歯科衛生士の意見を聞くことで、より人事評価制度について理解できたり、積極的に運用に協力してくれたりする可能性も高くなります。
ある程度は院長主導で進めていくことが大切ですが、スタッフの意見を求めるなど、一緒に考えていく姿勢が大切です。
2. 人事評価システムを導入する
評価項目の作成や制度の導入には、手間と時間がかかります。
しかし、この問題は人事評価システムを導入することで解決できます。
歯科医院に特化した評価項目があらかじめ設定されており、アレンジをすることで医院オリジナルの評価制度をつくることが可能です。
また評価シートの管理はデータ上で行うため、院内が評価制度に関する書類であふれかえることもありません。
システムの導入には費用が必要ですが、費用対効果の高い投資であることは間違いないでしょう。
3. 継続して運用できるようにアウトソーシングする
人事評価システムを活用し評価制度を導入できたら、アウトソーシングを行いながら継続して運用していきましょう。
日々の業務に加え、人事評価制度を運用し続けるためには労力が必要となり、院長ひとりで走り続けるのは難しいことが予想できます。
一緒に走ってくれるパートナーがいることで継続して運用できますし、
- 歯科衛生士との面談をどのように行えばよいのか
- 面談ではどのようなことを話せばよいのか
- 評価の内容をどのように給与への反映させるのか
など、疑問点や不安な点は相談することもできます。
一緒に走り続けてくれるパートナーの存在は大きいです。
まとめ:歯科医院が人事評価制度を導入するメリットは大きい
今回の記事では、人事評価制度のメリットとデメリットについて解説してきました。
人事評価制度を導入することのメリットとして、
- 客観的な基準に基づいて給与を決められる
- 歯科衛生士との信頼関係が深まる
- 医院の理念がスタッフに浸透する
- 歯科衛生士の人材育成・モチベーションUPにつながる
- 医院のサービス向上・患者さま満足度UPにつながる
以上5点があげられました。
一方でデメリットとしては、
- 評価に納得いかない場合、モチベーション低下を招く恐れがある
- 評価項目の作成に手間と時間がかかる
- 継続して運用する必要がある
があるものの、
- スタッフに教育を行う
- 人事評価システムを導入する
- アウトソーシングする
これらの対策を行うことで解消できるので、トータルでみると、歯科医院が人事評価制度を導入するメリットは大きいといえます。
導入・運用を行うことでよいサイクルが回り始めれば、患者さまからの評価も上がり、結果的に医院としての売り上げが上がることも大いに期待できます。
ぜひ貴院でも、人事評価制度の導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
人事評価システム開発中!
現在、なるほど!デンタル人事では人事評価システムを開発しています。
システムの導入はもちろん、導入後のサポートまで対応させていただく予定です。
詳細については、後日サイト内でお知らせいたしますので、もうしばらくお待ちください。
ぜひ弊社と一緒に走り続け、スタッフや患者さまから愛される素敵な医院をつくっていきましょう!