最近の子はすぐ辞める。全然いい人が来ない
やっと採れたと思ったら3ヶ月で退職……
採用に悩む院長先生から、こうした声をよく聞きます。でも、長年採用現場を見てきた立場からはっきり言わせてください。採用がうまくいかない原因の大半は、医院側のプロセスにあります。
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なぜあなたの歯科医院の採用はうまくいかないのか?
採用の失敗には、決まったパターンがあります。
- 応募が来ない
- 採用まで繋がらない
- 定着しない
この3つが連鎖して、悪循環が生まれます。
どこでつまずいているかによって、打ち手はまったく異なります。
本記事では、求人・面接・入職後の3場面に分けて、それぞれの落とし穴と対策を整理します。
採用の失敗が経営に与える深刻なインパクト
採用の失敗は、じわじわと経営を蝕みます。
既存スタッフに負担が集中すると、モチベーションが下がり連鎖離職が起きる。
↓
人手が足りなければ予約を制限せざるを得ず、診療の質も下がる。評判が落ちれば患者も離れる。
↓
そのたびに求人広告費と教育コストを再投資することになり、資金繰りも圧迫される。
最終的に行き着くのは、「院長が現場に張り付いて、経営に手が回らない」状態です。
採用の問題を放置することは、経営リスクを放置することと同じです。
本記事では、歯科医院の採用失敗につながりやすい落とし穴を「求人」「面接」「入職後」の3場面に分けて整理します。どこでつまずいているかが見えれば、打ち手は必ず見つかります。
【NG例:求人編】応募が集まらない歯科医院に共通する3つのNG例
求人票を見て「ここで働きたい」と思った人が、面接を経て気持ちが冷めてしまう、そんなケースが現場では珍しくありません。せっかくの応募を無駄にしないために、面接でやりがちな4つのNG対応を確認してください。
NG例1:具体性のない「アットホーム」な求人票
「アットホームな職場です」「風通しの良い環境」こうした言葉は、もはや求職者にはほぼ届いていません。
どの求人にも書いてあるからです。
そもそも「仲が良い」という感覚は、内側にいる人間にしかわからないものです。
知り合いがいる職場なら「楽しそう」と感じられますが、まったく知らない医院に対しては、どれだけ「アットホーム」と書いても「自分には関係ない話」として流されてしまいます。
抽象的な社風アピールが、応募の動機になることはまずありません。
求職者が知りたいのは「そこで働くと、どんな未来が待っているか」です。
抽象的で耳障りの良い言葉だけでは、それは伝わりません。
NG例2:給与・待遇が不透明
✅ 給与に幅を持たせすぎている
✅「残業ほぼなし」と書きながら実際の残業時間を誤魔化している
こうした不透明さは、求職者の不信感を生みます。
「なんとなく怪しい」と思われた時点で、応募の候補から外れていることも少なくありません。
弊社が行った歯科衛生士へのインタビューにて、歯科衛生士の大半は”求人を疑いの目で見ていること”が分かっています。
「どうせ良いことばかりしか書かれてない」「実態は違うんだろう」そう思いながら疑心暗鬼で求人を見ているのです。
入職後に「聞いていた話と違う」と感じたスタッフが辞めていくのも、多くの場合求人段階での情報不足が原因です。求人票の段階での曖昧さは、採用後のトラブルの火種になります。
NG例3:求人媒体に載せて"待つ"だけ
歯科衛生士の求人倍率は23倍超え。23の医院が一人の衛生士を取り合っている状況です。
にもかかわらず、「求人媒体に掲載したから、あとは応募を待つだけ」という医院がまだまだ多い。
選んでもらうのを待つ姿勢では、優秀な人材はすでに他院に流れています。
選ばれるのを待つ時代は、とっくに終わっています。
【NG例:面接編】採用ミスマッチと応募辞退を招く院長のNG対応4選
面接は双方が「この人・この医院で決めたい」と腹をくくる場。次の失敗が続くと、せっかくの応募が水の泡になります。
NG例1:院長が一方的に話すプレゼン面接
医院側ばかりが一方的に話すプレゼンの場になってしまっていませんか?
まずは応募者の言葉に耳を傾け、価値観・強み・成長意欲を掘り下げてください。
NG例2:感覚頼みの"人柄採用"
「なんとなく感じが良い」「元気が良い」こういった感覚は判断基準になりません。
「面接時の見極め質問チェックシート」を参考にし、自責思考か他責思考かを面接の場で見極めることが必須です。
NG例3:労働条件のすり合わせ不足
面接で労働条件の詳細を伝えないまま採用を進めると、入職後に「聞いていた話と違う」というギャップが生まれます。このギャップが、早期離職の大きな原因のひとつです。
「だいたいこのくらいの残業です」
「業務内容はやりながら覚えてください」
そうした曖昧な伝え方では、応募者は正確なイメージを持てません。
入職後に現実を知って気持ちが折れるより、面接の段階で丁寧にすり合わせた方が、お互いにとって誠実です。
NG例4:応募者への配慮不足
返信が遅い、高圧的な質問をする、日程を一方的に押し付ける....
こうした対応は、応募者の気持ちを一瞬で冷まします。
そして怖いのは、その印象がSNSや口コミで広がることです。
「あの医院の面接、感じ悪かった」という一言が、エリア内の応募者に届くのに時間はかかりません。
面接に来た人は、未来のスタッフであり、未来の患者でもあります。その意識を持って対応してください。
【NG例:採用後編】スタッフの早期離職を招く医院のNG環境
内定はゴールではなく、スタートです。せっかく採用できても、受け入れ体制が整っていなければ数ヶ月で辞めていきます。採用にかけたコストと時間が、まるごと無駄になります。
NG例1:教育体制がなく「見て覚えろ」
新人は「いつまでに何を覚えれば良いか」が見えず不安を抱えます。
「見ていればわかる」「やりながら覚えてください」こうした指導スタイルは、新人にとって非常に過酷です。
何をどこまで覚えればいいのかがわからない状態は、じわじわと不安を積み重ねます。質問できる雰囲気もなければ、孤立感はさらに深まります。「思っていた職場と違う」という気持ちは、こうした小さな積み重ねから生まれます。
NG例2:求人情報と現実のギャップ
求人票に書いてあったことと、実際の職場環境が違う。
これは新人スタッフにとって、信頼を一瞬で崩す出来事です。
残業の実態、業務の範囲、職場の雰囲気。どれかひとつでも「聞いていた話と違う」と感じた瞬間、その医院への信頼は大きく揺らぎます。
NG例3:コミュニケーションを促す仕組みがない
忙しい現場では、意識しなければスタッフ同士の会話は業務連絡だけになります。
新人が「自分はここに必要とされているのか」と感じられない職場は、定着しません。
仲間意識は自然に生まれるものではありません。意図的につくるものです。
仕組みがなければ、新人は早々に孤立していきます。
💡採用失敗を成功へ導く!院長が今すぐ実践すべき改善策
問題点に気づいた今こそ好機。以下の3ステップで採用の歯車を正しい方向に回しましょう。
STEP1:医院の魅力を言語化・可視化する
まず取り組むべきは、既存スタッフから「なぜこの医院で働き続けているのか」を聞き出すこと。
院長が当たり前だと思っていることの中に、求職者にとっての魅力が隠れています。
集まったエピソードは、抽象的な言葉に変換せず、数字と事実で求人票に載せてください。
「アットホームな職場です」のような抽象的な伝え方ではダメ。
「勤続5年以上のスタッフが7割。ライフプランに応じた働き方ができるのが理由。」
「子育て中のスタッフ3名が時短勤務で活躍中。院長も絶賛子育て中のため、お互い様の気持ちで無理のないシフトを組んでいる」
こんなふうに、できるだけ具体的に(できれば数字を使って)表してください。
数字は職場のリアルを一瞬でイメージさせる力を持っています。
給与・待遇は「正直な開示」が最強の差別化になる
給与や待遇の情報は、曖昧な表現が最大のリスクです。
「基本給」と「総支給額」の違いひとつで、入職後に「聞いていた話と違う」というトラブルが生まれます。
特に地方では口コミの影響が大きく、条件のズレが評判の低下に直結します。モデル年収・手当の内訳・昇給のルールは具体的に明示し、ネガティブな情報も隠さず伝えてください。正直に開示した方が信頼感が増し、結果として定着率の向上につながります。
求人票は院長自身が関わり、導線まで設計する
そして忘れてはならないのが、求人票は院長自身が内容を把握し、作成に関わること。
「担当者に任せっきり」「なんとなく作った」では、情報のズレが生まれやすくなります。採用は経営戦略のひとつです。求人票は単なる募集広告ではなく、一緒に働くビジネスパートナーへのラブレターだという意識で、丁寧に作り込んでください。

STEP2:応募者から"選ばれる"面接・選考を設計する
面接の理想的な時間配分は「説明3:質問7」です。院長が話す時間を意識的に減らし、応募者の言葉を引き出すことに集中してください。
見極めの精度を上げるには、質問を標準化することです。
ただし、聞く内容には注意が必要です。「うちでどう頑張りたいですか?」のような未来の意気込みを聞く質問は避けてください。
面接はお互いが良く見せ合う場です。未来の質問には「頑張ります」という定型の答えしか返ってきません。本音は見えません。
聞くべきは「過去」と「現在」です。具体的には次の5つを軸に面接を組み立ててください。
- 退職理由:人や環境のせいにする回答は要注意。辞めた理由の裏にある本人の姿勢を深掘りしてください
- 自己成長の取り組み:日常的に何をしているかを聞く。継続的な習慣があるかどうかがポイントです
- 働くうえで大切にしていること:仕事への価値観だけでなく、生活や家庭とのバランス感覚も含めて確認してください
- 過去に最も頑張った経験と苦労したこと:困難に直面したとき逃げる傾向がないか、周囲への感謝があるかを見極めてください
- 適性検査・性格診断の活用:MBTIなどを面接と組み合わせることで、面接だけでは掴みきれない特性を補完できます
感覚頼みの「人柄採用」から抜け出すには、この5つの質問を習慣にすることが一番の近道です。
じゃあ面接で何を聞けばいいのか?
そんな院長先生はまずは「面接時の見極め質問チェックシート」をご確認ください。
労働条件は面接の場で丁寧にすり合わせ
労働条件は面接の場で丁寧にすり合わせてください。残業の実態、業務範囲の割合、研修期間の目安——曖昧にしたまま入職させると後で必ずギャップが生まれます。院内見学やスタッフとの座談会を選考に組み込み、現場の空気を肌で感じてもらうことも効果的です。
応募者への対応はスピードと丁寧さを徹底する
応募者への対応はスピードと丁寧さを徹底してください。
返信の遅さ、高圧的な態度、一方的な日程調整....こうした対応はSNSで拡散します。面接に来た人は未来のスタッフであり、未来の患者でもあると心得てください。
関連記事:内定辞退を防ぐにはフォローが大切!内定者フォローの方法とポイント

STEP3:定着率を高めるオンボーディングを構築する
採用はゴールではなく、スタートです。入職後の3ヶ月が、定着するかどうかの分岐点。
そしてここで鍵を握るのは、制度や仕組みだけではありません。離職の根本原因を理解したうえで、対策を組み立てることが重要です。
入職前にギャップを潰す
最初にやるべきは、入職前のギャップ解消です。
残業の頻度、業務の実態、職場の雰囲気など、見せたくない部分も含めて事前に共有してください。
「それでもここで働きたい」と思って入職してもらうことが、長期定着への最短ルートです。
求人票で良いことだけを並べた結果、入職後に「聞いていた話と違う」と感じたスタッフが辞めていく。この流れは採用活動の段階で断ち切ることができます。
教育・評価・報酬をセットで設計する
教育体制を整えることは大前提です。必要であれば業務マニュアルを用意しましょう。
「いつまでに何を覚えればいいか」が見えるだけで、新人の不安は大きく減ります。
ただし、教育だけでは足りません。
成長しても評価されない、報酬が変わらないという状況が続くと、スタッフはやりがいを失います。
教育・評価・報酬の3つをセットで設計することが、定着率を高める鍵です。
成長に応じたフィードバックと報酬の整備があって初めて、「ここで頑張り続けたい」という気持ちが育まれます。
コミュニケーションの場を仕組み化する
入社初日の歓迎ランチ、週1回のミニミーティング、院長と新人の月次1on1....
こうした場を意図的につくることで、新人の孤立を防ぎ仲間意識が育まれます。
仲間意識は自然に生まれるものではありません。仕組みとして設計してください。その積み重ねが、定着率を確実に押し上げます。

まとめ:採用活動の見直しは医院の未来をつくる
採用がうまくいかない原因は、求人・面接・入職後の3つの場面に潜んでいます。どれかひとつを改善するだけでも、状況は変わり始めます。全部を一度に変える必要はありません。「今週できること」をひとつ決めて、動き出してください。
面接で「この人と働きたい」と確信できていますか?
面接のたびに「何を聞けばいいか迷う」「なんとなくの印象で決めてしまった」
そんな経験がある院長先生に、ぜひ活用していただきたい資料があります。
「面接時の見極め質問チェックシート」は、全国100院以上の採用支援に携わってきた実績をもとに作成した質問集です。
面接内で自然に聞けて、しかし本質に踏み込める質問を厳選。
それぞれに「なぜその質問をするのか」「何を見て判断するのか」を添えています。
面接に慣れていない方でも、納得して採用判断ができるように設計しています。
