自院で働く歯科衛生士の性格が悪い…
歯科衛生士の勤務態度が悪いのは、なぜなのだろう…
このように感じている院長はいらっしゃいませんか?
「歯科衛生士の性格が悪いのは、本人の性格に問題があるから」と捉えられることが多いかもしれません。
しかしその原因を突き詰めると、院長の態度や労働環境が原因となっている場合があります。
今回の記事では、歯科衛生士の勤務態度が悪くなってしまう原因と、その対応策について解説しています。
「自分自身、あるいは自院の場合はどうか」という視点で見ていただき、この記事が課題に気づくきっかけとなれば幸いです。
歯科衛生士の態度の悪さが引き起こす問題とは
自分の周りに態度が悪い人がひとりでもいると、なんだか居心地が悪いような心持ちになりませんか?
どこの職場でも同じような問題は日々起こっていて、歯科医院ももちろん例外ではありません。
態度の悪い衛生士が一人いるだけで、その場全体にどんよりとした空気を作ってしまうのです。
その居心地の悪さは、一緒に働くスタッフや先生だけでなく、患者さんにもなんとなく感じ取れるもの。
敏感な方であれば、もうこの医院には通いたくないとまで思わせてしまう可能性もあります。
スタッフ間だけの問題だと思っていたら、いつの間にか医院の収益にまで影響する可能性もあるため注意が必要です。
また、態度が悪いということは、仕事そのものや職場環境、ひいては院長に対して不満を抱いているということ。
そんな状態では、日々の業務に対するモチベーションも低くなっているはず。本人も気づかないうちに、衛生士としての振る舞いや処置の一つひとつに現れていることがあります。
患者さんへの声かけが不足していたり、処置中のミスが増えたり…
そのようなちょっとしたきっかけからも、患者さんの医院離れを促してしまうことが考えられます。
ピンチに陥ってから後悔してしまう前に、なるべく早く対策を打つことが望まれます。
歯科衛生士の勤務態度が悪くなる原因7選
「歯科衛生士の勤務態度が悪い」
院長がこのように感じる原因には、このような原因があるかもしれません。
それぞれの内容について、1つずつ見ていきましょう。
1. 仕事が忙しくて余裕がない
歯科衛生士の態度が悪くなる原因には、仕事が忙しすぎることがあります。
人手が足りないため、
- ・勤務時間が長くなる
- ・休憩時間が少ない
- ・休日が少なかったり休日出勤がある
このようなことが起こり、心身ともに疲弊し余裕がなくなっていることが考えられます。
また心に余裕がないと、歯科衛生士同士の関係も悪くなってしまいます。
歯科衛生士の勤務態度が悪いと感じたら、労働環境の見直しが必要かもしれません。
2. 院長がいつも怒っている
歯科衛生士の態度が悪いと思ったら、一度自身の立ち振る舞いについて振り返ってみてください。
特に個人クリニックの場合、院長の態度や雰囲気を一番に感じ取るのは歯科衛生士です。
経営や求人採用など、院長には考えなければならないことがたくさんあります。
またトラブルがあった際には、イライラしてしまうこともあるでしょう。
しかし院長の機嫌が悪いと、それを感じ取った歯科衛生士の雰囲気も悪くなったり、「怒られるんじゃないか」というプレッシャーから本来の力を発揮できなかったりすることにも繋がってしまいます。
- ・自信がない
- ・笑っていない
- ・自分で考えて動いてくれない
このような歯科衛生士の姿があれば、一度院長自身の振り返りが必要かもしれません。
特に若手の歯科衛生士からすると、院長は絶対的な存在です。院長が高圧的な態度を取っていたり機嫌が悪いと、安心して働くことはできません。
3. スタッフ同士の関係性が悪い
歯科衛生士の性格が悪いと感じる原因には、スタッフ同士の関係性がよくない場合があります。
特に個人クリニックの場合、歯科衛生士の上下関係は強くなりがちです。
- ・この人の言うことを聞かないと孤立してしまう
- ・ベテランのAさんとBさんは仲が悪い
- ・自分のいないところで悪口を言われている
このような環境では、安心して働くことはできません。
歯科衛生士が荒波を立てぬよう大人しく過ごしていたり、建設的ではない意見の押し付け合いをしたりしている場合には、院長の対応が求められます。
1人ひとりの話をよく聞いたり、場合によっては原因となっている歯科衛生士に個別で指導をしたりする必要もあるでしょう。
4. 働く意義や目的がわからない
あなたの医院で働いてくれている歯科衛生士に対して、自院の理念や院長の考え、思いを伝えていますか?
歯科衛生士の勤務態度が悪いと感じる原因には、もしかすると働く意義や目的がわからなくなっていたり、やりがいを持って働けていなかったりする可能性があります。
- ・何を大切にして患者さんと接すればいいのかわからない
- ・歯科衛生士としてのやりがいってなんだろう?
- ・院長が何を考えているのかわからない
目的や目標がなく、ただ生活のために働いている状態では、イキイキと仕事をすることはできません。
毎日同じような仕事の繰り返しでは、なぜ歯科衛生士の仕事をしているのかわからなくなってしまいます。
5. 仕事に慣れていない
- ・新卒で入社したばかり
- ・ブランク明け
- ・転職したばかり
このような場合には、職場に慣れたり、1つひとつの仕事をこなしたりすることに精一杯です。
覚えることもたくさんあり、目の前のことで精一杯のため、院長や歯科衛生士、患者さんとのコミュニケーションまで気が回らないのでしょう。
その余裕のなさから、勤務態度が悪く見えている場合があります。
常に気が張り詰めているので、院長や先輩の歯科衛生士から丁寧に教えてもらえたり「少しは慣れた?」「わからないことがあったら何でも聞いて」と一言もらえたりするだけで、スッと心が軽くなります。
6. スキルアップが望めない
上昇志向がある歯科衛生士にとって、勤める医院でスキルアップが叶うかどうかは重要な問題です。
スキルアップが叶わないと感じるとやりがいを持てなくなり、勤務態度に表れてしまう場合があります。
一例として
- ・働き始めて数年経っても同じ仕事しか任せてもらえない
- ・座学と実践を通して学ぶ機会がないため、成長を感じられない
- ・医院が矯正やインプラントなどの専門的な治療を行なっていない
これらのことが挙げられます。
また上昇志向のある人はスキルアップが望めないとわかると、退職して次の職場へ行ってしまうことも珍しくありません。
よい人材を雇いたい、主体的に働いてほしいと思ったら、スキルアップの機会を提供できているかどうか振り返ってみましょう。
7. 頑張っても評価してもらえない
歯科衛生士の勤務態度が悪くなる最も有力な原因の1つとして、頑張りが認められないことがあります。
- ・何をどう頑張れば給料が上がるのかがわからない
- ・どのような基準で評価されているのかがわからない
- ・給料は院長の主観で決められている感じがする
評価の基準が曖昧であるために「どうせ頑張ってもムダだ」と思い込んで、態度が悪くなっている可能性があります。
「院長は自分のことを見てくれている」「〇〇の知識と技術を身につければ、給料として返ってくる」このように思えなければ、頑張って働こうという気持ちになれません。
院長ができる対応策7選
ここまで、歯科衛生士の勤務態度が悪くなってしまう原因についてお伝えしてきました。
続いては、それぞれの原因に対する対応策を見ていきます。
- 労働環境の見直しを行う
- 院長自身の言動を振り返る
- 採用の時点でミスマッチを起こさない
- 自院の理念を伝える機会を定期的に設ける
- 1対1でじっくり話す機会を設ける
- スキルアップにつながる研修を行う
- 人事評価制度を活用する
「自院に足りないのはどの視点か」貴院の現状と照らし合わせながらご覧ください。
1. 労働環境の見直しを行う
歯科衛生士に安心して働いてもらうためには、労働環境を整えることが大切です。
- 相場にあった給料を支給する
- 勤務時間が8時間を超える場合には残業代を支給する
- 福利厚生を整える
- 気軽に休みを取れる雰囲気をつくる
- ユニット1台当たりの歯科衛生士数を増やす
これらはあくまでも一例ですが、心に余裕がないと医院や患者さんのために働きたいとは思えません。
「しっかり休んでしっかり働く」
メリハリのある勤務体制を整えることで充実感をもてるようになり、医院の雰囲気が良くなったり貢献度も上昇したりすることでしょう。
また弊社クライアントの中には、歯科衛生士の急な欠勤や有給に対応するために
- ・ユニット1台あたりの歯科衛生士の数を多めに確保する
- ・担当制を採用しない
このような方法をとっている医院も存在します。
患者の割り振りが担当制であったり、ギリギリの人数での運営を行なっていると「休みたくても休めない=プレッシャー、職場への不満」につながってしまうこともあります。
2. 院長自身の言動を振り返る
歯科衛生士の元気がなかったり、笑顔が見られなかったりする場合には一度、院長自身の言動を振り返ってみましょう。
具体的な振り返りポイントの一例は、以下のとおりです。
- 感情的な発言はなかったか
- 衛生士が話しかけづらい雰囲気を作っていないか
- 院長自らが率先して挨拶をしたり感謝を伝えたりしているか
なかでも、院長自らが歯科衛生士に話しかけることは大切です。
「話しかける」といっても、特別なことを話す必要はありません。
- ・「〇〇さん、おはようございます」と挨拶をする
- ・「いつもありがとう」と感謝を伝える
- ・治療の合間に、仕事とは関係のない雑談をする
一見すると「そんなことでいいの?」と思えるかもしれませんが、歯科医院に限らず、できている人は意外と少ないのではないでしょうか。
普段から院長がコミュニケーションを取ろうとしてくれていることがわかると、歯科衛生士も安心して悩みや疑問点を話しやすくなります。
院長は職場のリーダーです。トラブルがあった際にも感情的にならず、冷静に対応しましょう。
3. 採用の時点でミスマッチを起こさない
医院の雰囲気をよくするためには、採用の時点でミスマッチを起こさないことも重要になります。
求人採用を行う際には、自院の理念や院長の考え方をあらかじめ丁寧に伝え、共感できる人からの応募が集まりやすい仕組みづくりを行いましょう。
医院の理念や院長の思いに共感して応募してきた人たちは、同じような価値観を持っているということ。
価値観が似ている歯科衛生士が集まれば、スタッフ同士の関係性も悪くなりにくいことが予想できます。
理念や価値観は、自院の採用サイトを制作することで求職者に伝えられます。
4. 自院の理念を伝える機会を定期的に設ける
採用の際、自院の理念に共感して応募してきた人たちも、日々仕事をしていると働く意義や目標を見失ってしまうこともあるかもしれません。
また「医院全体として共通認識を持っておく」という観点からみても、定期的に院長の思いや考えを伝える機会を設けることは、よい取り組みといえるでしょう。
- 医院として実現したいこと
- 患者さんにどのような未来を提供したいのか
- 院長が大切にしていること
これらのことを伝えることで、歯科衛生士は院長が考えていることがわかるため、安心して働くことができます。
また歯科衛生士たちのことを大切に思ってくれていることが伝わると、「もっと貢献したい」と思ってくれることでしょう。
日頃から院長の考えを伝えていると、歯科衛生士からも「意見を伝えてみよう」と思えるようになります。
5. 1対1でじっくり話す機会を設ける
歯科衛生士の不満や不安を解消するためには、1対1でじっくりと話す機会をつくることも大切です。
- スタッフ同士のトラブル
- 給料や業務に対する不満
- 日頃感じている疑問点
普段の業務のなかで疑問や不安に思うことがあっても、歯科衛生士から言い出すことは多くの場合できません。
そのため、院長と2人でじっくり話せる機会をもつことで、疑問や不安の解消が期待できます。
ただし疑問や不安を伝えてもらうためには、日頃からのコミュニケーションを密に行い、信頼関係が構築されていることが前提です。
日々の業務のなかでの小さなコミュニケーションを重ねていくと、「必要とされている」「気にかけてもらっている」という気持ちが湧いてきます。
どんなに小さなことでも院長から話しかけてもらえると、それだけで嬉しいものです。毎日の小さな積み重ねが大切です。
6. スキルアップにつながる研修を行う
「歯科衛生士としての技術や、患者さんへの対応の仕方やマナーなどを学んで、スキルアップをしてほしい」
このように思っている院長もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし日々の業務のなかで、歯科衛生士に対して院長が直接研修を行うのも難しいですよね。
そのような時には診察を休んで、外部の講師を招いて研修を行うのがおすすめです。
休診にすることで、休日返上で研修を行う必要もありませんし、院長や歯科衛生士の負担なくスキルアップの機会を得られます。
患者さんには迷惑をかけてしまうかもしれませんが、そのぶん「学んだことを患者さんに貢献できるようになりたい」「研修内容をしっかりと吸収しよう」とも思えるのではないでしょうか。
スキルを身につけられると自信にもつながり、医院全体の雰囲気も明るくなりますよ。
7. 人事評価制度を活用する
- ・頑張っても評価してもらえない
- ・どのような基準で評価されているのかがわからない
- ・院長の主観で評価されているのではないか
このように感じている歯科衛生士に納得して働いてもらうためには、人事評価制度を活用するのもおすすめです。
人事評価制度を活用することで
- 評価の基準が明確になり、客観的に評価するので不満が出にくい
- どのようなステップを踏めば評価が上がるのかがわかりやすい
- 歯科衛生士のスキルアップにつながる
このようなメリットがあります。
もちろん歯科衛生士の技術力や貢献度に応じて、報酬で還元することは大前提。
歯科衛生士としては「自分は今どの段階にいて、何を頑張れば評価してもらえるのか」が明確なため、主体的に学んでスキルアップしたくなります。
結果的に医院全体のレベルが向上し、患者さんからの評価も上がることが予想されます。
人事評価制度については以下の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
「なんとなく採用」をしていませんか?
ここまで記事をご覧になっている院長は、歯科衛生士の採用をどのようにされていますか?
- ・面接の受け答えを見て「なんとなく」良さそうだと思った
- ・これといった決め手はないけれど「なんとなく」採用した
このように曖昧な判断基準と面接で「なんとなく採用」をしてしまい、入職した途端モンスター化してしまったという経験はありませんか?
「なんとなく採用」を避けるためには
- 求める人材を明確にする
- 求人票や自院の採用サイトで理念や院長の思いを伝える
- 面接時には未来のことを聞くのではなく「過去の行動」を尋ねる
など、いくつかのポイントが存在します。
これらのポイントについてしっかりと整備するだけで、問題のある求職者からの応募をふるいにかけられますよ。
ミスマッチの起こらない求人採用をサポートします
今回の記事では、歯科衛生士の勤務態度が悪くなる原因と、その対応策について解説してきました。
一見すると歯科衛生士本人に原因があると思われがちですが、院長や働く環境が問題となっている場合もあると理解していただけたでしょうか。
院長と歯科衛生士という関係性ではありますが、それ以前に「人と人との関わり」であることに違いありません。
院長自らが歯科衛生士のことを気にかけ、思いやりを持って関わっていけば、歯科衛生士からも信頼してもらえたり医院に貢献してくれたりするでしょう。
加えて、もう一点大切なことがあります。
それは求人採用の時点でミスマッチを起こさないこと。
問題のある求職者を入職させてしまうと、どんなに院長が努力をしても改善されることは難しい場合がほとんどです。
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