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歯科衛生士の離職を防ぐには? 現状データと4つの定着施策を解説

定着

歯科衛生士の離職は業界全体で共通する課題です。

せっかく雇っても数ヶ月で離職...これまで頼りにしていたベテラン衛生士の離職...と、スタッフの離職に関する悩みは多いのではないでしょうか?

そこでまずは、公開されている統計データをもとに「どのくらいの人が辞めているのか」を確認しながら、業界全体の傾向を整理していきましょう。

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歯科衛生士の離職率の現状

歯科衛生士をめぐる人材市場は、数字を見ても深刻です。

勤務年数別の離職率

日本歯科衛生士会によると、勤務年数別で以下の数値となっており、10年未満で半数以上が職場を離れていることがわかります。
特に「5年未満」での離職が約4割に達しており、定着の難しさを物語っています。

【勤務年数別 離職率】
✅ 5年未満…38.7%
✅ 5〜10年未満…19.9%

(参考:日本歯科衛生士会 - 勤務実態調査報告書

登録者数と就業者数のギャップ

歯科衛生士の名簿登録者数は約30万人にのぼりますが、実際に就業しているのは14万人程度にとどまります。つまり、資格を持ちながら働いていない「潜在歯科衛生士」が約16万人も存在しているのです。
(参考:厚生労働省「歯科衛生士の業務のあり方等に関する検討の進め方

平均勤続年数の短さ

厚生労働省の調査によると、歯科衛生士の平均勤続年数は 7.5年全職種平均の 12.1年 と比べても短い水準にとどまっています。
(参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/chingin_zentai.html)

一方、日本歯科衛生士会が行った最新の勤務実態調査では、20年以上勤務経験を持つ歯科衛生士が61.9% という結果も出ています。

長く働き続ける人がいる一方で、短期間で辞めてしまう人も少なくなく、二極化が進んでいることがうかがえます。

(参考:日本歯科衛生士会「第10回 歯科衛生士の勤務実態調査報告書

転職経験の多さ

日本歯科衛生士会の調査によると、歯科衛生士の約 80.8% が転職経験を持っていると報告されています。

また、「4 回以上勤務先を変更したことがある」常勤歯科衛生士は 18.5%、非常勤歯科衛生士では 27.9% にのぼるなど、複数回の転職経験者が少なくないことも示されています。定着の難しさが数字からもあきらかです。

(参考:第10回 歯科衛生士の勤務実態調査報告書 日本歯科衛生士会

離職後、復帰しないケースも多い

一度職場を離れた歯科衛生士は、そのまま同じ職種に復帰しないケースが少なくありません。スキルアップや人間関係を理由に退職した場合は、別の医院で再就職することも。

しかし、結婚や出産、育児といったライフスタイルの変化によって「働きたいけれど環境的に難しい」という状況に置かれる衛生士も多く存在します。

歯科衛生士が辞めてしまう主な原因

理由1. ライフイベント(結婚・出産・育児・介護)

歯科衛生士は20〜30代の女性が多いため、結婚や出産、育児などのライフイベントでキャリアが途切れやすい仕事です。制度が整っていないと、こうしたタイミングで仕事を辞めざるを得ないケースが少なくありません。

理由2. 人間関係や職場の雰囲気が悪い

歯科衛生士が仕事を辞める大きな理由の一つが、人間関係のストレス。
ある調査では、転職理由の27%が人間関係に関するもので、代表的な要因になっています。

歯科医師からの一方的な指示や、歯科助手との役割の重なりがストレスの原因となることもあるようです。

理由3. 衛生士業務以外の仕事が多い

歯科医院は少人数で回していることが多く、業務の流れもタイトになりがちです。
例えば掃除や受付、アシスタントなど、歯科衛生士業務以外の仕事が多い歯科医院もあるでしょう。

現在、歯科業界では予防歯科という考え方が浸透し、歯科衛生士に求められる仕事も責任の重さも増えています。
そこでさらに歯科衛生士の業務以外もこなさなければいけないとなると、なかなか歯科衛生士業務に集中することが難しくなります。

理由4. 給与・待遇への不満

給与や待遇も、離職を大きく左右するポイントです。ある調査では、転職理由の24%が「給与・待遇への不満」と答えており、影響度の高さがわかります。

厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、歯科衛生士の平均年収はおよそ404万円全産業平均(約460万円)や看護師(約510万円)と比べると依然として低い水準にあります
(参考:厚生労働省 - 令和6年賃金構造基本統計調査

小規模な歯科医院では評価制度が院長の主観に依存することが多く、「何を達成すれば昇給できるのか」が不透明なのも不満の一因です。

【若手ほど離職しやすい理由】教育・サポート不足

背景には教育体制の不足があります。新人研修やフォローが整っていないと、「自信が持てない」「成長できない」と感じて離職につながります。逆に、教育とサポートを充実させることで、若手の定着率は大きく改善できます。

離職が医院経営に与える影響

歯科衛生士の離職は、単に「人が減る」だけの問題ではありません。医院の経営や日々の診療に、大きな負担を与えてしまいます。ここでは、具体的にどのような影響があるのかを整理してみましょう。

影響1)採用・教育コストが無駄になる

新しいスタッフを採用するには、求人広告や面接のための時間、入職後の教育など、多くのコストと労力が必要です。
しかし、せっかく育てたスタッフが短期間で辞めてしまえば、その投資は回収できません。院長先生や先輩スタッフの時間も取られ、診療以外の負担が大きくなってしまいます。

たとえば、年収370万円の歯科衛生士を紹介会社で採用すると、その紹介手数料だけで 75~110万円 ほどかかることがありますこれは成功報酬だけの金額であり、教育にかけた時間や給与などを含めれば、さらに大きな負担になります。

こうした採用単価を把握し、無駄な採用コストをいかに減らすかが経営課題となります。

影響2)診療の質・生産性の低下

スタッフが不足すると、残ったメンバーに業務が集中します。
その結果、本来歯科衛生士が力を発揮すべき予防処置や患者さんのケアに集中できなくなり、診療の質が下がる恐れがあります。

また、担当者が頻繁に変わることで患者さんの安心感が損なわれ、医院の評価にも影響してしまいます。

実際に、歯科衛生士の 名簿登録者数は約30万人 にのぼる一方、現場で働いているのは 14万人程度(就業率5割未満) にとどまります。
現場の人材不足が深刻化しているからこそ、一人ひとりの離職が医院に与える影響は非常に大きいのです。

影響3)職場の雰囲気・モチベーションへの悪影響

離職が続くと「また辞めてしまうのでは」という不安が広がり、医院に対する信頼も減ってしまいます。残った人の業務負担も大きくなり、モチベーションの低下も招きやすくなるのです。

ある調査では、歯科衛生士の 78.2%が人間関係の不満を離職要因 に挙げています。そのほか「勤務時間などの条件」が 68.6%、「給与・待遇への不満」が 58.4% と続きました。数字で見ても、人間関係や働く環境が職場の雰囲気を左右することがよくわかります。

実際に弊社クライアントの歯科医院様も、1人のスタッフが離職→それに続いて2人、3人...と退職が続くケースもありました。

影響4)将来の投資ができない

離職率が高い医院では、将来の診療体制の強化や新しい取り組みに踏み出すことが難しくなります。
新しい人材が定着しないと教育制度の整備が進まず、結果としてまた離職が増えるという悪循環に陥ってしまうのです。

特に歯科衛生士の 80%以上が転職経験を持つ とされており(複数回転職経験者も多数)、人材の流動性が高い職種です。
だからこそ「長く続けてもらう仕組み」を医院側が用意できなければ、将来のビジョンや拡大戦略に着手できません。

離職を防ぐために必要な採用・定着施策

歯科衛生士の離職を防ぐには、給与や待遇だけでなく「働きやすさ」「教育体制」「人間関係」「評価制度」といった複数の観点で改善を進める必要があります。ここでは特に効果の大きい4つの柱をご紹介します

施策その1)結婚や出産を経ても働きやすい環境を整える

歯科衛生士は、結婚や出産などライフイベントの影響を受けやすい職種。
産休・育休や時短勤務の制度が整っていないと、そのタイミングで退職せざるを得ないケースも少なくありません。

そこで大切なのが、柔軟に働けるシフト制度や休暇ルールを整えることです。
「週4日勤務」「午前のみ勤務」など多様な働き方を認めることで、生活に合わせて働き続けられる環境を実現できます。

また、急なシフト変更が頻発しないよう事前調整の仕組みを作ったり、忙しい日でもしっかり休憩を取れるようにするなど、日常の労働環境を整える工夫も欠かせません。

弊社が行なっているDHさんへのヒアリングでも、子育て中の衛生士さんのうちのほとんどが、『子育てにおける時間の融通がききやすいか / 両立しやすい環境かを軸に転職先を探されていました。
反対に言うと、これらが整っていない職場は離職されるリスクが大きいということになりますね。

施策その2)教育・研修体制の充実

新卒や若手の歯科衛生士が早期に辞めてしまう大きな理由のひとつが「教育不足」です。入職してすぐに即戦力を求められると、経験が浅いスタッフは不安を抱き、短期離職につながりやすくなります。

そのため、新人研修やOJTの仕組みをしっかり整えることが欠かせません。
加えて、半年・1年といった節目ごとのフォローアップ研修を行えば、成長を実感できると同時に安心感を持って働けます。

また「3年目で後輩指導に関わる」「5年目で専門分野を担当する」などのキャリアパスを提示することで、この医院で長く働くイメージを持ってもらえるようになります。

さらに、外部セミナーや学会への参加を支援し、学んだことを医院に還元できる仕組みを作れば、自己成長と医院成長を両立できます。

施策その4)公平で納得感ある評価・給与制度

給与や待遇への不満も、離職の大きな要因です。
ただし、単に給与を上げるだけではなく、「何を達成すればどの程度昇給できるのか」 を明確にすることが重要です。

例えば、以下のように具体的な評価軸を設定し、それに応じて昇給・賞与を決定する仕組みを作ります。

  • 患者さん対応の丁寧さ
  • 新しいスキルの習得状況
  • チームへの貢献度

評価制度が明確になれば、スタッフは「頑張りが正当に評価される」と感じ、安心して働き続けることができます。

人事制度について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:人事評価制度を活用した歯科衛生士の離職対策とは?導入のメリットをご紹介

施策その3)人間関係改善と情報共有ルールづくり

人間関係は、歯科衛生士が離職する大きな理由のひとつです。
歯科医院には歯科医師・助手・受付など複数の職種が働いており、情報共有が不足すると摩擦が生じやすくなります。

これを防ぐには、毎日の朝礼や週1回のミーティングを通じて、診療方針や治療計画を全員で共有することが大切です。
また、院長やマネージャーが1on1面談を定期的に行い、スタッフの声を直接聞く場を設けると、不満や不安を早めに解消できます

こうした小さな積み重ねが、安心して働ける人間関係を築き、長期定着につながります。

辞めない医院づくりは採用から

歯科衛生士の離職は、個別の医院だけでなく業界全体に共通する構造的な課題です。まずは数字で現状を正しく把握し、原因を理解することが出発点となります。

働きやすい環境づくりや教育体制の充実といった定着施策に加え、採用時の取り組みそのものを見直すことが欠かせません。
医院の価値観や魅力を正しく言語化して伝えることで、医院とスタッフ双方が納得し、長く安心して働ける職場づくりにつながります

離職を「防ぐ」のではなく根本から「生まない」採用と職場づくりが、これからの医院に求められています。
さらに詳しく知りたい方はこちらのセミナーをご覧ください。

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