納得のいかない人事評価で退職!?離職を防ぐ人事制度とは

人事制度

人事制度を既に取り入れている歯科医院の皆さんのうち、制度を「上手く運用できている」とお感じの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。人事制度は上手に運用できればスタッフの評価やモチベーション向上のために役立ってくれますが、なかなか思うようにはいかないこともあるものです。

実は、評価に対して何かしらの不満を持っているスタッフは7割以上いるとも言われています。不満を放置していれば、やがてはスタッフを失うことに繋がり兼ねません。また、人員不足は経営状況にも影響を及ぼす可能性があります。

今回の記事では、人事評価への不満から退職してしまう理由と、それを防ぐポイントについてご紹介いたします。

貴院は大丈夫?約70%の人が人事評価に納得していない

スタッフが貴院の人事評価に納得しているかどうか考えたことはありますか?それぞれの医院で異なると思いますが、世間的に評価に納得していない人は、一体どのくらいいるのでしょうか。

アデコ株式会社が実施した「人事評価制度の意識調査」では、

62.3%もの人たちが人事評価に不満をもっている

※1 出典:「人事評価制度の意識調査」ーアデコ株式会社

という結果がでています。
また​​​​​​キャリアや働き方について研究・調査する「Job総研」を運営するライボによる「2023年人事評価の実態調査」では、

不満を感じている人は7割以上にのぼり、何と75%ほどの人が人事評価によって転職を考えた経験もある

※2 出典:「2023年人事評価の実態調査」ーライボ

そうです。

納得できない人事評価で退職!?

カオナビHRテクノロジー総研が実施した「人事評価に関する調査結果」では、

人事評価結果に納得感がない人の職場満足度は17.4%

※3 出典:「知っておきたい、人事評価の3つの現実~人事評価に関する調査結果より~」ーカオナビHRテクノロジー総研

となっています。つまり人事評価結果に納得できていない場合に退職を考えることは、決して珍しいことではないのです。

次に、スタッフの退職が歯科医院にとってどのようなデメリットを引き起こすのか考えていきましょう。

退職者が出ることで引き起こされるデメリット

退職者が出ると、意外にも医院へのデメリットはたくさんあります。具体的には次のようなデメリットが生じると考えられます。

①人員不足に陥る

言うまでもないことですが、欠員が出るためスタッフは不足します。業務が忙しくなり既存スタッフへの負担も大きくなることで、新たな不満が生じやすくなります。

②医院の雰囲気に影響する

円満な理由で退職する場合とは異なり、医院の雰囲気が悪くなる可能性があります。不満を抱えている退職者は、その気持ちを同僚に話すことがあるかもしれません。また、不満な気持ちが態度に出たり「どうせもう辞めるから」とやる気がなくなってしまうこともあります。これらは他のスタッフの気分やモチベーションを低下させる要因になりかねません。

③続いて退職希望するスタッフが出る可能性がある

既に退職を考えていたり、他にも不満を感じているようなスタッフが潜在している場合、新たな退職希望者が出る可能性があります。誰か一人が退職を公にしたことで、今まで言い出せなかった気持ちを伝えやすくなる人もいるからです

④新規採用のための採用コストが発生する

欠員が出たことにより新たな人材を採用する場合は、もちろん採用コストが必要になります。特に歯科衛生士は不足しており、募集している医院も多いため、スタッフが見つかるまでには時間も費用もかかる可能性が高いでしょう。

⑤医院のイメージが低下する可能性がある

医院によっては、スタッフの入れ替わりが激しいところもあると思います。あまり頻繁にスタッフが替わっていると、患者様だけではなく新規雇用の可能性があるスタッフからのイメージ低下に繋がり兼ねないので気をつけましょう。

このようにデメリットは多くありますが、一番見落としがちだと感じるのが「医院のイメージが低下する」というものです。

実際に歯科衛生士として20年以上勤務してきた方で、患者様からこっそり「また辞めちゃったの?」と聞かれる場面があったと聞きました。

求職活動中の歯科衛生士との会話の中では「あの歯科医院また募集しているね。スタッフが続かない理由が何かあるんだよね。」という話になることも少なくないともいいます。

これらは自ら患者様からの評判や、人材採用の機会を狭めてしまうことにもなり兼ねませんので、できれば避けたいものです。

退職を考える人は評価の何に不満を感じている?

スタッフは、人事評価の何に不満を感じて退職を考えるのでしょうか。ここでは、よくある理由をいくつかあげていきます。

・評価の結果に納得がいかない

例えば「評価の際に私情が入っている」「公正でない」「努力したことが評価されていない」と思われるような場合、納得できる人は少ないのではないでしょうか。もしスタッフに納得していない様子がみられるなら、可能であればその理由を把握するように努めてください。

・評価の理由に納得できない

自分で思っているよりも低い評価を下された時、ほとんどの人はその理由を知りたいと思うはずです。もし原因に心当たりがあれば納得できるかもしれませんが、何が悪かったのかわからない状態では不満が残ったままになってしまいます。

・評価項目やどうすれば評価されるかがわからない

そもそも医院の評価基準をスタッフにわかるように示していない場合、不満は発生しやすくなります。「頑張りを適正に評価される」とわかると、スタッフのモチベーション向上にも繋がります。

・評価者を信用できない

評価者が信頼されていない場合や公正な評価が行われていないような場合、その評価も信用できないと感じられてしまいます。

・努力が待遇に反映されない

仮に年功序列で評価され「成果を出しても待遇が変わらない」という職場に勤務していたとしたら、どう感じますか。わざわざ労力をかけて何かをしたいと思う人は、恐らくいないのではないでしょうか。

評価制度があっても、それが待遇に反映されていなければ人は残念に感じますし、モチ ベーションも低下してしまいます。スタッフの努力がきちんと反映できる評価制度を取り入れるようにしましょう。スタッフに「頑張れば評価される」と感じさせることが大切です。

人事評価への不満を解消しスタッフの退職を防ぐためのポイント

人事評価に不満を抱く理由についてご理解いただけたところで、ここからは不満を解消しスタッフの退職を防ぐためにできることをご紹介していきます。今の制度にスタッフの不満に繋がるようなところがないか、ぜひ見直してみてください。

①評価エラーを避ける

評価エラーとは「評価者の個人的な感情や心理的作用によって、実際とは異なる評価をしてしまうこと」です。評価者も一人の人間ですから、完璧な評価をすることはなかなか難しく、評価エラーが生じるのはやむを得ないことかもしれません。

ここでは代表的な評価エラーをあげていきますので、参考にしてください。

《代表的な評価エラー》

・ハロー効果
目立った功績や長所、印象などに影響されて評価が偏ってしまうことです。例えば、成果を出しているスタッフのことを「他のことも良くできているはずと評価してしまう」などがあります。

・期末誤差
直近の仕事の成果によって全てを評価してしまう場合を指します。

・論理誤差
思い込みなどの錯覚から事実とは異なる評価をしてしまうことを言います。

・厳格化傾向
評価が全体的に厳しくなってしまうことです。評価者が厳格なタイプであると起こりやすいと考えられます。努力が評価されにくいため、スタッフのモチベーション低下や退職に繋がりやすいので注意が必要です。

・寛大化傾向
厳格化傾向と逆で、評価が全体的に甘くなってしまうことを指します。評価者が低い評価をつけることに罪悪感を感じやすいタイプである場合や、「部下に嫌われたくない・良く思われたい」という気持ちから起こりやすいでしょう。スタッフの成長のために、時には厳しい言葉も必要かもしれません。目先のことだけではなく、将来的な面も良く考えて評価をするようにしましょう。

・中心化傾向
評価が中間値に偏ってしまうことです。評価項目に対してのスタッフの反応を考えたり、バランスを取ろうとする場合に生じやすくなります。

・対比誤差
定められた評価基準ではないものを基準としてしまうことを言います。例えば評価者の得意分野に関して、事実よりも厳しく評価してしまうなどです。

②評価基準は明確で理解しやすいものにする

評価基準や評価項目は、スタッフが理解しやすいように明確に定めましょう。これらは医院の方針や理念を伝えられる一つの機会でもあります。わかりやすいものにすることで「何が求められているのか」スタッフも把握することができ、評価に繋がりやすくなります。定めた内容は明示するだけではなく、十分に周知するようにしましょう。

③評価に対する面談の機会を設け、しっかりフィードバックする

個々のスタッフと、評価結果について話し合う機会を必ず設けてください。評価がついた理由や今後の課題・目標などを明らかにし、お互いの認識を一致させる上で必要不可欠だからです。

フィードバックする際には、悪かった点だけではなく良かった点も積極的に伝えましょう。良い点を伝えることでスタッフ自身も何が評価されるのか把握することができ、モチベーションも上がります。長所もさらに伸ばしやすくなるでしょう。

④日頃からスタッフとの信頼関係を築いておく

スタッフとの信頼関係が築けているかどうかは、スタッフの評価結果への納得度を大きく左右します。信頼している人からの言葉は受け入れられても、信頼していない人からの言葉は疑ってしまうということは誰にでもあるのではないでしょうか。

スタッフは日頃から仕事の様子をみてもらえていると感じると、評価にも納得しやすくなります。また世間話などをしてスタッフのことを知るように努めたり、評価結果が上がるようにアドバイスをするのも有効でしょう。

⑤人事評価ツールを導入する

​​評価エラーなどのヒューマンエラーを防ぐためには、人事評価ツールの導入も効果的です。新たに評価制度を設ける場合は一から作成するよりもスムーズに導入することができます。また、改善する際にも効率的に行えるでしょう。

人事評価制度の手法

人事評価制度には様々な手法があり、それぞれに特徴があります。ここでは4つの手法についてご紹介します。

①目標管理制度(MBO)

MBOはドラッガーが提唱した組織マネジメントの一つで「Management By Objectives」の略です。スタッフ自身で目標を設定し、その達成度や進み具合によって評価を決める方法になります。

②360度評価(多面評価)

評価者は一人だけでなく、複数の人によって評価を行います。あらゆる面から評価をする方法です。

③コンピテンシー評価

成果を出しているスタッフの行動特性(コンピテンシー)を元に、評価項目を設定して評価する方法です。

④バリュー評価

医院の方針や理念に基づいて評価項目を設定し、評価する方法です。

人事評価制度の手法については、メリットやデメリットを含めて「​​​​人事評価制度の種類を詳しく紹介!医院&スタッフ双方に有益な評価制度を運用しよう​​」で詳しく解説しています。ご興味のある方はぜひこちらもご覧ください。

納得感が得られやすい人事制度を運用しよう

今回は人事評価への不満から退職してしまう理由や、それを防ぐポイントについて解説しました。より良い人事評価制度にすることで、スタッフの納得度は高まり医院の活気や業績アップにも繋がります。

人事制度は一度設ければそのままで良いわけではありません。定期的に見直し、改善していくことで貴院にとって有益な評価の仕組みになっていきます。ぜひこの機会に、一度見直してみてください。

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