歯科衛生士というお仕事には、患者さまの口腔ケアの重要性を認識し、適切な歯科衛生士としての知識と技術を持ち合わせた人材が必要とされます。
しかし、転職や育児などの理由によってブランクがある歯科衛生士も多く、お子さんが成長するまで10年近く現場を離れる方もいらっしゃいます。
このように、中途採用をする際にはブランク期間のある歯科衛生士も採用候補のお一人に加わります。
ブランクのある歯科衛生士の採用は実際どうなのか?
ブランクがあっても歯科衛生士として即戦力はあるのか?
今回は、様々な角度でブランクのある歯科衛生士の育成方法について、お話していきます。
ブランクのある歯科衛生士について理解をすることで、頼れるスタッフへと育成できるようになります。
これってあるある?ブランク歯科衛生士の悩み
ブランクのある歯科衛生士にとっては、「自分の技術力が足りないのではないか」という不安とプレッシャーは尋常ではありません。ここで一度、ブランクのある歯科衛生士が抱える悩みについて考えてみましょう。
まず、ブランクのある歯科衛生士が抱える最も大きな悩みは「自分が何もできないから、周りのスタッフに迷惑をかけている」という心理的プレッシャーです。また、技術の進歩によって新しい用具や治療法が導入され、自分が学んだ技術が陳腐化しているという不安もあります。
このような状況の中で、ブランクのある歯科衛生士は自信を失いやすく、職場でのコミュニケーションにも消極的になってしまい、孤立化してしまう傾向にあります。また、久しぶりの仕事復帰で家庭との両立に悩んでしまう方も。
ブランクのある歯科衛生士が抱える悩みは仕事から家庭と多岐に渡りますが、今後の成長とスキルアップを目指すことで少しずつ技術も身について家庭とのサイクルもうまく回るようになっていきます。自分自身の可能性を信じ、自信を持ってキャリアを積めるようになるためにも、医院のフォローが必要不可欠です。
ブランク期間のある歯科衛生士の現状を把握する
医院のフォローの第一歩として、現状の歯科衛生士としてのレベルチェックが必要。
ブランクのある歯科衛生士のレベルを把握するためには、以下の3つの要素が重要です。
- 過去の経験やスキルの有無
- 勉強や研修への積極的な取り組みの有無
- コミュニケーション能力やチームワーク能力の有無
過去の経験やスキルの有無
歯科衛生士の場合、患者さまの口腔衛生管理から歯科に関する知識や技術のスキルが求められます。そのため、過去に実務経験がある方は、これまでの経験で得たスキルや知識を医院に活かしていけるかどうかを期待されます。
ブランクのある歯科衛生士も同様ですが、ブランク期間が長く勘が戻らないという方も多いと思います。スキルの有無は問わずに新卒のように一から学んでいける環境を整えてあげましょう。
勉強や研修への積極的な取り組みの有無
歯科医療は常に進歩しており、最新の知識や技術の習得が求められます。ブランクのある歯科衛生士でも、自主的に勉強や研修に参加してもらうことで、成長が期待できます。また、口腔ケア以外の幅広い分野にも興味を持ち、広い視野を持つことが、レベルアップに必要なポイントと言えます。もちろん医院の方針もあると思うので、そこは本人とすり合わせをしていくことが重要です。
コミュニケーション能力やチームワーク能力の有無
歯科衛生士は、歯科医療における患者さまとのコミュニケーションの場を多く持ちます。また、歯科医師とのチームワークも必要とされます。ブランクのある歯科衛生士でも、コミュニケーション能力やチームワーク能力に優れ、業務に対する意欲や積極性がある場合は、将来的にも成長が期待できます。
以上のように、ブランクのある歯科衛生士のレベルを把握する際には、過去の実務経験やスキルの習得経験の有無を知りましょう。そして、仕事に対する姿勢を把握する事で、向上力や業務範囲を確認できるようになります。
ブランク歯科衛生士の育成方法
ブランクのある歯科衛生士が最短で仕事に慣れ、その能力を発揮するにはどうすれば良いのでしょうか。以下、ブランクのある歯科衛生士の育成方法について考えます。
【1】基礎から学び直す環境を整える
ブランクのある歯科衛生士は、実際の業務に慣れるまで時間がかかります。特に実務経験が少ない歯科衛生士は、基礎から教え直す環境を整えることが重要です。落ち着いた雰囲気で、細かく丁寧な指導を行い、徐々に難易度を上げていくと良いでしょう。
【2】研修制度を整備する
歯科衛生士に特化した研修制度を整備することで、ブランク期間を短縮することができます。研修制度としては、院内セミナーや外部の基礎セミナーなどです。また、日常業務においても技術指導や振り返りを行い、徐々にスキルアップさせていくことが必要です。
【3】環境に慣れてもらう
歯科医療は、精密な作業が求められることが多いため、ブランクのある歯科衛生士が自信を持って仕事に当たるには、細かな作業を安定して行うことが必要です。そのため、歯科医院に慣れさせる環境を整える必要があります。模擬患者などを用いて、現場の業務に必要な実践力をつけます。
以上、特にブランク期間が長く実務経験が少ない歯科衛生士へは、基礎から学び直す環境を整え、研修制度を整備、そして環境に慣れさせることが重要だといえます。ブランク歯科衛生士も定期的にスタッフ研修や勉強会に参加し、自分の技術を更新することが必要です。歯科医療において、歯科衛生士が良い仕事をすることは、患者さまの健康にも大きく影響します。このことを意識して、歯科衛生士の育成に力を入れることが求められます。
これらの取り組みを通じて、ブランクのある歯科衛生士も、自分の能力を高め、満足のいく働き方ができるようになるでしょう。
ブランク歯科衛生士採用のメリット
①実務経験のあるブランク歯科衛生士は、技術力や経験値が高い
一般的に、ブランク期間がある歯科衛生士というと、“技術力が低い”、“経験不足”などと思われがちです。しかし、実際にはブランク期間がある歯科衛生士でも、それまでの実務経験や資格取得など、自己研鑽に努めている場合が多いです。そのため、歯科医師のニーズによっては、ブランク期間がある歯科衛生士の方が、技術力や経験値が高い場合があります。
②ブランク歯科衛生士は、熱意や向上心が強い
歯科衛生士は、患者さまの口腔健康を守るために、常に専門技術を磨く必要があります。そこで、ブランク期間がある歯科衛生士のうち、再度現場に復帰しようと積極的に働こうとする方は、熱意や向上心が強い場合が多いです。そうした方々と一緒に働くことは、歯科医師の方々にとっても、大いに刺激を与えられるものだと言えます。
③ブランク歯科衛生士は、雇用にもプラスになる
歯科医師の方々にとって、人材確保は非常に重要な問題です。しかし、自力で新卒採用などを行うと、かなり手間や費用がかかってしまいます。一方で、ブランクがある歯科衛生士を採用することで、雇用の面でもプラスになる場合があるのです。実務経験や資格取得などで、専門技術を磨くために熱心に勉強を続けていたブランク歯科衛生士は、貴重な人材といえるでしょう。
ブランク期間がある歯科衛生士を採用することには、多くのメリットがあります。実際に、現場復帰を果たしたブランク歯科衛生士は、熱意や向上心、技術力などの面で、歯科医師の方々に貢献できることが多いのです。今後は、ブランクがある歯科衛生士の活躍に期待しましょう。
一から丁寧に教えていくことで確実にスキルアップできるブランクあり歯科衛生士
ブランクがあっても実務経験がある歯科衛生士は働き出すと手が勝手に覚えているものです。ブランクがあれど、歯科現場の基本は身についています。新人歯科衛生士よりも、やはり経験を積んでいる歯科衛生士は心強いです。
ただ、ブランクがある場合の復帰には悩みや不安を抱えている歯科衛生士も多いでしょう。
新たな現場で働く、復帰するための様々な勇気も必要です。
歯科医院側は、働きやすい環境や研修、スタッフや院長からのサポートを整えることが大切です。そうする事でブランクのある歯科衛生士も直ぐに自信を取り戻し、慣れる事が出来るでしょう。ブランク歯科衛生士の育成に積極的に取り組むことにより、即戦力のある歯科衛生士として活躍してもらうことができます。ぜひ、医院の頼れる歯科衛生士としてブランクのある歯科衛生士に活躍してもらいましょう!