人事評価は逆効果?歯科医院の評価制度がうまく回らない原因と対策

人事評価

人事評価制度とは?

先生は人事評価制度の導入経験はありますか?

人事評価制度とは、スタッフに出した目標や課題をクリアしていくことで昇給・昇格をしていく制度のことを指します。

大企業で導入されているイメージをお持ちの先生もいらっしゃるかもしれませんが、実は10人以下のスタッフ数の小さな組織でも取り入れている会社も近年増えています。歯科医院業界も同様に、積極的に取り入れる医院と二の足を踏む医院に分かれているのが現状です。

そもそも、人事評価制度は歯科医院にてどのように運用されているのでしょうか?
歯科医院における人事評価制度について確認してみましょう。

歯科医院における人事評価制度について

昇給・昇格に関わる評価と聞くと、どうしても「売上貢献度」を考えてしまう方が多いと思います。

もちろん、自費診療率や担当数・リコール率などの数値で評価をする医院もあります。しかし、歯科医院で一番重要となるスキルはプロセスに対する評価です。

評価の対象となる項目は、習得する技術や身につける知識、接遇マナー、院内研修への主体的な参加など。
直接的な売り上げにかかわらずとも、取り組みとその結果で得たスキルは医院にとってもスタッフにとっても大きな財産となります。

しかし、中には人事評価制度があることで「スタッフのやる気を失わせてしまう」と考える方もいらっしゃいます。

仕事への前向きな取り組みを以て適正な評価と給与を出すことが目的の人事評価制度。
なぜそれがやる気を失くす原因となってしまうのでしょうか?

人事評価制度はスタッフのやる気を失くす?その理由とは

一体どのような理由でスタッフのやる気を奪ってしまうのでしょうか?
スタッフによる人事評価制度に対する不満は大きく3つあります。

  • 自分の取り組みを見てもらえない
  • フィードバックや改善案がない
  • 業務以外のやらなきゃいけないことが増える

自分の取り組みを見てもらえない

人事評価制度は院長がスタッフ一人ひとりに与えた目標に対してどのようにアプローチをしたか・どのような取り組みをおこなったのか・どのような結果が出たのかを以て、適正な判断をくだす必要があります。

その中で、自分が取り組んだことを見てもらえない・評価基準に則って判断してもらえない、などの事態が起こると、制度そのものへの不信感が募ります。

中には、評価制度を取り入れているものの評価の基準が曖昧、という会社も。評価基準がなければスタッフも目標に対してどう取り組んでいくべきか迷ってしまいます。

フィードバックや改善案がない

スタッフの取り組みに対して「お疲れ様」「よく出来ているね」などの一言で済ませたことはありませんか?

どこが良くてどこが改善点なのか、昇給・昇格を目指すには何が必要なのか、評価をする院長サイドからのフィードバックは必須

取り組みに対する的確なアドバイスやフィードバックが無いと「やっても意味が無い」とスタッフは捉えてしまいます。

本来の業務以外の仕事が増える

評価制度導入によって「仕事以外のやらないといけないことが増える」と感じて負担に思うスタッフもいます。
「スタッフのためになるから」とリクエストが多いほど、スタッフにとっては重荷になっている可能性があります。

評価基準となるリクエストがなぜ必要なのか、お互いが理解できる仕組みをつくることで、このようなすれ違いを未然に防ぐことができます。

スタッフ側の不満を踏まえた上で、なぜこのような「やる気を失くす人事評価制度」が続いてしまうのかを考えてみましょう。

やる気を失くす人事評価制度の実態

「忙しくて…」制度自体がいつの間にかフェードアウト

院内業務や治療、医院運営を優先してしまい、いつの間にか人事評価のことを後回しにしてしまう院長先生が多くいらっしゃいます。

目の前の患者様がいるとどうしてもスタッフ評価の優先順位を下げてしまう。するとスタッフも評価面談に対する優先順位を下げてしまいます。そんな悪循環が続いて、いつの間にか制度自体が消えていた。これでは本末転倒です。

人事評価制度において最も重要なポイントをお伝えします。
それは、継続できるかどうか、です。

人事評価制度は、スタッフの育成とキャリアアップ・昇給・昇格を長期目線で捉えて取り組むもの。
そのため、続けなければ意味がありません。

ではどうすれば継続できる制度をつくれるのでしょうか?

それでは最後のポイントです。
スタッフに受け入れられる人事評価制度を継続するための3つの柱を考えていきましょう。

人事評価制度で抑えるべき3つのポイント

シンプルな制度になっているか

長く継続するために必要なことは、運用しやすいものかどうか。つまり、制度がシンプルである必要があります。

評価基準・取り組む内容・面談回数・昇給・昇格の仕組みがシンプルで分かりやすいだけで「忙しいから」と後回しにしたり「面倒だから」と避けられたりするリスクを減らせます。

また「縛り」が多いことも継続の妨げに。
「全員揃う日に面談を行う」「前後の研修と合わせて4時間必要」などの条件があると定期的な評価面談の実施は難しくなります。

シンプルで取り組みやすく、誰もが理解できる人事評価制度を作っていきましょう。

目標が明確になっているか

人事評価制度には「目標」が不可欠。
スタッフが何に向かって何を取り組むのか。そして院長は何を基準に評価するのか。これらを示すものがスタッフの「目標」です。

なかでも、明確な目標を立てることがなにより重要

目標を明確化させるための第一歩は、目標の数値化です。

「〜をできるようにする」「〜のスキルを身につける」などの目標では「頑張りました」「出来るようになりました」という評価を付けづらい結果にしかなりません。

「〜を⚪︎分で完結できるようにする」「〜のスキルを身につけるために週に⚪︎時間使って練習する」など、目標に到達したかどうか・プロセスをこなせたかどうか明確な判断基準の有無がポイントの一つです。

フォローしてくれる第三者の存在

制度を継続するための重要なポイントは第三者によるフォロー。

直にスタッフと関わる先生だからこそ、判断に悩む時・昇格に悩む時が出てきます。
そのときに医院の状況と先生の想いを汲んでサポートをする第三者がいることで、先生の中の人事評価へのハードルを大きく下げられます。

また、定期的なフォローが入ることで「月末になって急拵えで仕上げる」という事態を防げ、無理のない継続が可能になります。

人事評価制度で生まれ変わった医院も

途中から新しい制度を取り入れるのは、正直難しいです。しかし、前述のポイントを押さえ、人事評価制度を導入した結果、良いサイクルになれた医院もあります。

CASE1:カリキュラムと連動し効率化

学ぶべき育成カリキュラムと評価を直結させることで「自分が今何を学ぶと評価されるのか」が分かり、育成と評価を効率よく進められた実際の例です。

やる気を失くしてしまう例にもあったように「本来の業務と乖離した目標」にはならず、目の前の業務をこなしていくと自ずとスキル・キャリアがともに上がっていくため、やる気が下がる心配もありません。

導入した医院では、日々ただこなすだけだった仕事に「将来的な目標」が生まれ、一人ひとりの仕事に向き合う姿勢が変化しています。

CASE2:見える化で悩みを共有しやすくなる

また、別の医院では評価制度に基づいた表を休憩室・会議室に掲示。これだけを聞くと「ランクづけされているみたいでプレッシャーに感じる」と思われるかもしれません。

しかし、誰が何をできるか・誰がどこまでのスキルを身につけているかを誰でも・いつでも確認できるため、業務の依頼をするときもスムーズになり、できないところについては教え合える風潮が生まれました。

これも、人事評価制度を導入し、全員が「自分が何をできるか」を共有しあうことで医院が大きく飛躍した一例です。

先生と医院に合った人事評価制度を選びましょう

いかがでしたか?

「人事評価制度」と聞くと、院長先生は手間が増える・スタッフは面倒事が増える、などのマイナスイメージが先行してしまう先生も多いと思います。

しかし、失敗の原因を失くし継続のポイントを掴むのは意外と簡単

歯科医院向けの人事評価制度も会社によって様々なサービスを提供しています。
先生と医院に合った人事評価制度を導入して、長く継続してより良い医院づくりを目指していきましょう。

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