スカウトメールは、企業の人事担当者が希望する求職者に送るメールやメッセージを指します。最近、スカウトメールを取り入れたものの、求職者からの返信が期待ほどではないと困っている院長に対し、返信率を向上させる方法をご紹介します。
スカウトメールの返信率とは?
スカウトメールの返信率とは、送信したスカウトメールのうち候補者からの返信が来た割合です。
スカウトメールの返信率は以下の式で計算できます。
[返信率=返信数÷送信数]
効率的な採用活動を行うためには、ただやみくもに送信数を増やせばよいわけではありません。
求職者に響くスカウトメールを送信して返信数を増やすこと、すなわち返信率の高いスカウトメールをつくることが大切です。
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返信率の平均値
スカウトメールの返信率は使用する媒体や求職者の層によっても異なりますが、おおむね10%程度と捉えておきましょう。
媒体については、求職者自身が自由に求人を閲覧したり応募したりできる転職サイトや、反対にスカウト型が中心の転職サイト、手厚いサポートが受けられるエージェントサービスなどさまざまあります。
また、エンジニア向け、医療従事者向けといった特定の職種に特化したサービスもあります。
求職者の層については、すぐにでも転職したい!と考えている層もいれば、今よりも良い条件で働けるポジションがあれば検討したい、といった温度感の層もいます。
返信率を上げるにはスカウトメールの内容だけでなく、使用する媒体の特徴を理解し、どのような層にアプローチするかも重要になることを意識してください。
返信率に関わる3つの数値
ここで、スカウトメールの返信率に関わる3つの重要な数値を押さえておきましょう。
①スカウトメールの開封率
送信したスカウトメールに対してどのくらいの求職者がメールを開封したかの割合は、一般的には70%程度、スカウトが多い媒体の場合は50%程度と言われています。
せっかくメールを送っても開いてもらえなければ、求人の内容を知ってもらうことはできません。
これからスカウトメールを活用したい場合や活用しているものの開封率が低いとお悩みの場合は、後述する「スカウトメールの返信率を上げる7つのポイント」を参考に、まずは開封率をしっかり上げる工夫をしてみてください。
②メール開封後の求人閲覧率
メールを開封してもらえたら、求人を閲覧して内容をよく理解してもらいたいところです。
しかし、スカウトを多く受け取っている求職者は「前もこんなメール来てたな…」「特にピンと来るものはないな…」と思ったら、求人は閲覧せず閉じてしまうこともあります。
求職者にオファーするポジションへの興味を持ってもらい、求人の閲覧へスムーズに誘導できるメールの内容を心がけましょう。
③求人閲覧後の返信率
②までは、送られてきたメールや求人の内容を見るだけなので求職者にとって高いハードルではないですが、そこからメールに返信することは求職者に実際にアクションしてもらうことが必要になります。
初めはそこまで意欲的ではなかった求職者でも、求人の内容を見て興味を持ってもらえたら返信が来る可能性は大いにあります。
これから確認する内容を踏まえて返信率の高いスカウトメールを作成し、効率的な採用活動へつなげていきましょう。
スカウトメールの返信が来ない5つの理由
スカウトメールを送っているものの返信率が悪い場合、どのような理由が考えられるでしょうか?
ここではよくあるNGポイントを5つ解説します。
普段送っているメールに当てはまる部分がないか確認してみてください。
①定型文の使い回し
スカウトメールを作成するとき、よくネットに落ちているようなテンプレートをそのまま使い回してはいませんか?
定型文は記載する内容が一通りまとまっていて使いやすい一方で、他社と同じような文面や形式になりがちなので差別化はしづらく、印象に残りにくくなってしまいます。
また、明らかな定型文は求職者から見てもわかりますし、手を抜いているような印象を与えかねません。
例えば「20代〜40代の歯科衛生士の方」「働きやすい職場をお探しの方」など、対象の幅が広すぎたり抽象的だったりすると、求職者は「誰にでも送っているんだろうな」という印象を受けるでしょう。
定型文をそのまま使うのではなく、それぞれの求職者ごとに「なぜあなたにメールを送ったのか」が伝わる内容を必ず入れましょう。
②求職者のニーズや特性に合っていない
自院の魅力を知って欲しい!と意気込んで、スカウトメールで自院のアピールを強くしすぎることはNGです。
求職者は、興味があれば自分で求人票を開いて内容を確認します。
スカウトメールはあくまで求人やHPの閲覧につなげるためのステップと考えておきましょう。
また、例えば同じ転職サイトに登録している求職者でも、本当に転職したいと考えている人もいれば、とりあえず情報収集をしたいと考えている人もいます。
あらかじめサイトに登録してある求職者の情報を読み込んで、求職者の状況に合わせてオファーを送るようにしましょう。
③ネガティブな内容が含まれている
メールにネガティブなワードや内容が含まれていると求職者に避けられやすいです。
例えば
- 急募
- 学歴不問
- 大量採用
- 未経験歓迎
- 実力に応じて評価
などが含まれていると
「離職者が多いから採用を急いでいるのかな...」
「ワークライフを重視したいから実力主義は厳しいかも...」
といった印象を受けるかもしれません。
ネガティブなイメージを与えやすいワードには注意したほうが良いでしょう。
④文章が長すぎる
せっかくスカウトメールを送るのだからと思い、内容を盛り込みすぎて長文にならないよう気をつけましょう。
スマホで何度かスクロールしないと読めないような長文は、意欲の高い求職者でなければなかなか最後まで読もうと思いません。
また、求人票を読まなくても十分なほど細かく内容が書いてある場合、求人閲覧率も下がってしまいます。
目安はだいたい400〜500文字程度で、求職者に伝えたい内容を簡潔にまとめるよう心がけましょう。
⑤返信のハードルが高い
求職者が返信をためらうようなアクションを要求することもNGです。
例えば、
「ぜひ選考に進んでいただきたいので、面接可能な日程を教えてください」
「ご興味があれば履歴書と職務経歴書をお送りください」
といったような内容は、そこまで意欲的でない求職者にとってはかなりハードルが高く感じてしまいます。
選考を前提としたアクションを求めるのではなく、まずは自院の情報を気軽に知ってもらうことを目標とすることがおすすめです。
スカウトメールの返信率を上げる7つのポイント
上記のNGポイントを押さえた上で、スカウトメールの返信率を上げる具体的な7つのポイントを確認しましょう。
①開封したくなる件名
まずは求職者にメールを開いてもらうことが第一歩目です。
開封したくなる件名のコツとして
- 求職者の名前を入れる
- 登録情報を確認した旨を記載する
- 特別感を演出する
などがあります。
例えば
「〇〇様の▲▲職でのご経験を拝見しました」
「弊社求人にマッチした方だけにご案内しています」
といった件名であれば、誰にでも送っているのではなく自分のことを理解して送ってくれているのだと求職者は感じるでしょう。
②送信する曜日や時間帯に注意する
送信する曜日や時間帯は、求職者がメールを確認したり返信を作成しやすいタイミングを考慮すると良いでしょう。
例えば平日の昼間は仕事で忙しい人でも、朝や夕方の時間や週末はメールを確認しやすいと考えられます。
また、極端に朝早い時間や夜遅い時間にメールを送ると、ブラックな職場の印象を与えかねないので注意しましょう。
送信時間は8時〜18時くらいにするのがおすすめです。
③求職者のニーズや特性を踏まえた内容
転職サイトなどに登録している求職者は、近々の転職を望んでいる人もいれば、条件次第で転職を考えたいと思っている人、情報収集の段階である人などさまざまです。
仮に転職意欲が低い求職者に対して熱心なアピールや面接の案内を送ったとしても、温度感が違いすぎて良いレスポンスは見込めないでしょう。
それぞれのニーズや特性を踏まえた上でスカウトメールを作成することをおすすめします。
具体的には、
- 転職意欲が高い求職者→選考のステップの案内を送る
- 条件次第で転職したいと考えている求職者→カジュアル面談の案内を送る
- 転職意欲は高くなく情報収集をしている求職者→求人票やHPのURLを添付する
といったように、求職者の立場に合わせた内容にしましょう。
転職サイトなどでは、サイトへのログイン状況や登録情報の充実度を見ると求職者の意欲を推定しやすいです。
④情報はわかりやすく簡潔に
自院の魅力を伝えたいあまりに、スカウトメールに情報を詰め込みすぎるのはやめましょう。
特に伝えたい大事な情報をわかりやすく簡潔に記載し、興味を持ってもらったら求人票やHPで詳しく知ってもらう流れがおすすめです。
記載する情報としては
・医院の特徴
子どもからお年寄りまで、地域の健康を守る歯科医院です
審美歯科に力を入れているデンタルクリニックです
・仕事内容
歯科医師の治療補助や予防指導をお願いしたいと考えております
地域社会への口腔衛生教育活動などを担当していただきたいと考えています
・求人の魅力
育休復帰率100%でライフステージが変わっても働きやすい職場です
固定給△円スタートで安定した収入が得られます
といった内容を簡潔に記載すると、要点が伝わりやすいメールを作成できます。
⑤ポジティブな内容を盛り込む
スカウトメールは自院に興味を持ってもらうきっかけです。
求職者にとってプラスとなる内容や、他院との差別化ができるポジティブな内容があれば、求職者に興味を持ってもらいやすいためおすすめです。
例えば、
- 年間休日
- 有給取得率
- 時短勤務可能
など、求職者がメリットに感じる内容はメールの中でアピールすると注目されやすいでしょう。
また、一見ネガティブに見えそうな内容でも、書き方を工夫することでポジティブに感じさせることもできます。
具体的には、
- 大量採用→新規開業にあたって積極採用中!
- 未経験歓迎→教育体制が充実!未経験の方やブランクのある方も歓迎
といったようにポジティブな言葉を補うと良いでしょう。
⑥求職者へ求めるアクションは簡単に
こちらからスカウトメールを送った求職者に対して、いきなり書類の提出や面接日程の候補を求めてしまうと、求職者がハードルに感じてしまう場合があります。
求職者に負担を感じさせない程度のアクションを求めることで、反応が返ってきやすくなるでしょう。
例えば、
「興味がある」など一言でもお返事いただけましたら、こちらから改めてご連絡します。
など、なるべく手間をかけさせないような配慮をすると、求職者も気軽に反応しやすくなります。
⑦送信者の人柄が想像できるような文章
テンプレートのような内容や硬すぎる文面は、送信者の人柄が想像できず機械的な印象になってしまいがちです。
そうならないために、求職者に寄り添い、親近感のある内容を入れてみると良いでしょう。
例として、
- 私も〇〇さんと同じくらいの年齢で転職を経験しました
- 私自身、2人の子どもを育てながら歯科衛生士をしています
などのように、ターゲットの求職者に近い経験があることを伝えると、求職者が親近感を抱いて興味を持ちやすくなります。
返信率を上げるスカウトメールの例文
ここまでの内容を踏まえて、返信率を上げるスカウトメールの例文を紹介します。
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件名:限定求人のご案内/〇〇様のご経験を拝見しました
はじめまして。
△△歯科医院 採用担当の□□と申します。
〇〇様の登録情報を拝見し、ぜひ当医院について知っていただきたくご連絡させていただきました。
[当医院の特徴]
お子さまからお年寄りまで、地域の皆さまの健康づくりに貢献している歯科医院です。
経験豊富な院長と、幅広い年代で活躍する歯科衛生士が在籍しています。
[仕事内容]
治療補助に加え、患者さんへのブラッシング指導や適切なフロスの使い方など口腔ケアの指導をお任せしたいです。
〇〇様の予防指導のご経験を大いに活かせるポジションだと考えております。
[求人の魅力]
私自身も含め、育休から復帰して長く活躍しているスタッフが多くいます。
有給取得率も高く、ライフステージが変わっても安心して働きやすい職場です。
少しでも興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一言でもご返信いただけますと幸いです。
〇〇様のご希望に応じて、カジュアルな面談や選考のご案内をさせていただければと思います。
求人票や当医院のHPもぜひご覧ください。
(URLを添付)
〇〇様のご返信を心よりお待ちしております。
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スカウトを成功させる求人にはこれがおすすめ!
スカウトメールは、求職者と医院が初めてコンタクトを取り、医院について知ってもらうきっかけとなります。
スカウトメールで興味を持ってもらったら、次は求人票や自院のHPでより魅力を感じてもらいましょう。
求人の内容も、スカウトメールの返信率に大きく影響する重要なポイントになります。
数ある歯科衛生士の求人の中から自院を選んでもらうためには、他の医院と差別化した求人を作ることが必須です。
当社では、歯科衛生士から応募が集まる求人の作り方を紹介するセミナーを開催しています。
求人採用の原理原則や、明日から使える採用成功の秘訣など、充実したカリキュラムをぜひこの機会にご活用ください。
まとめ
求人倍率の高い歯科衛生士の採用は、ただ求人を出して応募が来るのを待っているだけではなかなかうまくいかないこともあります。
スカウトメールを活用すれば、医院から主体的に理想の歯科衛生士を探してアプローチすることができます。
戦略的に活用して、採用活動の成果を向上させましょう。